【全部血塗れ】
秋地獄 どろどろ地獄 秋地獄 血まみれ地獄 秋地獄
己は何をする人ぞ
秋の夕刻 血の空地獄 下界に射すは血まみれ明かり
この世の全ては気のせいだからね。
気のせいだから気になるの。
この世界が存在してると思ってる我々自体が気のせいだからね。
自分や他者が存在してると思ってるのも気のせいだからね。
この世の全ては気のせいだからね。
実態があると思うのも気のせいだし。喜びも快楽も苦痛も悲しみも憂鬱も絶望も憎しみも笑ったり泣いたりもも全部、気のせいだし。
気のせいという現象自体も気のせいだし。
言わば実態無きゾンビのような現象だし。
存在してないのに…気のせいで…生きてると…
巨大な血溜りが洋上に発生しグルグル回りながら日本列島に近づいて来た。
血塗られ嵐は日本列島を万遍無く襲撃し、猛烈なドス黒い血飛沫を赤みがかった闇空から滝の様に降らせ大災害を各地に齎した。
血塗られ嵐の夜、薄暗い畳間の中、漆黒の着物を着て吸っていた煙管の先からドロリと血が垂れた。
「お父様、お母様、どうか生き返って下さいませ。そして、この血まみれの世界をご覧ください。世界中どこもかしこも血だらけになりました。世界はこんなになってしまったのです。どうか生き返って、この血みどろの世界をご覧になってください」
薄暗い畳間の隅がどろどろと赤黒く隆起し異臭を放った。
じっと目を凝らして見ると、其の赤黒いどろどろは血膿だらけの両親だと分かった。
両親は一緒に口を開いた。
『お前は間引きされた子だ。お前は目くらだったからだ。お前には目がなかった。目がある場所は赤黒い皮膚で塞がれていた。』
『お前の目玉がある場所は、さらに皮膚の下で異様にせり上がった頬骨によって塞がれていた。』
『皮と骨の牢獄の中に閉じ込められたお前の目玉はでんぐり返っていた。』
『お前が見ている世界は外ではない。お前が見ている世界は間引きされた血みどろの己の内だ』
『死んでいるのは間引きされたお前の方で、お前はでんぐり返った目玉で血に染まった自分の脳髄世界を見ているのだ』
忘れ去られた廃病院の一室。汚い硝子瓶の中にホルマリン漬けにされた目の無い赤子が浮いていた。
だから、この世の全ては気のせいだからね。
気のせいだから気になるの。
この世界が存在してると思ってる我々自体が気のせいだからね。
自分や他者が存在してると思ってるのも気のせいだからね。
この世の全ては気のせいだからね。
実態があると思うのも気のせいだし。喜びも快楽も苦痛も悲しみも憂鬱も絶望も憎しみも笑ったり泣いたり辛かったり楽しかったのも全部・・・・・・
(2014年10月9日のツイート、ほぼ其のまんま)
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)
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