きらくなたてものや

楽しむ、楽しい、いえづくり、まちづくり

上棟は祭だ!

2007年07月21日 | 鎌倉く邸
夕方、無事棟上完了!

垂木も取り付けが終わり、
引き続き上棟のお祝いを行いました。

まずは棟に、
大工の藤間さんが用意した幣串を立て、
関係者で記念写真。



次に四方払いの儀式。
建て主と棟梁と私とで、
建物の四隅に、
米と塩と酒で、お清めしました。

そしていよいよ次は、
皆さんお待ちかねの餅撒き!

最初に直径20cmほどの四方餅を
建物の軒の四隅から投下!

そしてそのあと、
餅だのお菓子だの小銭だのを、
豪快に投げ下ろす。

近所の子どもたちを中心に、
集まってくれた多くの人たちが、
歓声を上げながらとても楽しそうに、
しばしそれらの争奪戦を繰り広げていました。



私はこの仕事を始めて
初めてこうして上棟をお祝いしましたが、
いやー、これは本当に楽しい!
建て主が、
「これやるためにまた家建てよっかな」
と冗談を言うくらいでした。

こうして楽しく上棟を祝う儀式は、
昔昔はよく行われていたようですが、
昔の人たちは、
家の上棟は、
そこに住む家族にとって、
またそれだけではなく、
その家が建つ近所の人たちにとって、
‘お祭’という認識だったのでしょうね。

そしてその背景には、
膨大な時間をかけて、
大工が材木を刻み、
今日この日の準備を進めてきたことを
みんなでねぎらうという意味も、
あったことでしょう。

ということはこうした儀式は、
家と地域、
建主と職人
の密な関係の上に立っているともいえそうです。

よし、またこの楽しさを味わうために、
仕事しよう!

あ、だからといってこれから縁をいただく皆さま、
お祝いはその気持ちが大事。
そのあり方は色々でいいはずなので、
決して無理はしないでくださいね。

金輪継ぎの手順

2007年07月21日 | 鎌倉く邸
伝統的な木組みによる棟上作業は、
一日眺めていて、飽きません。

見学の見どころの一つは、
様々な継手・仕口が、
どのような方向で、
どのように接合するか、
これを見ることです。

大工や設計者は、
それぞれの継手・仕口を、
それらの強度もさることながら、
見えがかりの意匠、
あるいは仕事のしやすさなども踏まえて、
それらの仕様を決めていきます。

それでは、
鎌倉く邸を例題に、
伝統的な継手の一つ、
金輪継ぎの手順を
以下に示します。



三本の材木を継ぐため、
レッカーで作業のしやすい場所まで運びます。




まずは1本目を継ぐため、
材を横に移動。




材同士を
突きつけるようにかみ合わせ、
込み栓をゲンノウで打ち付けます。




次に2本目。




同じように込み栓。




打ち込んだ込み栓の頭を、
ノコギリで切り落とします。




これで、
3本一体となった材を、
レッカーで所定の位置に移し、
カケヤで叩き込みます。

一日がかりの生舞台

2007年07月21日 | 鎌倉く邸
今日は、
鎌倉く邸の棟上作業。

大工の藤間さんが、
数ヶ月間かけて刻んだ材木が、
いよいよ組まれる日です。

天気が危ぶまれましたが、
作業中はお陽さまが射すほどで、
何とか持ちこたえてくれました。

例によって、
ずっと作業を眺めていましたが、
いいですね、棟上作業は。

木組みの結果を見るのももちろんですが、
線だった材木が、
一日で空間として昇華する、
その過程が、
見ていてとても面白いですね。

結果としての空間は、
設計者側の意図ですが、
木を組み上げる過程は、
基本的には棟梁の意図であり、
それを感じるのがまず楽しい。

そして、
作業の一つ一つの過程を、
もう二度とその状態を見ることはないのだ、
という無常観も手伝って、
それらを見逃すまいと、
つい食い入るように見てしまいます。

そうですね、
一日がかりの生の舞台を観ているような感じです。

この楽しさは、
木の建築ならではですね。

今日改めて、
なぜ自分がこの道を選んでいるのか、
再認識しました。