「妄想研究所」
金が尽きてきたので、私は、妄想研究所に妄想を売りに行った。
午前7時に入所し、裸になって、薄暗い生暖かい塩水タンクに入った。
頭のてっぺんから、つまさきまで、千の電極を付けられて、妄想を続けた。
たくさん、妄想した。たくさん、たくさん。
私の妄想は全て、この妄想研究所から妄想加工工場に送られ、人工衛星に送信され、再び衛星から地球上に振り撒かれる。
そうして、人類は妄想循環の中で、いつまでも想像力を失わず活気を保てるのだ。
あっと言う間に終った。
今回は、ずいぶんと溜まっていたので、いつもの倍以上の妄想を大サービスで、千の電極に吸い取らせてやった。
スッキリした。
私は、けっこうな大金を手に、妄想研究所を出た。
外は夜で、見上げると天辺に青白い満月が笑っていた。
私は、思わず、つぶやいた・・・
“もう、そうんな時間かあ!”
完・・・・・ !
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます