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ゴミに埋まることを選んだ村

2007年05月18日 | 鬼笑が話す

輪島市(旧門前町)の南の端の方に「大釜」という集落がある。ここは、ゴミで埋まることを自ら選んだ日本で最初の村。

海岸沿いの国道から5キロほど入った山の中。全員が60歳以上の4世帯8人。
バスもなく、買い物に行くにも、病院に行くにも、ひとに頼らなければならない。その頼る相手も高齢者。週1回の買い物、通院も、いつまでつづけられるか…。

地形的に、ゴミの最終処分場に適している。
普通は産廃処分場の計画がもちあがれば地元が反対するのだけれども、大釜は、自ら誘致した。集落まるごと国道近くに移転できることを条件に。

今回の地震は、この大釜から山を下って海岸線に出たその沖の海底が震源地だった。
国道につながるただ一本の山道も崖崩れでふさがれ、お年寄りを比較的元気なお年寄りが背負って、5キロの道のりを4、5時間かけて国道近くの集落まで避難した。

究極の過疎。
格差社会の極限。

産廃処分場のこと、周辺集落の方のお話をうかがうとここもいろいろウラがあるようで、ただただ悲劇の扱いは要注意だけれど、それがたとえ建前の「美談」であったとしても、「村を守るための苦渋の決断」という構図が成り立つ全体構造こそがやはり問題だと思う。

全国に、同じような限界集落がたくさんあり、そのうち少なくないところがゴミ処分場の「適地」だろう。
今後のモデルになるかもしれない。

  (市が設けた委員会はこちら。議事録なども。)


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