木の実幼稚園のゆかいな仲間たち

愛媛県松山市にある『木の実幼稚園』の先生たちによるBlog

成長のきっかけ

2015-01-23 13:21:55 | Weblog

40年近くにおよぶ伝統行事。

今年も大寒にあわせ、マラソン大会が開催されました 


  


今年もドラマがありました。


スタート直後

最高のスタートを切り

最高の位置取りをした男の子がいました。


昨年も上位に入ったこの男の子は

上位に入るには

レース序盤でまずまずの位置取りをしておかないと

あとあとそれが響いてくることを知っているようでした。


スタート直後の大きな右折を終えてからしばらく

次は左にカーブし 川沿いの直線に入ります。

その直線を走り 1週目の折り返しの橋に差し掛かる頃には

ほとんどの子どもたちが それぞれの位置取りを終えています。


そして その折り返しの橋付近で

すぐ後から 「いかん...」 という声が聞こえてきました。

その声は スタートダッシュを決めた かいと君の声でした。



「(もしかして...)」 と、振り返ると

スタート直後に爆発的に走力を使った彼が

ジワリと順位を落としていきます。


ただ 驚いたことに

そのままズルズルと下がり続けてしまうのではと気になった彼は

その後 粘りに粘ってそのまま上位でゴールに駆け込む意地を見せました。


ほどなくしてレース中盤、先頭に立っていたのは

練習会で2位に入ってきていた男の子でした。

そして 今年のレースを引っ張ったのは彼でした。


子どもたちの足音は

レース中に突然速くなったり フッと落ち着いたりと

彼らなりに 周りのライバルの力量を図るかのように

仕掛けたり仕掛けられたりのアップダウンを繰り返します。


そんな駆け引きの中 今年は順位が大きく入れ替わることなく

レースは終盤を迎えました。

スタート直前のハイペースの時間も緊張するのですが、

本当に緊張がするのは このあたりからです。



プレイコートでのマラソン練習で

子どもたちは周りの誰が速いのか

つまり 誰がライバルなのか

おおよそ知っています。


だから

レース終盤は 仕掛け合いが思いのほか壮絶になります。

今日は勝つ。

ライバルに かもしれませんし、

息が荒くなり足が止まりそうになる自分に かもしれません。



例年 レース終盤にして レース最大の山場があります。

最後の橋を渡るカーブと

そのあとの下りの直線です。

抜き去るか 引き離すか くらいついて背中を追うか。

今年の驚きも この山場でやってきました。



最後の橋を渡るために右に曲がった直後まで

ここまでずっとレースを引っ張ってきた男の子が

先頭を保っていました。

今日のレースを作り、

後に続く子どもたちが離されないようにと追ったのは

なおずみ君の背中でした。


そこまでは振り返って確認できていたのですが

そこからほんの10メートルほど進んだところで

つまりほんの数秒あとに再度振り返ったとき

先頭に立っていたのは別の男の子でした。


あまりにわずかな時間の出来事だったので

「( いつの間に)」 と、驚きました。


レース中 彼は最後に使う走力を上手にため続けていただけでなく

最後の局面でそれを出し切るハートの強さを併せもっていたようです。


今年 ゴールテープを切ったのは、こうき君でした。


今日のレースをずっと引っ張っていた男の子も

それ以上の遅れは許さず、2位でゴールしました。



レースの後 応援に駆け付けてくれていた園児のご家族の方から

「練習より順位を落として さっきまで泣いてたんです。

でも、それを見てちょっと『良かった』と思いました。」

という話を伺いました。


「(どんな様子かな?)」と、その子を見ると

たしかに肩を落とし うつむいて暗い顔をしていました。

良く見ると、泣いたあとの目元をしていました。

彼がくやしい思いをしたことを、

そんな気持ちになるくらい意欲をもってチャレンジしたことを

嬉しく思いました



競い合う相手がいなければ

どうすれば勝てるのか考えることもなく、


競い合う相手がいなければ

抜こうとするチャレンジもなく、


競い合う相手がいなければ

競い合ったあとの充実も 反対のくやしさの味わいもないかもしれません。

おそらく 「(あぁ やれやれ、ようやく終わった)」という安堵も(笑)。



マラソンは ただただ順位を競うだけではなく、

いつもの「クラスで」という枠組みと違い

「自分で」という枠組みの中で、

何かの目標を立ててみることはできるか、

目標通りに進まないとき

途中で心折れることなく最後まで走ることができるか、

そういった心の育みこそが、主旨と言えます。


たまたま私の目が届いた一部の子どもたちだけでなく

この競技では 子どもたちがそれぞれの位置取りで

最後まで走りきる一人一人のチャレンジがあります。


一方、毎年思うのは

われわれ大人が競い合いの形を変に歪めることなく

子どもたちがこれから進む世界で

時に順位やスコアといった尺度にさらされても、

その時に自分なりの目標を立て

自らの意欲をもって挑戦することができるように

競い合いの形を明快に示しておいてあげたいです。


  


チャレンジこそ成長。