奨励会からプロ棋士になったときに既に強かったですが、それから今年で7年目になります。
(2016年10月1日四段)
去年までに6つのタイトルを制覇し、去年順位戦A級で優勝し、今名人位に挑戦しています。現在、3勝1敗。(あと1勝で名人位獲得)
この圧倒的な強さの秘密は、どこにあるのか調べてみました。結論は、それが良く分からないのが強さの秘密のようです。理由が分かれば対戦相手は対策を練ることが出来ます。分からないから漫然と(適当に推測して)対策を考えるしかないようです。「打倒!藤井聡太」の方法が分からないようです。だから、結果として地力で負けてしまう・と言うことのようです。
以前、何かの記事で読んだところではAIは普通の棋士の数手先を読むそうです。ところが、藤井聡太竜王はAIの更に数手先を読んでいるらしいと言う内容でした。これは、結構前の話です。多分、その能力を更に進化させていると推測されます。
現在は、先手番での勝率が圧倒的に高いです。先手番を引き当てれば、ほとんど勝ちます。しかも、振り駒で先手番を引き当てる確率が高いのだそうです。
特にタイトル戦では、これだけで約半分勝っていることになります。
元々、先手番は後手番に比べてごく僅かに有利と言われています。そのごく僅かの有利を高めていることが分かります。
そして、悪手(失敗の指し手)をほとんど指さない事も言われています。(ミスが極めて少ないことです。)
そこで実際の対局のビデオを何局か見てみました。今、アメーバTVで放送していてプロ棋士の解説付きでそれを後から見ることが出来ます。
それを見て分かったことは、確かに強い。圧倒的に強いことでした。対戦相手が最善手を尽くしても、最後には負けてしまいます。もちろん対戦相手がミスして負けることもあります。ミスしないで負けている対局も結構、ありました。これは、勝ちようがないでしょう?
「ミスもせず始めから終わりまで指したら、最後には負けました。」
やはり、読みの深さが違うというのが一番大きな理由だと思います。対戦相手が何手か10手くらい先に気が付くことに、その前に気が付いて準備しているんですね?だから、対戦相手が気が付いた時には手遅れでどうにも対処のしようがないという場面も結構、ありました。
更には、開始後の10手から30手くらいの間に何気なく中盤から終盤を予測して種をまいておきます。それが役に立つかどうかは、その時点では分かりません。しかし、その何気ない指し手が後で有効になるように上手いこと局面を導いていきます。そうなると相手に勝ち目はなくなります。
そのような手品の種を序盤から中盤にかけて、何気なく仕込んでいます。仕込んだ方は分かっていますが、仕込まれた方は気が付きにくいようです。つまり、序盤から中盤にかけての研究の度合いが非常に高いことが分かります。
終盤の強さは、定評があります。ミスもほとんどしない。
だから、終わりの方になると優勢から勝勢になっていると言うことのようです。
ここに強さの秘密があるようです。
「元々、先手番は後手番に比べてごく僅かに有利と言われています。」
このほんの僅かの利を保ちます。そのまま終盤まで持ち込めば、先手有利の状況が自然に生まれます。そのまま勝ち切るパターンです。
後手番なら、そのほんの僅かの先手番の利を消しに行きます。そうすると互角になり、その後は実力勝負の叩き合いになります。
だから相手のレベルが高いほど定石から外れて手将棋になります。その場その場で考えて指すことになります。乱戦の名人ですね?乱戦に持ち込めば負けない!と言う絶対の自信があるようです。
藤井聡太竜王に乱戦に引き込まれた段階で、対戦相手は半分以上負けていることになります。と言ってそれを避けるのも難しいことです。(遅いか早いかの問題で、終盤には必ず乱戦が起きます。)結果として、相手に勝つチャンスは、ほとんどない・と言うことのようです。
時々、負けますが?負けると徹底的にお返しします。研究されてしまって同じやり方は、1回しか通用しません。これは、タチの悪い強さですね?
普通にやると負ける。特別に用意した作戦は、1回しか通用しない。
成程・負けない道理です。
高性能のAIすら間違えるような局面でも正確に読んでいますから、人間では勝つ方法がないようです。AIが生み出したAIを超える人間だと言うのが、より分かりやすいかもしれません。
☆子供のころ
詰将棋解答選手権チャンピオン戦
「5回目の出場となった2015年の第12回大会(小学6年生、12歳)では、全問正解で史上最年少優勝を記録した。その後、2019年の第16回大会まで5連覇を続けている。」
これは、プロも参加する大会です。
やはり、これがバックボーンだと思います。終盤の乱戦において圧倒的に強いことが特徴ですね。この部分では、小学生の段階でプロを凌いでいます。
その後、成長する過程で序盤と中盤の実力を向上させていったのでしょう。序盤と中盤が互角であればプロに勝てる要素を最初から持っていたことになります。
2021年の対談で「(対局中)考える上で、読みと形勢判断以外のものは基本的にいらない」と発言しています。
「経験」や「勝負勘」は無視すると言うことです。
これは、近年の対局を見ているとその通りにやっています。定石手順を外れて、その場でその都度考えることが多いですね。
この部分から考えると、圧倒的な終盤の実力が幼いころからありそこに序盤と中盤の実力の向上が加わり、結果として圧倒的な強さが生み出されたことになります。
谷川浩司は・
「プロになった頃・終盤力による逆転勝ちが多かった・
今・序盤の精度が高くなっている・局面の急所を捉える直感に磨きがかかった」
「対局の時は一日集中力を切らさずに考え続けることができる」
と評しています。
良く分からない結論になりました。天才を解明するのには、無理があることが分かりました。