未完小説
全世界に!全く相手にされていない!未完小説!
しぶとく勝手にお届けする恐怖の第七弾!
“脱出不可能な電車にメガトン級の車内放送が時を刻む!
超満員の乗客と共に揺れる中央線特別快速!”
『満員電車はとまらない』
その日、梶尾はいつもより十五分遅く家を出た。
昨夜の談話クラブで飲みすぎた。 頭がガンガンしていた。
梶尾は早足で駅に向かいながら自分の靴にゲロがこびりついているのを見た。
とたんに胃がうねった。
足をゆるめ・・・ああ・・・と、ためいきをつき、これからの通勤の約一時間を想像して吐きそうになった。
この十五分の遅れが、ものをいうのだ。中央線から山手線にいたる人肉地獄の超ピーク。かといって、しばらくほとぼりのさめるのを待っているわけにもいかない。
今日は朝イチでデージー・マトリックス社のAIに特殊暗号回線報告をしなければならないのだ。冷たいAIどもは一秒たりとも遅れや誤情報を許さない。規定の時間に任務に基づいたキチンとした情報をインプットしなければならない。
今朝の報告データは今、梶尾の会社が内偵しているT・H・スパン社の新蛋白質素材細胞型マイクロ・チップ開発の最新データだった。T・H・スパン社は、デージー・マトリックス社の競争相手だ。
梶尾は、喉から苦い胃液がこみ上げてきそうになるのを抑えながら、あれこれと考えをめぐらせていた。
何とか駅にたどり着き、人肉の波に揺られ、やってきた中央線に乗った。
ドアが閉まり、すし詰め電車は走り出す。
ごとん、ごとん、ごとん、ごとん、がたん、ごとん、がたん、ごとん・・・
ごごごごごごごごごごぉぉぉおおお~!
“ ご乗客の皆様にお知らせいたします!この電車は、プロクシマ星系トラルファマドール星行きで、ございます!
トラルファマドール星は機械の星でございます!機械星人の星でございます!生きている人間は行くことができません!
すなわち!ご乗客の皆様が一人残らず死ぬまで、決して、電車は止まりません!それではご乗客の皆様、死ぬまでの長いようで短い御乗車時間を、快適にお過ごし下さい!
なお、この中央線特別快速には、食堂車もトイレも休憩室もございません!すし詰めのまま死ぬまでの人生をお過ごし下さい!飛び降りは御自由ですが、即死&地獄行きを保証致します!
え~!次はぁ~!次はぁ~!トラルファマドール星~!”
未完。
未完小説。それは最初から未完として!未完を目指して書く小説!
必ず未完で終わらせる事・・・・・・決して完成しては・・・イ・・ケ・・・ナ・・・イ
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)
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