輪島市(旧門前町)の南の端の方に「大釜」という集落がある。ここは、ゴミで埋まることを自ら選んだ日本で最初の村。
海岸沿いの国道から5キロほど入った山の中。全員が60歳以上の4世帯8人。
バスもなく、買い物に行くにも、病院に行くにも、ひとに頼らなければならない。その頼る相手も高齢者。週1回の買い物、通院も、いつまでつづけられるか…。
地形的に、ゴミの最終処分場に適している。
普通は産廃処分場の計画がもちあがれば地元が反対するのだけれども、大釜は、自ら誘致した。集落まるごと国道近くに移転できることを条件に。
今回の地震は、この大釜から山を下って海岸線に出たその沖の海底が震源地だった。
国道につながるただ一本の山道も崖崩れでふさがれ、お年寄りを比較的元気なお年寄りが背負って、5キロの道のりを4、5時間かけて国道近くの集落まで避難した。
究極の過疎。
格差社会の極限。
産廃処分場のこと、周辺集落の方のお話をうかがうとここもいろいろウラがあるようで、ただただ悲劇の扱いは要注意だけれど、それがたとえ建前の「美談」であったとしても、「村を守るための苦渋の決断」という構図が成り立つ全体構造こそがやはり問題だと思う。
全国に、同じような限界集落がたくさんあり、そのうち少なくないところがゴミ処分場の「適地」だろう。
今後のモデルになるかもしれない。
(市が設けた委員会はこちら。議事録なども。)
阪神・淡路、中越と経験を重ね教訓がいかされているそうで、仮設住宅は予想していたよりよくできていて、彼も「普通のアパートとかわりない」「思っていたよりずっと快適」と言っていました。真夏・真冬を経ないと分からないことも多いと思いますが。
道下の集落を案内してもらいました。(写真も胸を痛めながら実は何枚か撮りましたが、被災者の気持ちを考え、ここには掲載しません。)
倒壊住宅の取り壊しもかなりすすんでいて、前回(4月4日)総持寺門前通りに行ったときのような凄惨な雰囲気はなくなっていましたが、あちこちに更地ができていて、そこにあった暮らしを思うと胸を衝かれます。
更地。取り壊しの順番待ちの家。取り壊しの目処さえ立たない家。更地。更地…
家やお店が建ち並んでいた旧国道から、山が見えます。
多くの人が地震直後の茫然自失状態から立ち直り、仮設住宅での生活にもやっとなれてきたようですが、仮設住宅から出て、もとの場所での生活にもどれる人がどれだけいらっしゃるか。
高齢者が多く(旧門前町の高齢化率は48%)、こういってはなんですが、せいぜいあと10年か20年しか住めない家を再建する気力と資力はなかなかないでしょう。これを機に、金沢などに住む息子・娘との同居を選ぶ人も増えるでしょう。
そうなれば、ただでさえ過疎化で売り上げが落ちている商店も、再建を断念するところが増える。
店が減れば不便になって、なお人が減る。
悪循環。過疎化の加速化。
これまでとちがった復興支援のスキームが必要です。
人生には
自然を破壊したり人びとを苦しめたりしないで済む
そういう選択をする機会が必ずある
もし人が
生涯にたった一つでいい
本当に良かれと思う選択をしてくれたなら
この社会はきっとかわるはずだ
(葬儀で紀子夫人が紹介された故人の言葉)
公開自主講座「宇井純を学ぶ」
6月23日、東京大学・安田講堂。
中心部は、少なくとも表面的には、震災前の状況によくも悪くももどりつつあるといった印象です。朝市のおばちゃんたちも、あいかわらず(僕には不必要なほどと思えるのですが)アグレッシブにがんばっておられます。
輪島市全域の地図を買おうと本屋さんに行ったのですが、「売れないから絶版になりました」。
「たかが人口3万人のまちですからね。しかたないですよ」とやや自嘲気味。地図って、売れても売れなくてもつくるところに出版社の社会的使命があると思うし、これまでそれで頑張ってきたのだろうけど、出版社ももうもちこたえられなくなったというところでしょうか。
地方切り捨ても、ここまで。
どこで、どう反転させるか…。
森下裕美さんの『大阪ハムレット』が手塚治虫文化賞の短編賞を受賞しましたね。去年、LGBTに関する企画をもったときにいろいろ情報集めをしていましたが、偶然、新聞で紹介されていてすぐ読みました。
父親死去後すぐ家にいついたおっちゃんが実の父親ではと疑い荒れる少年。
クラスで女の子になりたいと発表し、学芸会でシンデレラ役を演じる小学生。
老け顔で大学生とまちがわれたまま、心に傷をもつ年上の女性と交際する中学生。
……どの作品も、多様性を認め受け容れるという当たり前かつ深刻な問題を掘り下げ、また大いに笑えます。
そして、みんな、しんどいのです。
僕は、老け顔中学生の話と、女の子になりたい小学生の話がとくに好きです。
読んだときは気づかなかったのですが、『少年アシベ』と同じ作者であることを知ってちょっとびっくり。ほのぼの4コマ漫画から社会性の高い短編へ、画風もがらりとかわり、作者の跳躍の勇気にも感動。
受賞の機会に読みなおしたい一点です。(2)も出てると知ったので、さっそく発注。
「能登のお酒を飲もう!能登の産物を買って能登を応援しよう!」という集まりに行ってきました。能登酒蔵復興市民基金が主催。
数馬酒造の数馬嘉雄社長がわざわざおいでくださり、能登の酒造業の状況など話してくださいました。
地震が起こったのは、ちょうど最後の搾りが終わった時期で、ダメになったお酒はあきらめるしかないにしても、生き残ったお酒は何とかして救おうと、タンク車で27往復して、輪島のふたつの蔵から宇出津(能登町)の数馬酒造の蔵までお酒を運び、預かっておられます。
その後、珠洲市、能登町、羽咋市などから協力を申し出る酒蔵があり、多くのお酒を救出することができたとのこと。よかったです。
「普段はライバル、商売敵なんやけど、こういうときはあれこれ言わんでもみんなパッと動く。」当たり前のようにおっしゃっていましたが、なかなかできることではありません。
せっかくできたお酒を見殺しにできない。--きっとみなさんお酒への愛情で動いておられるのだと思います。
お酒をつくるって、いきものを育てることなのだと、思う。
主催者の方が、「ともかく能登のお酒を飲むのがいちばんの復興支援。だいすきなお酒を楽しく飲んだら、もうそれがボランティア」とおっしゃっていました。
がんばります。
最高の贅沢。
別所の筍。
きめ細かでやわらかく、かといってやわらかすぎず適度に歯ごたえがあります。ほのかな甘みとほどよいえぐみ。
別所の筍は、京都から買いつけにくるほど良質なのですが、やはり地元で掘りたてのものを食べるのが一番。
こちらは、「加賀鳶」。
辛口のお酒はともすればただ辛いだけ、淡麗なだけでうまみが少ないというものが少なくありませんが、加賀鳶は、しっかりとお米の味がする「旨い辛口」です。
おいしい酒ですが、おいしさを主張しすぎず、料理の味を引き立ててくれる、名脇役。最優秀助演男優賞を何回も受賞している名優、といったところでしょうか。
表面はサクッとして中は熱い生でジューシー、ほのかな甘い香りがたって、かなりおいしいです。
いままで見過ごしていたのがくやしい。
1年ほど前から、少し手をつけては多忙にまぎれて先送り、また少し手をつけては積み残し、……になっていた仕事。
5日ほどこれだけに集中できる日をつくられればそれほど難しい仕事でもなかったのだけれど、どうしても、どうしてもその日がつくれずに、ずっと懸案事項。
ずっと、胸にささった棘だった。
きょうやっと仕上がった。
棘が、抜けた。
棘がぬけてほっとしたら、この1年、忙しくはたらいていろんな人に役立ってきたはずだけど、この仕事をあとまわしにしていろんな人に迷惑をかけてきたことにいまさらながら胸がいたんだ。
ささっている棘はちくちく痛かったけど、抜けたあともやっぱり痛い。
操作方法ががらりとかわり、ちょっとしたメールを打つだけでもかなりのストレス。メーカー同士で話し合って、なんとか、せめて基本的な部分だけでも共通化できないのだろうか…。
ワンセグつきのを勧められたけど、そもそもTVはあまりみないほうだし、いらんことだと思って、薄さをポイントに選んだ。
なんでケータイにテレビをつけるんだ、その機能いつ使うんだといぶかしく思っていたら、今朝の朝日新聞に載ってたGoogleのCEOの話でなるほど、日本人は通勤・通学時間が極端に長いからか。
悲しい機能だ…。
どういうわけか記事が消えてしまったので、再掲。
地震から10日後に救援ボランティアで門前町(現・輪島市)門前地区に入りました。
その後もいろいろ情報が入ってきますが、旧門前町、旧輪島市、穴水町のいくつかの地区・集落に被害が集中していて、その他のところでは地震の大きさの割に、意外なほどと言っていいくらい、大きな被害は出ていません。
地元の信用金庫の幹部の方々と懇談する機会があったのですが、「能登町、珠洲市は『被害はなかった』と思っていただいて結構です」「門前なども集中的に被害が出ていて、全体としてはそれほど深刻ではありません」とのことでした。
テレビなどでは特に深刻なところばかりとりあげるので、能登全体がボロボロになっているかのような印象をもたれている方も少なくないように思いますが、能登は元気です。
信金の方がおっしゃるには、被害が一部に集中した今回の地震にあって、唯一、能登全体で大きな被害が出ているのが観光業。「風評被害」のたぐいですね。かき入れ時のゴールデンウィークでもかなりのキャンセルがでたそうです。
能登にあそびにきていただくのが、いちばんの復興支援です、と力説されていました。
被災者を横目に温泉に入ったり、ごちそう食べたり、お酒を飲んだりするのは気が引けるようにも思いますが、能登の一大産業が元気になってこそ能登全体が元気になれるので、みなさん、ぜひ能登へおでかけください。
おいしいものを食べて、能登の地酒を飲んで、すてきなお土産をたくさん買ってください。
ステッカーは、「はんたろうのがらくた工房」から。鮮明な画像で取り出せます。
能登のすばらしさは、きくさんの特設ページで。
日本国憲法
第三章 国民の権利及び義務
第十二条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
http://www.9-jo.jp/
きょうはあらためていろいろ勉強し直し、自分に何ができるか、何をするべきかをじっくり考える日にしたいと思います。
午後は、60周年記念集会へ。