心のままの夜

　小学校の同窓会があった。
僕の母校は天山のふもとにある小城市立晴田少学校。

この日は２０数名が集まった。
中にはこの日のために関東からわざわざ帰ってきたヤツ、
３０年ぶりにあった人もいた。

あまりにも時間が経っていて「誰だかわからない？？」
という人もいたけれどそこは同級生、
打ち解けるまでにあまり時間は掛からなかった。

小学校というのはルーツでもあり、男も女も今さら見栄を張る必要もない。
今誰がどんな立場であろうと関係なくガキの頃の武勇伝や失敗話、
懐かしい当時のあだ名でどんどん飛び交う。
ふとした話から当時の自分がどうだったかまでも知ることが出来た。

同席されたY先生は８８歳、当時とはふた周りも小さくなっていて
トイレに立つのも付き添いが必要だ。
それでもしっかり出席してくれたことに感謝。

僕の担任だったN先生は８６歳、現在特老施設に入所されているとのこと。
事前に会いに行ってくれた幹事に話を聞くと、
痴呆が進み誰だかわかってくれなかったらしい。
しかし「どなたか存じませんが、訪ねてきてくれてありがとうございました。
みなさんにもよろしくお伝えください。」としっかりした口調で話されたそう。
美人だったN先生がすっかりお婆ちゃんになった写真を見せてくれた。

恩師の存在はありがたいもの、二人の先生は
「人間はいつか老い、そして消えていくもんだよ。」と
身をもって教えてくれているような気がした。

すっかり酔っ払ってしまったが最後に校歌を歌おうということになった。
幹事がプリントを用意してくれていた。
覚えていないという人もいたけれど僕は大きな声で歌った。
この校歌は僕の祖父が作詞をしている。
歌詞をじっくり見ながら爺さんのことを思った。

とても楽しい夜だった。