goo blog サービス終了のお知らせ 

霧ヶ峰自然保護センター 自然情報ブログ

自然情報・登山情報・イベント情報・霧ヶ峰パークボランティアの活動など霧ヶ峰の今を伝えます。

夏の花、続々と…

2020年08月05日 | Weblog
霧ヶ峰にようやく夏がやってきました!


ヒョウモンチョウやシジミチョウの仲間が飛び交い、アサギマダラがふわふわと
ヨツバヒヨドリの花の周りを舞っています。
アキアカネは秋に里へ下りますが、夏は涼しい高原で過ごしています。
夏の大空を飛ぶ姿が気持ちよさそうです。

花は盛りの時期で、今咲いているのは、ハクサンフウロ、シシウド、
コバギボウシ、ノアザミなど挙げればきりがありません。
センター前の園地ではコバギボウシが今年はよく咲いていますね。

車山肩を歩くと、薄紫色の花が目立ちます。
ツリガネニンジン、オオバギボウシ、咲き始めのマツムシソウ。
この間まで主役だったニッコウキスゲの橙色は、
残りわずかですが、今は他の花の引き立て役になっています。

〈車山肩〉


〈ツリガネニンジン〉


〈オオバギボウシ〉

一面の橙色もいいですが、薄紫色の花々も涼しげで良いです。
草むらからは虫の音色が…。
やっと夏がやってきた!と思ったのですが、すでに秋の気配ですね。

さて、センターの前で可愛らしい花が咲いています。

〈イワアカバナ〉
切れ込みの入った花びらの中にある、まあるい白い雄しべが特徴です。
秋になると葉が赤くなるそうで、秋の姿も楽しみです。


〈ゲンノショウコ〉
イワアカバナと同じく、薄ピンク色をしています。
よく見ると雄しべの紫色がアクセントになっていて、いい色合いです。


〈ネジバナ〉
くるーと、らせん状に咲く花ですが、どうしてこんな形をしたのだろうかと
不思議に思えます。子どもの頃に公園などで咲いているのをよく見かけていたのですが、
何度見ても面白い形です。

みなさんも霧ヶ峰に来ていろんな花を探してみてくださいね。

ハナチダケサシとノアザミ

2020年07月27日 | Weblog
いつもなら梅雨明けして夏空が広がる頃ですが、今年は7月末というのに毎日雨模様です。
雨が降る中ですが、思い切って歩いてみると、たくさんの花が白い霧の中で色鮮やかに見えます。


〈ノアザミ〉


〈コバギボウシの蕾〉


〈シシウド〉


〈カラマツソウ〉


〈樹叢の中で木に生える苔〉

近づいてみてみると露がきらりと光ってきれいです。
今、自然保護センター前の園地で多く咲いているのが、ノアザミやハナチダケサシです。
ハナチダケサシは、白やピンクの色合いと独特の形が個人的にも好きな花です。





樹叢の中ではメタカラコウが咲いていました。


茎の周りにびっしりと花を咲かせ、葉はフキのような形と大きさで存在感がある花ですが、
今日見たものは、まだ蕾もあり、雨で花がしんなりしていたせいか、
少し落ち着いた?ような印象でした。

鳥たちは雨の中どうしているかというと、意外とノビタキの幼鳥は雨でも見ることが多いです。
幼鳥が出始めている時期なので、期待して出かけたのですが、いました!
4~5羽位が雨の中でも元気よく飛び回っています。



〈ノビタキの幼鳥〉

幼鳥は目が大きく見えるせいか、とってもかわいいです。
近くにはお父さんノビタキも様子を見守っていました。
すると突然「チ、チ、チ、チ、チ、チ・・・・」と鳴き声が!
周りにはノビタキとホオアカがいました。このホオアカも幼鳥でしょうか。

〈ホオアカ〉

人の気配に驚いたのか、ホオアカがしきりに鳴いていました。
ノビタキお父さんは、自分の子どもたちだけでなく、ホオアカの子どもまで
気にかけていたかどうかはわかりませんが、なんだか自分の子どもたちと同じように
見守っているような気がしてしまいました。

車山肩のニッコウキスゲが見頃を迎えています

2020年07月19日 | Weblog
車山肩のニッコウキスゲが見頃を迎えています。
見頃の判断は難しいのですが、今の様子だと、咲き終わる花とこれから開花する花とがあるので、
今が花数が一番多い状態です。
昨年と比較して花芽は少なめですが、今年の天候不順の中でも花を咲かせた逞しい花たちです。




蕾がまだあるので今月中位は楽しめそうです。
久々の晴れ間とあって、今日の霧ヶ峰は登山者や観光客の方が多かったですね。

〈ビーナスの丘〉

センター職員も霧ヶ峰パークボランティアの皆さんと一緒に巡回をし、道案内やニッコウキスゲ
のことなどお話ししました。


さて、車山肩の駐車場が満車になっている場合は、自然保護センター近くの駐車場から、
ビーナスライン沿いに肩まで続く緩やかな遊歩道を歩くのもおススメです。

〈信濃路遊歩道〉

景色もよく、雲が無ければ、カボッチョという山や、南アルプス、八ヶ岳方面、富士山まで見えます。

〈カボッチョ〉

60分ほどで車山肩へ到着。ニッコウキスゲの群生を見た後に、車山山頂まで歩いて行くこともできます。
緩やかな道ですが、砂利や石が多いので、登山靴がおすすめです。
こちらのコースは40分ほど。




山頂の景色は、是非行って確かめてみてください。

車山肩から自然保護センターへは、ニッコウキスゲの群生を左手に見ながら歩き、
ゴマ石山経由で戻ってくることもできます。
ちょっとササがあるのと、雨の後はぬかるみやすいので、足元が濡れないよう
スパッツがあると便利です。


花もいろいろと咲いていました。

〈ヤマホタルブクロ〉


〈ニガナ〉


〈ヨツバヒヨドリ〉

車山肩からゴマ石山を経由して戻るコースは50分程。
静かに花や景色を楽しめるコースです。この機会にぜひ歩いてみてはいかがでしょうか。

ニッコウキスゲの見頃が間近です

2020年07月15日 | Weblog
車山肩のニッコウキスゲが、遠くから見てもオレンジ色に見えるようになってきました。
場所にもよりますが5割程の開花状況です。

〈2020年7月15日、車山肩・ビーナスの丘〉

今、霧ヶ峰でニッコウキスゲが群生する場所は、電気柵や鉄製の柵で保護してある場所です。
(電気柵は車山肩以外だと車山高原、自然保護センター前、富士見台に設置。また八島ヶ原湿原
のまわりは鉄製の柵で囲んであります)


全国的にも問題になっているシカの食害。
霧ヶ峰では10年以上前からニホンジカの食害によって花の数が減り、2010年には数えるほどになってしまいました。

〈2010年7月20日、ビーナスの丘。ニッコウキスゲの最盛期の時期にも関わらず花数は少ない〉

そこで、観光資源でもあるニッコウキスゲを守ろうと、地権者や行政関係者等で構成する
霧ヶ峰自然環境保全環境協議会が電気柵等を設置。それによりそれ以降は毎年多くの花を咲かせています。
写真を撮る方には邪魔に思えるかもしれませんが、電気柵が無ければ見られないこの景色。
ニッコウキスゲをはじめとする花が守られることで、蝶の数等にも影響が及びます。

さて、ニッコウキスゲは、淡く甘いにおいがすることがあるようです。


花が開いてすぐだと、そんなにおいを感じる人もいるのだとか。
花は、自分の花粉を運ばせるため昆虫にサインを出しますが、そのひとつが匂いです。

花にもいろんな匂いがありますが、この花の匂いを嗅いだことがあるでしょうか。
イブキジャコウソウ。葉をこするとツンとしたような香りがします。


ミントみたい、という方もいますが、私はタイムという、料理にも使うハーブの香りに
似ていると思いました。実際、イブキジャコウソウはタイムに近い仲間だそうです。
霧ヶ峰では外輪や車山山頂の岩場などで見られますが、ビーナスラインを走っていると
アスファルトの脇に生えているのをよく見かけます。岩場が好みなのでしょうか。

続いて、イブキトラノオ。


しっぽのような形をしていて、あちこちで咲いています。ある人は、猫の肉球みたいな匂い
と言っていました。なかなか癖のある匂いです。

梅雨時期でも、雨の止み間には、湿気の中に草花の香りが感じられます。
自然が発するにおいをかぎながら散策するのも楽しいですよ。

夏のふれあい巡回の帰り道で

2020年07月12日 | Weblog
霧ヶ峰自然保護センターとパークボランティアでは、毎年ニッコウキスゲのシーズンに
あわせて車山肩周辺で草原内踏込み防止の啓発と、地域案内とを兼ねた夏のふれあい巡回
を行っています。

昨日までの大雨も上がり、車山肩へ

途中、霧の流れるのを見ながら車山肩に着くと、ニッコウキスゲは見頃には少し早く、
それでも、黄色が目立ってきていました。

ちょっといつもとは違った目線で見てみると、見慣れた風景も新鮮ですね。






車山肩を下り、ゴマ石山から沢渡(さわたり)へ向かう途中、ササで登山道が少し見え辛い
ですが、踏み跡は分かります。この樹叢(じゅそう)の入り口で道が分からなくなる
方がときどきいますが、登山道の右側にあるグリーンロープが目印です。
始まりの所にはピンクテープがしるしてありますので、これを見逃さなければ
大丈夫です。


樹叢の中は湿気が多く、幾色もの緑が、優しく、強く目に入ってきます。




今日は、動物の足跡が見られたので紹介します。
いつも出てくるこちらの足跡は



ニホンジカ(きっと今朝方ツルっとしたのでしょうね)

アナグマ(爪の跡がリアルです)

連日の雨降り

2020年07月08日 | Weblog
7月に入ってから雨が良く降っています
7月1日から今朝までの雨量は300㎜を越えました
年間雨量がそれほど多い訳ではない霧ヶ峰にとって、
1週間ほどで1年間の5分の1程も降ったことになります

ビーナスラインや周辺の道路では通行止めも発生しています

<7日18:30から八島~和田峠は通行止め>

気温も低く、センター付近では今月に入ってから最高気温が19℃に達していません

お問い合わせの多いニッコウキスゲの開花は、咲き始めは例年よりも
早かったのですが、進み方が遅いです。

<ビーナスの丘の開花の様子>

まだまだこれからですね。蕾は準備しているのですが…


センター前の園地でも、黄色が目立ってきました


ニッコウキスゲが焦らしている間に、他の黄色い可愛い花が咲きだしました

<ミヤコグサ>

ニッコウキスゲを楽しむのには、もう少し掛かりそうですがその分長く見られるでしょう

豪雨で被災された地域の報道が毎日される様になり、
いつ霧ヶ峰も災害に見舞われるかも知れません。来園を予定されている方は
道路交通情報や気象予報などをご確認のうえお越しください。






コバイケイソウとニッコウキスゲ

2020年06月24日 | Weblog
今日の霧ヶ峰は、雨が降ったり止んだり、晴れて日が差したりと忙しい空模様でした。
霧の中、出かけてみると、車山肩のコバイケイソウは、じっと佇ずんでいるようでした。

〈車山肩ビーナスの丘 コバイケイソウ〉

立ち止まって花を見ていると、自分も景色の一部になったような不思議な気分になります。
私はこのコバイケイソウが、白いニョロニョロとした某キャラクターに見えてしまいます。

それはさておき、
車山肩のコバイケイソウは葉が多く出ているのですが、花を咲かせているものは少なく
少し寂しいです。ですが、植物にとっては花を咲かせずにいることで、株を弱らせないように
するなど、何らかのメリットがあるのでしょうね。


こんな曇りの日こそ、花の色鮮やかさが際立ち、霧の水分で潤った植物たちが生き生き
しているように見えます。

〈富士見台にて ウツボグサ〉
 
雨で濡れた蜘蛛の巣もキラキラ光って綺麗です。


富士見台では早くもニッコウキスゲが開花していました。



〈富士見台 二ホンジカの食害から花を保護するため電気柵を設置しています〉

夏のような暑さが続いたためか、例年より少し早い開花です。
見ごろがいつになるかは、なかなか予想するのが難しいのですが、
低温や日照不足が続かなければ、7月の上旬あたりが見頃でしょうか。

最後に、

雨に濡れたニッコウキスゲの後ろ姿は空を見上げ、太陽が恋しそうでした。

レンゲツツジが見頃です

2020年06月16日 | Weblog
霧ヶ峰全域でレンゲツツジが見頃となっています。
夏のような暑さが続き、霧ヶ峰でも最高気温が20度を上回る日が
何日もあった影響か、レンゲツツジの開花が一気に進みました。



〈園地のレンゲツツジ〉

辺りからは「ジャ、ジャジャ」とノビタキの鳴き声が頻繁に聞こえてきます。
警戒音です。
茂みの中に巣を作り、ヒナを育てている真っ最中のノビタキ。
天敵に狙われないよう常に周りに注意を払っているようです。


オスもメスも、エサとなる虫を頻繁にとってきて、ヒナに与えています。
もう少ししたら幼鳥が姿をあらわす頃ですが、
元気にさえずる姿が早く見たいですね。

この日は車山湿原から南の耳、北の耳の方まで歩いてきました。
車山湿原はコバイケイソウが咲いていますが、
白い大きな花なので遠くからでもよく見えます。


このあたりの遊歩道ですが、足元にご注意!
ヨシカレハという蛾の幼虫が至る所にいて、何度も踏みつけそうになりました。


(何匹か踏んでしまったかもしれません。ごめんなさい)
ヨシカレハは毒を持っているので、触らないよう注意してくださいね。

車山乗越から南の耳へ行くコースは、広々とした草原が広がり、
開放感のある場所です。
風が吹き抜けとても気持ちがいいです。


風の影響を受けて、こんなふうに変形した木もよく見かけます。


2時間ほど歩き、男女倉山(ゼブラ山)の山頂で一休み。
山頂ではアカタテハが羽を広げて地面にじっとしていたり、
ふわふわと舞ったりしていました。


足早に夏がやってきたような陽気で、花も勢いよく咲き、
鳥も虫も活発に動き回っています。
涼しい風に吹かれながら、そんな生き物たちの姿を見ていると、
自然の面白さを感じます。

梅雨時の散策

2020年06月13日 | Weblog
梅雨に入り、連日強い風や雨が降っているので散策される方は少なく
あまり見かけませんでしたが、歩いてみるといろいろと楽しめます。


八島ヶ原湿原周辺では、ヤマツツジも咲き始めていました。

花はレンゲツツジよりも小さめで、字で書くと同じ朱色と図鑑などには
書かれますが、レンゲツツジよりは少し青味が入ったように感じます。微妙な違いでも
色合いを伝えるのは難しいですね。

歩いていると、アマドコロが結構視界に入ってきます。2㎝程の白く細長い
つぼ型の花をいくつもぶら下げていて、雨風に揺られて音が聞こえてきそうです。
同属のナルコユリとは茎が角張っていることで区別できます。


最近、お問い合わせの多いズミやエゾノコリンゴの花は、ここのところの
風雨の影響もあって、残っていた花もほとんど散っていました。




八島ヶ原湿原から、車山肩へ移動してビーナスの丘を歩くとレンゲツツジも咲いていました。


車山湿原へ降りてみると、コバイケイソウの花が開花していました。

コバイケイソウの花をよく見てみると、沢山の小さな虫たちが集まっていて
良く言われる「虫たちのレストラン」は大盛況!何を注文しているのか中々そこを離れません。


コバイケイソウの近くには、まだ少し花が残っていたズミの木がありました。
咲き始めてきたレンゲツツジの朱とコバイケイソウ、ズミの白が、霧の中に
ふわっと現れては、すうっと消えて幻想的です。


今年のレンゲツツジの開花は、ここ数年の中では早い方ですが昨年冬の
積雪の少なかった影響もあり、蕾の数が少ないようです。


自然の中の植物は、年によって開花時期や状況が変わることがあります。
この先のニッコウキスゲも同様です。今年はどんな姿を私たちに見せてくれるのか
楽しみにしていてください。






オニゼンマイとヤマドリゼンマイ

2020年06月11日 | Weblog
次々と開花する植物に目が行きがちですが、意外と存在感があるのが、シダ植物です。
霧ヶ峰では、オニゼンマイやヤマドリゼンマイがよく目に付きます。


〈オニゼンマイ〉

オニゼンマイの葉が開く前は、先のほうが濃い緑色、両端がとがったような姿をしていて、
何か生き物のような不思議な形をしています。


ヤマドリゼンマイは中心部分が薄茶色をしています。
名前の「ヤマドリ」は、キジ科のヤマドリの長い尾に似ていることから「ヤマドリゼンマイ」と
名付けられたようです。


また、オニゼンマイの濃い緑色の部分とヤマドリゼンマイの薄茶色の部分は
胞子葉といって、中に胞子が含まれています。

〈オニゼンマイ〉


〈ヤマドリゼンマイ〉

この部分をよく見ると「粒粒していて面白いな」と思い、手で取ってみたのですが・・・。
「わ!」とびっくり。花粉のようなものがふわっと飛び出してきました。
これが胞子なんですね!
シダ植物は胞子で増える、と学校で習ったのですが、実際に見たのは初めてです。
みなさんは見たことがあるでしょうか?

このほかに、シダ植物は、ゼンマイやワラビ、クサソテツなどがありますが、
クサソテツは別名のコゴミと聞いたほうがなじみがあると思います。

〈クサソテツ〉

霧ヶ峰には山菜が生えているのですが、国定公園内であること、地権者の所有する土地
がほとんどですので、そのままにしておいてくださいね。

今年は山菜採りをする人が多いため、草原内に立ち入らないよう声かけをする機会が増えています。
実際に、山菜採りで立ち入る場所に外来種が増えているのが現状です。
山菜を味わうのも自然を楽しむ方法のひとつですが、霧ヶ峰の貴重な自然を未来へ残して
いくためにも、皆さんのご協力をお願いします。