霧ヶ峰自然保護センター 自然情報ブログ

自然情報・登山情報・イベント情報・霧ヶ峰パークボランティアの活動など霧ヶ峰の今を伝えます。

八島ヶ原湿原自然情報

2020年05月31日 | Weblog
新緑が色濃くなってきました。ズミ、エゾノコリンゴ、シラカバ、カラマツ…
八島ヶ原湿原で辺りを見渡すといろんな木々の緑が目に入ってきます。




そんな八島ヶ原湿原を歩いていると、ふと、ふわぁ~といい香りがしてきました。
匂ってみても同じ香りは感じられず、何かわかりませんでしたが、花の香りかなと
感じました。

花の香りかと思ったのは、辺りでいろいろな花が開花していたからです。


木道の下の地面には、キジムシロやサクラスミレなどが至る所で咲いていました。


花の内側がツヤツヤな見た目が特徴、アカギキンポウゲも開花していました。


頭上にはエゾノコリンゴの花。
薄紅色のつぼみと白い花、葉の緑、空の青が色鮮やかだなぁと見ていると、
枝の間に所狭しと幼虫が集まり、すごい勢いで頭を振って動いていました。

虫たちの姿もよく目に付くようになってきました。


ナナホシテントウは葉を伝って上から下へ、上から下へと動き回っています。


かと思えば葉の上にじっと止まっているミヤマセセリチョウもいました。

花が咲く季節は、虫たちにとっても活発に活動する時期です。
私がいい香りだと感じた花の香りは、人のためにあるわけではなく、
何か特定の虫を呼び寄せるための匂いなのでしょうね。

ミソサザイとコガラ

2020年05月21日 | Weblog
今朝の霧ヶ峰はあたり一面霧で包まれていました。

木についた水滴がキラキラと輝いていて綺麗です。


ポツ…ポツ…、と水滴が落ちる音を聞いていると
その場でじっと音を聞いていたくなります。
ですが、空気はひんやりと肌寒く、じっとしていられないほどです。
遠くではカッコウやヒバリの鳴き声も聞こえてきます。
こんな時でも鳥たちは元気に活動しているようです。

沢沿いでミソサザイを見つけました。

〈ミソサザイ、写真中央岩の上にいます〉

体が10センチほどで焦げ茶色、尾をピッと立てています。そして瞬間移動!?と思うくらい
俊敏に動き回るので、すぐに姿を見失ってしまいます。
そんなミソサザイをよくよくみると葉っぱをくわえています。




ミソサザイは葉っぱや枝、苔などを使って巣を作ります。
沢沿いを見渡すと、岩のくぼみなどがいくつかあるので、そのくぼみを
利用して巣を作っているのかもしれません。
これから迎え入れるヒナのため、せっせと巣作りに励んでいるのでしょう。

木の上ではコガラが2羽いました。おたがいにくちばしを
くっつけあっていて「?」と思ったら、虫を与えていました。




幼鳥にエサをやっているところだったようです。
幼鳥は親が来るのを待っているだけでなく、自分でも木々を移動しながら
虫を探してつついていました。


親鳥たちは巣作りや子育てに忙しい時期ですね。
立ち止まって、鳥たちの様子を眺めていると面白い行動が見られるかもしれません。

最後に、霧ヶ峰自然保護センターでは、先月からフェイスブックを
始めました。フェイスブックを開き、「霧ヶ峰自然保護センター」で検索してみてくださいね。

春の花が咲きだしています

2020年05月17日 | Weblog
里では新緑が鮮やかな季節になりましたが、霧ヶ峰ではようやく木々が芽吹いてきました。
カラマツの芽吹きは青々と色鮮やかです。


〈カラマツの芽吹き〉

樹叢(じゅそう)の中では、小さな花々が咲いていました。
ヒメイチゲは花の直径が1センチほどの小さな花です。
見つけると、「わぁ!」と声をあげたくなるほどの可愛らしい花ですね。

〈ヒメイチゲ〉

コミヤマカタバミも咲いていました。
花の大きさは直径2センチほどです。

〈コミヤマカタバミ〉

他にも白い花を見つけました。低木のアラゲヒョウタンボクは
花の丈が2~3センチほどの大きさです。

〈アラゲヒョウタンボク〉

写真を撮影した樹叢は、センターからゴマ石山を通り、沢渡(さわたり)へ向かう途中にあります。
林と苔むした地面が広がっていて、鳥や小動物のすみかにもなっています。

〈センターから沢渡間の樹叢〉

この日はカラ類やアカハラなどの鳥が、たえずさえずっていました。
静かな場所ですが、鳥たちの鳴き声はにぎやかです。

この場所を歩く際は、道を間違えやすいのでロープを見失わないよう注意してください。


さて、沢渡では、フデリンドウが咲いていました。

〈フデリンドウ〉

薄青色が可憐な花です。
花の丈は2センチほどで、閉じてしまうとどこにあるかわからないくらいの大きさです。
つぼみがフデの穂先を思わせることが、名前の由来といわれています。


春の花は小さいので、踏みつけないよう気を付けつつ、
どこに咲いているか探しながら歩いてみてくださいね。

車山肩電気柵設置

2020年05月11日 | Weblog
今日は車山肩の電気柵設置作業があり、センター職員も
作業に参加してきました。

電気柵は、ニッコウキスゲをはじめとした植物を二ホンジカ
による食害から守るため、10年ほど前から毎年設置しています。

作業には、牧野組合の方、行政関係者など40人程が参加しました。


シカが侵入しないよう、地面に打ち込んだ黄色のポールに
ワイヤーを4段張ります。
下は40センチほどで、上は飛び越えて入らないよう160cmほど
の高さにしてあります。

今日は富士山や御嶽山などが見渡せ、清々しい風が吹き抜けていました。


電気柵には電気が流れていますが、電圧は8000ボルトほどです。


シカや人が触ってもケガをするほどではありませんが、触ると
危ないので触れないよう気を付けてください。


ただし小鳥にとっては例外のようです。
ノビタキはワイヤーや杭の上にとまってにぎやかに囀っていました。


また今年は、車山肩駐車場から少し下ったビーナスライン沿いにも新たに電気柵を設置しました。


ニッコウキスゲなどの花が咲くようになるには、少し時間がかかるでしょうが、
花々が見られるのを楽しみにしたいですね。




展示物を作っています

2020年05月05日 | Weblog
センターは臨時休館中ですが、この日差しを有効活用して、
剥製と畳の日干しをしました。

〈テラスで剥製を日干し〉

日に当たると毛がふわふわになって、動物たちも喜んでいるかな?
二ホンジカ、キツネ、タヌキ、イタチ、トビ、キジなど
センターでたくさん剥製を展示しています。
剥製は怖い、という印象を持つこともあるかもしれませんが
センターにある展示は表情が豊かで評判がいいです。

〈イタチの剥製〉

鳥の剥製も多数あるのですが、小型の鳥の剥製を所蔵しておらず、
霧ヶ峰でよく見られる野鳥たちのサイズ感を知ってもらおうと、
本を参考に、羊毛フェルトで鳥を作りました。

〈ノビタキ、ホオアカ、コヨシキリ、コゲラなど実物大で再現〉


〈モズ。木の上にとまっていることが多い〉


〈コゲラ。木の周りをコツコツたたきながらエサになる虫を探す〉

本物の風合い、というわけにはなかなかいきませんが、イメージを掴んでもらえると嬉しいです。

さらに、ノビタキが生息する草原を再現しようと、
ススキを園芸用のスポンジにさして、ススキ野原を表現。





〈ノビタキオス・左上とメス右下〉

センターが再度開館する頃には完成させたいです。

最後に、先日制作した霧ヶ峰のぬりえです。


〈画像をダウンロードして使用してください〉

おうちで霧ヶ峰の広々とした風景を想像しながら塗ってみてくださいね。
センターには他にもぬりえがたくさんあり、子どもたちに大好評です。
開館したら是非もらいに来てください。