通信サービスからの脱却
ドコモの中ではもっとも安いプランに
NTTドコモは2021年10月21日、NTTコミュニケーションズが提供するMVNOサービス「OCNモバイルONE」の取り扱いを開始した。全国に展開するドコモショップでOCNモバイルONEのサービスを契約できる。今回の提携に合わせて、NTTコミュニケーションズでは、月額500円(税込み550円)という超格安プランを新設した。このプランは、データ容量が0.5Gバイト、最大10分の無料通話というもので、格安スマホの中でもお得な内容といえる。菅義偉政権による携帯電話料金引き下げ要請をきっかけに、ドコモを中心とした大手3社は割安なプランの提供を余儀なくされた。ドコモは2020年12月、データ容量20Gバイト、1回あたり5分以内の無料通話(回数無制限)という新料金プラン「ahamo」を発表し、事実上の大幅値下げを実施した。この効果は大きく、9月の消費者物価指数における携帯電話料金は前年同月比で44.8%ものマイナスとなった。ドコモは新料金プランの発表時点では、さらに格安なサービス「エコノミー」について詳細を明らかにしていなかったが、今回、発表されたOCNモバイルONEとの提携がこれに該当するものと思われる。つまりドコモとしては、もっとも割安なサービスプランということになる。だが、何とも微妙なのは、「エコノミー」サービスはあくまでNTTコミュニケーションズのサービスであり、ドコモのサービスではないという点である。一方で、NTTコミュニケーションズはドコモから回線を借り受けて事業を行っており、実質的にはドコモのインフラを使っている。
ドコモは10月25日、NTTコミュニケーションズを100%子会社化すると発表しており、NTTコミュニケーションズが持っていた通信関係のインフラは事実上、ドコモと一体運用される。これまでOCNモバイルONEは、NTTコミュニケーションズがドコモから回線を借りて、格安スマホのサービスを提供するという形態だったが、今回の再編によってドコモ自身が提供する格安サービスにより近づいた。
OCNモバイルONEが限りなくドコモのサービスに近い位置付けであることは、ドコモの顧客IDである「dアカウント」をメインに利用することが大前提になっていることからも伺い知ることができる。これまでOCNモバイルONEはあくまで格安スマホであり、対面サービスはなく、Webサイトなどを通じて利用者が自分自身で設定する必要があった。ところが今回の提携では、従来のドコモ携帯と同様、店舗で手厚いサポートが受けられる。
高齢者の囲い込みが狙い?
格安スマホでありながら、店舗でのサービスとドコモIDの利用を全面に押し出した理由は、高齢ユーザーの囲い込みと考えられる。
今回の格安スマホの取り扱いによって、ドコモは「ギガホ」などヘビーユーザー向けのプラン、「ahamo」と「ギガライト」を中心とした中間プラン、そして、「OCNモバイルONE」という格安プランの3本柱となる。ahamoは低価格を実現するため、基本的に店舗でのサービスを省略したが、有償であれば店舗でのサービスを受けられる。高齢者の中には、利用頻度が著しく減っているので、ahamoなどよりもさらに安価なプランに乗り換えたいと考えている人も多いはずだ。ところが既存の格安スマホは基本的にWeb限定であり、ITに疎い高齢者にとってはハードルが高い。
来店を好み、かつもっとも割安なプランに移行したいという利用者は、ドコモショップにおいてOCNモバイルONEに誘導すればよい。今回のOCNモバイルONEとの提携では、60歳以上の利用者について最大で12カ月間、データ容量が1Gバイトに増量されるキャンペーンを行っており、高齢者の獲得に力を入れていることが分かる。
今回の提携には、NTTドコモの販売店網であるドコモショップを救済するという側面もある。
先ほども説明したように新料金プランahamoは原則としてWeb限定であり、ドコモショップでのサポートは発生しない。それはドコモショップにとって見れば、収益低下を意味している。
ドコモは全国にドコモショップという名称の販売店網を展開しているが、こうした販売店はドコモが直接経営しているわけではない。ドコモという看板をフランチャイズという形で掲げているだけで、実際には様々な企業が経営しており、何らかの形で収益を上げなければ事業を維持することはできない。
非通信サービスの拡大でドコモがさらに有利に
ドコモショップの主な収益源は、店舗でのスマホの販売手数料と、ドコモから支払われる各種手数料である。日本の人口は今後、急激に減ってくるため、市場全体としても伸びる余地が少ない。スマホの利用に手慣れた若い利用者はWeb限定のサービスを好むので、最大の収益源は店舗での継続サービスを望む高齢者ということになる。
加えてドコモは、今後の事業戦略の目玉として、スマートライフ事業を掲げている。これは金融、決済、映像など既存の非通信サービスの展開に加え、電力の小売りやオンライン診療など、消費者の生活全般を支援するビジネスである。菅政権による料金引き下げ要請によって、通信会社から見れば携帯電話のサービスはあまり儲からない事業となっており、各社にとってこうした新規事業の展開はほぼ必須となった。
一連の非通信サービスを強化するためには、高齢者を中心とした顧客の囲い込みが求められる。仮に格安スマホというあまり儲からない事業であったとしても、顧客さえ囲い込んでおけば、最終的には非通信サービスで収益化するという道筋が見えてくる。
今回のOCNモバイルONEとの提携やドコモグループの再編というのは、人口減少時代を前に、通信サービスからの脱却を図るための第一歩と考えてよいだろう。
料金引き下げによる通信関連収益の低下と市場縮小、そして非通信サービスへの展開を前提にした場合、今後の通信業界はどうなっていくのだろうか。説明するまでもなく、巨大なインフラを保有するドコモが圧倒的に有利になる可能性が高い。
かつて官営の独占企業だったNTTグループに関しては、公正な競争環境の維持という観点から、グループ会社を過度に優遇できない仕組みになっている。今回の提携はNTTコミュニケーションズだけでなく、独立系の格安スマホ事業者であるフリービットとも提携しているので、ルール上はグループ企業の優遇にはあたらないと考えられる。
だが現実問題として、格安SIMであるにもかかわらず、こうした手厚いサービスが展開できるのは、グループ全体の総合力があればこそであり、競合他社にとってはかなりハードルが高い。
当初の予想通り、携帯電話の料金引き下げは、最終的にはNTTグループに有利に働く可能性が濃厚であり、今回の提携もその流れのひとつと考えてよさそうだ。
エコノミー詳細
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Nコム子会社化
エコノミーMVNO料金
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