けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

中津川で、栗拾い

2011-09-26 00:24:47 | 浜あるき
栗の最盛期。「栗きんとん発祥の地」岐阜県中津川へ。
栗きんとんといっても、芋と合わせたとろっとしたお節料理とは違い、
ゆで栗をすりつぶして砂糖を加え茶巾絞りにした和菓子。

駅前の観光プラザでは「栗きんとん巡り」と題し、
町の和菓子舗13軒の栗きんとんがずらり競演。オンナ心を巧みに誘います。

        

誘惑を振り切って、一昨年に集落の農家組合がオープンした栗の観光農園へ。
50年前の栗ブームで共同利用権のある山に栗を植えたものの、
高齢化で次第にほったらかしになり、いつしか元の山野に戻って20年。
しかし、農地が荒れると災害に弱くなる。
危機感にあおられ、同じく耕作放棄が進む急斜面の棚田や桃果樹園も救うきっかけにしようと、
地域農家の有志が立ち上がりました。

    

苦労の末によみがえった栗園の栗は、太陽に照り輝く「茶色い宝石」。
和菓子屋さんの栗きんとんが京都の舞妓さんなら、農園の栗はハイジのような野生児。
どっちもいいけれど、やっぱり生命力に満ちたこの輝きにふれたら、茶巾絞りは影が薄くなります。
この土地全体の生命力でもあります。

    

栗園近くにプレハブの和菓子屋さんが。農業生産法人が自園の栗で少量ずつ栗きんとんを作っています。
代表的な老舗の栗きんとんは、地元産の原料では足りず他県の栗が多く使われ、移送に時間も経費もかかっています。
帰りに駅前で数種を買い、食べ比べてみると…。農家の栗きんとんはしっとりとして栗の香りに満ち、エグミがない。
勝負ありです。

左がその農業生産法人の和菓子屋「恵那栗」。右が地区の農家が運営する観光栗園。10月中旬まで栗拾いができます。

海の子、ホヤぼーや

2011-09-25 00:27:33 | 浜あるき
気仙沼のゆるキャラ「海の子ホヤぼーや」は、とってもかわいい。
剣がサンマだったり、ベルトがホタテガイだったりする。

あえてカキではなく、ややマイナーなホヤであるところも意表をついていて、
ホヤ好きの身びいきを差し引いても、いい線いってると思う。
でも、サブレはちょっと(…かなり?)残念。

津波の田んぼに実りの秋

2011-09-24 00:28:27 | 野良あるき
気仙沼市本吉町、大谷地区の学校田んぼ。
津波の漂着物の片づけをし、湧水と沢水で塩分を洗い流し、6月7日に田植え。
無事に成長するか心配されましたが、すくすく育ってこんなに見事な黄金色に。

     

    

もともと、稲刈りのあと冬に水をたたえる「ふゆみずたんぼ」。
生き物がいっぱいの田んぼでした。今年はあらたにビオトープも作りました。
野生なのか、だれかのペットだったのか、クサガメが田んぼ横の道路を歩いていました。

   

周辺で今年お米を作った田んぼは、比較的漂着物が少なかった小さめの田1枚だけ。
まだ、こんな様子です。
生き物の楽園の田んぼは、スズメの楽園でもあるようで…。
収穫を楽しみにしている子どもたちにとっては、スズメはちょっと困ったお客さんです。

間もなく稲刈です。

磯漁の漁具、「カギ」のあれこれ

2011-09-22 00:30:37 | 浜あるき
三陸沿岸で、漁師さんの話を聞きながら歩くうち、
津波にされわれず残った、民俗文化財というべきすばらしい漁具にも出会います。

まったく偶然の出会い。
今日は、磯漁の漁具の宝庫をおもちの漁師さんに出会いました。

磯漁は三陸沿岸だと、アワビ、ウニ、ホヤ、ワカメ、コンブ、ゴカイ(釣りえさ)など。
ほぼすべて棒(竹)の先に鉄の「カギ」をつけた漁具ですが、
当然のことながら、対象ごとにカギの形が違うのがとても面白い。
下の写真いちばん手前“はてなマーク”のようなのが、アワビカギ。

        

  

  

上左は、ウニカギ。右は天然ホヤをとるホヤカギ。なんでこんな形に?
下左はワカメカマ。右はコンブをからめとる道具です。
横の歯を抜くと、からめたコンブが手間なくはずせます。

        

さらにすごいのは、カギをつける柄の部分の工夫。
潮の影響を極力おさえ、獲物にうまく吸いつくように考えつくされています。
カギに直接つなぐのが、孟宗竹を削ったシナイ(しなうから)。
次に、アツサ(おそらくガマズミ)の枝を皮ごと使います。
この木の枝は真っ直ぐでしかも丈夫。海水に浮かない比重もあります。
もっと深いところを狙うときは、ナラやカシなどより比重の高い固木の棒を使用。
最後に細い竹をつなぎます。
磯漁の別名「小漁」から、コリョウ竹と呼ばれる細い地竹で、
どこにでも生えているものでもないそうです。

      

磯漁は、夫婦舟で操業します。箱メガネ(船大工による木製)で海中をのぞいて漁をするのがとうちゃん。
漁をしやすいよう、舟を小刻みにたくみに操るのはかあちゃん。
これがそのときに使う櫂(かい)。
左のがオモテ櫂(舟の前のほうで使う)、右のがトモ櫂(舟の後方で使う)。
どちらも、船の左舷(とり舵)がわで使います。
丈夫なカシノキ製なので、かなり重たい。
どれもこれも、植物の性質を知りつくした、くらしの知恵の結晶です。

75歳になるこの漁師さん。
毎日海に出たくて仕方ないといいます。
年だからと心配するご家族に頼み込んで、今年秋にワカメ養殖を再開するため、
準備を進めています。
新造船の注文もして、来年から磯漁や沿岸漁業もすると、元気いっぱいです。