南町の独り言

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憎しみから生まれるもの

2007-12-29 22:47:02 | 政治

パキスタンのベナジル・ブット元首相が暗殺された。
アルカイダの仕業であるとか、パキスタン軍部の謀略だとか犯人探しに騒がしい。

初の女性首相でもあるベナジル・ブット氏の父親、アリ・ブット氏も首相経験者だ。
父親もクーデターによって処刑され命を落としている。

暗殺されたベナジル・ブット元首相は、核兵器に対して批判的な政治家であった。
パキスタンの「核開発の父」とも呼ばれているカーン博士の構築した“核のブラックマーケット”の疑惑解明にも積極的で、次期選挙で勝利した暁には博士の尋問も計画していたという。
カーン博士はイラン・リビア・北朝鮮などに核兵器の製造技術を密売していたことはすでに認めている。
情報筋ではパキスタン政府もこれに1枚咬んでいたとしている。
そんなことが暴露されようものなら政府にとっては死活問題である。

アルカイダにとってはベナジル・ブット元首相は親米派の犬である。
パキスタン軍部にもアルカイダの信奉者は多い。
ご存知のようにアルカイダは米国同時多発テロの犯人。
親米派のベナジル・ブット元首相らが勢力を盛り返してもらっては困るのである。

憎しみからは憎しみしか生まれてこない。
皮肉にも暗殺されたベナジル・ブット元首相の父親アリ・ブット氏の下でパキスタンの原爆開発計画がスタートした。
テロ集団アルカイダをかくまったアフガニスタンのタリバンを発足当時から支えてきたのはパキスタン国家でもあった。
愛する父親の、愛する祖国の行為が彼女を死に至らしめてしまった。

パキスタンの核開発はインドの核兵器対策からスタートしている。
イギリスから独立したパキスタンとインドは宗教や領土問題を抱えて独立以来ずっと争い続けている。
ベナジル・ブット元首相暗殺事件も長い歴史の中で起こった憎しみから生まれた連鎖の事件のひとつである。

憎しみからは憎しみしか生まれないことを、私たちは平和の国日本にいて今日も学んでいる・・・。