今の見込みでは、ウクライナ軍は秋のうちに南部ザポリージャ戦線でトクマクТокмакまで奪還できるかどうか?と言うところでしょう。
ウクライナ軍の見るところでは、ウクライナ領に来ているロシア軍は、42万人強のようです。さすがにこれだけの人数がいると去年のような奪還作戦は無理です。去年はロシア軍は、この半分程度しかいなかったと思います。だから、ウクライナ軍の鮮やかな奪還作戦が成功しました。
ロシア軍がこれだけいると2方面作戦は無理なのでウクライナ軍は東部では専守防衛で、もっぱら南部戦線で攻勢に出ています。
もう1か月半くらい経つと晩秋で地面がぬかるみ始めます。こうなると戦車や装甲車などの重戦闘車両は、行動が難しくなりますので一旦は小休止になると思います。
去年の冬はロシア軍が大攻勢をかけました。全然、成功せずロシア軍は撤退しました。今年の冬もロシア軍は、東部で攻勢に出ると思います。ウクライナ軍は、東部ではこれまでと同じで専守防衛でしょうね。
去年、ウクライナ軍が冬は全く攻勢に出なかったのは、秋の奪還作戦で兵力も武器装備も使い果たしたからです。だから、ひたすら守るしかありませんでした。
しかし、今年は違います。新規に動員した兵士もいますし西側からの大型の供与で得た武器と装備は、まだかなり温存していると思います。ハイマースのミサイルは、まだ余り使っていないように見えます。ロシア軍も精密誘導兵器の妨害装置を持ち込んでハイマースが有効に使えない事も理由の一つです。冬に向けて備蓄している面もあると思います。またドローンの備蓄は、かなり多いようです。
冬の戦いもこれまでと同じような展開になると思います。東部で攻勢をかけるロシア軍と、南部で攻勢をかけるウクライナ軍の戦い方は同じだろうと思います。
ウクライナ軍は、これまでとは違うところを攻めました。
『ロシア艦隊、黒海の一部で活動できず 石油掘削施設の周辺 ウクライナ軍発表』
2023.09.13 Wed posted at 07:42 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35209013.html
「ボイコ・タワー」と呼ばれている石油掘削施設をロシア軍は、これまで「ヘリの着地場やレーダーの配備場所に使用していた」とのことです。
ここは、ズミイヌイ(スネーク)島の東40キロメートルほどにある・とのことです。
ボイコ・タワーにあったロシアのレーダー監視施設がなくなると黒海の北側のクリミアの先端からオデーサよりにはロシアの海上戦力は、入ってこられなくなります。ウクライナには、無人艇もあります。その攻撃も、もっと敵に近い位置から行えるようになります。黒海の西半分は、完全に無人艇の射程距離に入ります。
そしてウクライナ海軍には、一応ドニプロ川防衛と言うことで「河川巡視艇隊」があります。沿岸警備艇程度の戦力しかありませんが、海でも活動できます。今回、「ボイコ・タワー」奪還作戦を行ったのは、この部隊と特殊部隊の合同作戦です。
数十隻の高速の(時速65kmくらい)沿岸警備艇を持っていますので、一番近いところだと片道3時間程度でクリミアに行けます。「ボイコ・タワー」のレーダー監視がなくなるとクリミアの西の沿岸を急襲して荒らしまわるのは、これまでより簡単にできます。
ドローン攻撃もこれまでより、「ボイコ・タワー」のレーダー監視施設がなくなる分、やりやすくなります。(クリミアのレーダーしかなくなります)
夜間、沿岸警備艇で忍び寄りドローン部隊を急襲させるなどと言う攻撃も出来るようになりました。
冬は、南部戦線でさらに攻勢をかけると思いますが・・
クリミアもかなりウクライナ軍の攻撃を受けるでしょうね。ここに兵力を増強すれば、東部や南部が手薄になりますしで、結構ロシア軍は困ると思います。
好き勝手にウクライナ軍がクリミアを荒らせば、南部への補給が滞ると思います。
こういった要素を考え併せて南部とクリミアを複合的に攻撃するのが、ウクライナ軍の冬の攻撃計画だと思います。春になるまでに削れる部分が多ければ、来年の春は最後の決戦になるでしょう。それを目標に冬の作戦計画全体を、目下策定中だと思います。
秋のうちに、トクマクТокмакまで奪還できれば冬から来年の春は、ウクライナ軍が優位に戦いを継続できるように思います。
※例えば、このような攻撃が今後やりやすくなります。
『クリミア半島の造船所で火災、ウクライナの攻撃後=親ロシア派』
ロイター編集
2023年9月13日午後 1:22 GMT+922分前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PDDQNXAU65JNVMH727FY2DIYU4-2023-09-13/
ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/