Japanese and Koreans invaded Asia. We apologize.

遅ればせながら

2010年05月22日 02時17分37秒 | Weblog
遅ればせながら、日米同盟の正体を読んでみた。

 まず、大きな枠組みとして、アメリカの戦略として、

108項
(1)唯一の超大国として米国の地位を十分な軍事力で永久化させる。
(2)この目的達成のため、集団的国際主義は排除する、危機において単独で行動できるようにする
(3)同盟国の日本にはこの体制に協力させる。


がある、といわれる。

 142項

(2)米国は自己の戦略上の日本の基地を重視し、その見返りとして、日本の安全を守るという戦略的取引を提示し今日まで至っているが、この取引は以前米国にとり有利なものである。この取引を中心に日米関係を築けば双方に多大の利益がある。その際日本側は負い目を感じる必要はない。
(3)極東地域において日米の安全保障の利益は一致するケースが多く、この協調関係は維持する。しかし、・・・世界希望では日米の関係は必ずしも一致しない。後者を強引に追求することは、極東で協力関係にひびが入ることになる。


というわけで、日米安保体制が、2005年の「日米同盟:未来のための転換と再編」という国会の承認を経ない新文書によって、変わってしまった、ことに対する警笛を鳴らしている。

なお、太字で強調した部分は特に重要であろう。アマゾンの書評にあるように、

日米同盟:日本の基地提供=アメリカの日本防衛

ということで、米軍に協調した自衛隊の海外派遣は不要、という含意もでてこよう。

 もっとも、著書の帯に「アメリカ一辺倒では国益損なう」とあるように、米国追随に懐疑的でありながら、極東に関しては米国に対する深い信頼があるところにも注目しておきたい。

それはいいとして、
核戦略に関して、

ジョセフナイ氏
201項

 われわれにはなすべき任務がある。

 しかし、任務遂行にあたって米国人として負担できる犠牲には限界がある。

 米国の犠牲の許容範囲をおさえ任務達成できのならその手段をつかうべきだ。

 核兵器がその手段であり、必要に応じてわれわれは使用する。

 という点に着目している。
 米国の論者がそう考えるなら、他の国でそう考える人がいてもおかしくない。
 

核の傘について、
214項

 米国の核の傘は米国本土攻撃という人質をとられたときに機能しなくなる。ここから欧州主要3カ国はそれぞれ異なった戦略を選択した。英国は自ら核兵器を保有し、これを取引材料として米英戦略の一体化を目指した。フランスは独自の核兵器をもった。ドイツは核兵器に依存することなく、敵となるソ連との間の対立点の減少を目指す独自の対ソ外交を展開した。3者に共通するのは米国への依存で十分との判断をしなかった事である。


といことで各国しのぎを削っている。


キッシンジャー氏は、

核保有国の戦争は中小国家でも核兵器の使用につながる。

核兵器を有する国にはそれをもちいずして無条件降伏を受け入れることはないであろう。一方でその生存が直接脅かされるているとき以外は、核戦争の危険をおかす国もないだろう。

無条件降伏を求めないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存を問題を含まない枠をつくることが米国外交の仕事である。


とみているようであるが、これなら、中小国家でも核武装した方がお得、ということなろう。

 日本の核武装に反対する理由として、

224項

第一に・・・核を保有することは核戦争を覚悟せざる得ない。
第二に・・・・日本は都市に政治経済の集中がすすみ、核攻撃に極めて脆弱・・・その一方で日本はロシア・中国の広大な地域からして、壊滅的打撃を与えられない・・・
第三に・・・・核兵器を保有するとなると、とりあえず日本が反撃し後を米国に託そう、とする人物がでてくる・・・


というがこれはあまり説得的とは言えまい。

 相手に主要都市に対する被爆を覚悟させることで、相手の戦争参入を抑止し、また、仮に戦争になっても、無条件降伏までは避けられるとすれば、中小国家にとっては、わりにおいしい道具であろう。


240項
 
抑制とは得られる利益とは釣り合わないリスクを押し付けることで相手にある行動方針をとらせないようにする試みである

というキッシンジャーの言を引用し、氏は、しかし、軍事的に均衡をとるのではなく、経済的相互依存関係を深めて相手に戦争をするリスクを高めさせる、という道を探る。

 これはこれで悪くないが、しかし、それだけでは十分でないから、各国苦労しているわけであろう。

 別に、無条件に核武装すべし、というわけでもない。イランや北朝鮮が核兵器を保持するすることを是認するわけでもない。しかし、中小国家が核兵器をもつことは戦争の危険を高めるーーー高めるのだろうか?---というより、現在の核兵器保有国の国際的地位を劇的に低下させる、という意味のほうが強いのではないか?

 グローバリゼーションだけでは不十分であると思うが、しかし、アメリカ一辺倒でいいのか、という問題意識、日本がそれ以外の様々な選択肢を持つべきだ、という著者の視点には同意する。
 
 なお、本書は様々なブログで取り上げられているが、

『日米同盟の正体』(講談社現代新書)を読む(1) 地球大に考える
『日米同盟の正体』(講談社現代新書)を読む(2)地球大に考える

土佐のまつりごと
などに多くの引用文がある。

 また、[投稿]-読書メモ-
孫崎享著「日米同盟の正体 迷走する安全保障」
日本政府は対米一辺倒からいまこそ脱却すべき


日米同盟の正体 孫崎享 を読んでみた。阿修羅レベルの方にはお勧めの本。
http://www.asyura2.com/09/wara8/msg/335.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2009 年 4 月 20 日

なども参照

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