けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

「体験の風」は吹くのか?

2011-01-31 10:02:15 | 日記
きのう一昨日と、海の体験活動をしている団体のネットワーク
「NPO法人海に学ぶ体験活動協議会」(通称CNAC:シーナック)の
全国大会が開かれました。

会場は、東京代々木の、国立オリンピック記念青少年総合センター。
センター棟のロビーに並んでいたのが、こののぼり旗。
国の「青少年自然の家」などが行っている自然体験、野外活動などの写真パネル展示の隣に。

10年ほど前から、日本では「子どもの自然体験が大事!」ということがいわれ、
学校教育法には「学校の特別活動で自然体験をしましょう」という項目が盛り込まれました。
また農水省では、農林業ではグリーンツーリズム、漁業ではブルーツーリズムをどんどん行って、
都市と農漁村の交流で、農山漁村も都市のひとも豊かになりましょう、ということも打ち出しています。
総務省では、国民はもっと休暇をとりましょうとすすめ、
エコツーリズム推進法というものもできました。

自然体験を受け入れる団体やNPOなどを束ね、指導者養成や安全指導などを担う
全国組織も次々と誕生。
文部科学省の肝いりが、CONE:自然体験活動推進協議会
国交省河川局の肝いりが、RAC:川に学ぶ体験活動協議会
同港湾局の肝いりが、冒頭のCNAC:海に学ぶ体験活動協議会

しかし、こうした国の旗振りの割には、全国の海や山で活動するNPOや自然学校は、
どこも運営は火の車という話ばかり耳に入ります。
どうしてなんでしょう…。
みんな、「体験の風をおこしたい」とは思っているはずなんですが。

猟具のフシギ ~ 散弾銃○、弓矢×、手づかみ○

2011-01-28 10:04:10 | 野良あるき
栃木の奥鬼怒温泉に行ってきました。
その途中の路線バスから、何と!狩猟用らしき弓矢を持った男性を見たのです。
思わず「バス、停めて~!」といいたかったけれど、1日に数本しかない路線バス。
これに乗らないと宿にたどりつけないので、
通りすがりに窓からじーっと見るだけであきらめました。

しかし、弓矢とは! 本当に珍しい。初めて見ました。
いかにも手作り風で、木(真弓の木?)の枝をたわめたような弓の姿。
男性の右の腰には、矢らしい篠竹が10本くらい入った布袋がぶら下がっていました。
何を狙うのだろう…。ウサギはちょっと大きすぎるか? 鳥類かな? ヤマドリとか?

しかし、帰ってからインターネットで調べていて、もっと驚いたことが。
日本では、猟具として弓矢は禁止されているのです。
がーん!! 散弾銃はよくて、弓矢はだめなの? なんで~?
生き物同士として獲物と相対するとき、弓矢のほうがよっぽどフェアな気がするんだけれど。

さらに調べると、手づかみでの狩猟は許されているらしい。
もちろん、猟期と狩猟区域を守り、狩猟が許されている生き物に対してなら、ですが。
これなら、生き物同士の命のやりとりとしては、完璧にフェアですね。
「しかし、手づかみなんてねー、まさかねー」と笑っていて、ふっと思い出したことがある。
昔のお話ですが、サシバという鷹の一種を、手づかみでごくふつに捕まえて食べていたひとびとがいるのです。

それは、沖縄の宮古島。
秋に、サシバが北から南へと渡っていく旅の途中、ちょうどいい位置にある休息の島です。
かつて、貴重な蛋白源として(そして、脂がのってものすごーく、美味いんだそうな)、
島人たちは、サシバを捕まえて食べいたのだそうです。秋の味覚、ですな。

その捕まえ方が、「手づかみ」なのです。
夕方、サシバは松の枝に羽を休め眠ります。なので、サシバが好む枝ぶりのいい松に登ってじっと潜み、
サシバがまさに枝を足でつかもうとする瞬間に、両足首を両手でガッシとつかむのだそうな。
その話を聞かせてくれたのが、島の60代のおじさん。子どもの頃、父親と一緒にたくさん獲ったそうで、
とても懐かしそうに話してくれました。(もちろん、今では禁止です)



そのおじさんが、作ってくれたのが、このパチンコ。
おじさんは、パチンコの名手でもあるのです。
なお、現在の日本ではパチンコは猟具として、認められているようです。
ほんの2メートルほど先の空き缶にも当てられないわたしには、スズメを撃つことさえ、
とうてい無理ですが。

お台場でノリ養殖

2011-01-24 10:06:48 | 浜あるき
「あの、お台場?」って、思いましたか?
そうです、フジテレビなどがあるあのお台場で、本格的に海苔をつくっているんですよ。
今年で6年目。海の目の前の港陽小学校の学習を中心に、
地域コミュニティが実行委員会を作って運営しています。

手助けしているのは、東京湾で自然再生の活動をしているNPOと、
その縁につながる木更津の海苔漁師さんや、お台場周辺に屋形船を出している遊漁船など。

ご存知のように、お台場は浅い海を埋め立てて作られた人工島。
住民は島に作られた高層マンションに住む“島人”で、島内には保育園と小中学校があります。
子どもたちにとっては、この島がふるさとであり、この海が“ふるさとの海”。

海苔づくりは、「目の前の海を汚いといとわしく思うのではなく、豊かなふるさとの海として愛してほしい」
という小学校の先生たちの願いから始まりました。
豊かさを実感にするには、「食べ物がつくれる」ことを目の当たりすることほど、効果的なことはない。
というわけで、海苔に行き着いたのだそうです。

水質の面からは、ここで成長した海苔を食べることにはまったく問題なし。
昨年12月18日に入れた海苔の芽は順調に成長していて、2月5日に収穫の日を迎える予定。
子どもたちが手で摘み取り、昔ながらのやり方で海苔すきをします。

常々思うことですが、その土地の自然からとれたものを、からだの中に納めることで、
ふるさとは離れがたく他にかけがえのない、特別の土地になっていくのでしょう。
大昔から、食べ物を得られる場所を求めてヒトは移動し、
住みついた場所でより多く安定的に食べ物を手に入れるために、工夫をしてきたのでしょうね。

豊かな漁場だった海を埋めたてた人工島での海苔づくりは、
逆説的とはいえ自然と食をつなぐ貴重な試みだと思います。

海のものが山で化ける

2011-01-23 10:07:47 | 野良あるき
先週、岐阜県の山岡町(合併して今は恵那市)という5000人ぐらいの町に行ってきました。
ここの名産が、“細寒天(ほそかんてん)”。
長野県の茅野などで作られている“棒寒天”よりも細いのが特徴。
夜は零下の凍える寒さなのに、日中は晴れて10℃近くなる気候風土が産んだ産業です。
細寒天は30分ぐらい水でもどして、そのままサラダや酢の物で食べられるらしいです。便利!!

   

こうやって、田んぼに一面広げて干します。
夜の間に凍って寒天から分離した水分が、日中の陽射しに融けて流れ落ちる“天然フリーズドライ”。
海でうまれた海藻テングサが、遠い山あいの田んぼで干し寒天になるって、すごいコラボ!!

この町で、89歳でも現役ばりばり、農業をやっているおじいさんに会いました。
野菜を色々と作っては、町の保育園と小・中学校の給食に提供しています。
しかも、地元の野菜を使った郷土食の給食が、先日、全国コンクールの最優秀賞を受賞!!

この方の家族構成がすごい。何と、4世代9人の同居。
89歳のこの方の夫妻、長男夫妻、そのまた長男の孫夫妻、そして小学校2年生を頭にひ孫が3人!!
(ひ孫たちは、じいちゃんの野菜を家でも給食でも食べています)
3世代の夫婦がそろって同居しているのは、この地域でも珍しいとか。
最近、孤族とか孤独死とかが、社会問題になっていますが、まるで別世界のお話のようです。

やっぱりニッポンの田舎は元気だな~!

町の方から、お土産に“カラスミ”をいただきました。
とはいっても、ボラの卵巣を干した珍味のカラスミではなく、米粉のお菓子。
寒天のように、海のものが内陸までやってきて“化けた”?
黒糖のやさしい味。ごちそうさまでした。

新潟島、廻る願掛け狛犬

2011-01-22 10:09:56 | 浜あるき
先週、新潟市に行きました。
新潟の町って、信濃川河口の港町が発祥で、河岸を切り離すように分水を通したから“島”になっているんです。
ちゃんと“新潟島”という名前がついています。まったく知らなかった!
飲み屋街も百貨店も、市役所も水族館も、ぜーんぶ島の中にあります。

江戸時代は北前船などの寄港地。
遊郭などでにぎわった町の湊稲荷神社には、手でぐるぐる回せる石の狛犬が。
惚れた船乗りが少しでも長く町に留まれるよう「海よ荒れろ」と女たちが願掛けしたそうです。
“嵐を呼ぶ女たち”…すごいですね。わたしは、おとなしく“無病息災”を祈願。

右向き  

後ろ向き 

左向き  

そして前 

海岸に出てみると…、♪海は荒海~、向こうは佐渡よ~♪
ハリセンボンの子どもがたくさん漂着。南から流れてきたのがこのあたりで寒さの限界だったのかも。
そして、風と漂着物と砂の造形が。

   

魚屋さんには、なぜか山伏という名の  
カレイが並んでいました。