9月25日午前10時、有楽町の東京国際フォーラムにて投資主総会が開催された。投資主総会に
出席したのは初めてであったが、目的は総会ではなく総会後に開かれる運用報告会である。総会
は15分程で終了。 特に異論もなく終わる。その後、執行役員が運用状況を説明した。出席して
初めて知ったが、株式会社と異なり投資法人の総会は2年の間に一回は開催すると定めており、
今回の総会はなんと2年ぶりだ。
説明は意外に長く、質問時間になったのは11時を10分以上すぎてからだ。質問はとの声に早速手
を挙げた。説明の中で気になったのは当法人は投資法人債を発行はしていないのは知ってはいたが、
借入先リストの農中信託銀行からの借り入れに関してである。1年以内返済予定の長期借入金53億円、
76億円の二つの借り入れの返済期限が2010年5月に到来する。 この負債が少しくせ者で借り入れ先
は農中信託銀行となってるが、もともと破綻したリーマンが組成したローンで、貸出ローンを農中信託に
信託した上でリーマンが投資家に売却したものだ。 すなわち、農中信託が当法人に直接貸し付けた
ものではなく、その裏に投資家が存在している。よって形の上では貸付であっても実質的に投資法人
債を発行しているようなものである。
これが意味するところはかなり大きい。投資法人債のリファイナンスがきわめて困難な中、当法人
は新規のレンダーを見つけるか資産を売却するか、エクイティを行うかの選択肢をとる必要性に迫
られている。投資法人サイドでは①MAなどによる負ののれん代の活用、②新規レンダーの発掘、
③官民ファンドの活用などを指摘したが、投資主割り当て増資の可能性について質問するとそれも
オプションとして考えられるとのことだ。但し、ディスカウント状態での増資には金融庁の反応が
どうなるのかといった問題や株価の設定などの問題があるとのことだが、私に言わせれば1:1の割当
増資を発表して払込日の1週間前位に当日の株価の70%とかに設定すれば株価はいきなり半値とか
にはならないと思う。
海外のREITの場合持ち株100株当たり何割かの株数を割当てた上で株価の70%を行使価格とする
といったケースはよくある。日本のREITの場合は、1株単位なので持ち株の比率に応じてといった昔
日本でよくやっていた中間発行増資の形態がとりずらい面は確かにあるだろう。MAに関しては執行
役員は具体的なことは当然言わなかったが、選択肢としては考えているとのことだが、今までの
MAは全てREIT自身の破綻、スポンサー破綻によって実現していることからその可能性に関しては
高い、低いは判断できない。
説明したのは辻芝執行役員
話を聞いていて面白かったのは、金融機関とのかなりタフな交渉で執行役員自身がレバレッジを
下げたがっていたことだ。 彼の話によれば、金融機関は結構酷いと感じているようだ。「投資主
なんかに分配金払わなくていいでしょ」みたいな事をいう銀行の営業がいるとかいないとか。確か
に手のひらは返すのが当然といった銀行が多いのは事実だが、そこはプロなんだから頑張ってほしい
と思う。格付け機関に対しても批判的であった。彼いわく、格付け会社はスポンサーのクレジット
だけしか見ていない。資産の中身なんか全然見ていないという批判だが、それに関しては同意でき
る。執行役員のぼやきは聞いていて面白くはあったが、あまり時間的な余裕はないのが実情だ。
リファイナンスが不可能というわけではないが、官民ファンドの利用による懲罰的な金利を支払う
ことになれば分配金の大幅な下方修正も考えられる。MAなどが可能となったとしても5月までに合併
した上で資産売却というのもスケジュール的にかなり厳しい。また資産内容も外部成長ができなくな
っていることで時間が経つ分だけ築年数は古くなっている。(図)
これらのことを考え合わせるとあまり明るい未来という感じがしないが、一発逆転のMAが起これば、
株価の上昇なども期待はできるが、細かく見れば見るほど選択肢は極めて狭いのが現状だろう。
出席したのは初めてであったが、目的は総会ではなく総会後に開かれる運用報告会である。総会
は15分程で終了。 特に異論もなく終わる。その後、執行役員が運用状況を説明した。出席して
初めて知ったが、株式会社と異なり投資法人の総会は2年の間に一回は開催すると定めており、
今回の総会はなんと2年ぶりだ。
説明は意外に長く、質問時間になったのは11時を10分以上すぎてからだ。質問はとの声に早速手
を挙げた。説明の中で気になったのは当法人は投資法人債を発行はしていないのは知ってはいたが、
借入先リストの農中信託銀行からの借り入れに関してである。1年以内返済予定の長期借入金53億円、
76億円の二つの借り入れの返済期限が2010年5月に到来する。 この負債が少しくせ者で借り入れ先
は農中信託銀行となってるが、もともと破綻したリーマンが組成したローンで、貸出ローンを農中信託に
信託した上でリーマンが投資家に売却したものだ。 すなわち、農中信託が当法人に直接貸し付けた
ものではなく、その裏に投資家が存在している。よって形の上では貸付であっても実質的に投資法人
債を発行しているようなものである。
これが意味するところはかなり大きい。投資法人債のリファイナンスがきわめて困難な中、当法人
は新規のレンダーを見つけるか資産を売却するか、エクイティを行うかの選択肢をとる必要性に迫
られている。投資法人サイドでは①MAなどによる負ののれん代の活用、②新規レンダーの発掘、
③官民ファンドの活用などを指摘したが、投資主割り当て増資の可能性について質問するとそれも
オプションとして考えられるとのことだ。但し、ディスカウント状態での増資には金融庁の反応が
どうなるのかといった問題や株価の設定などの問題があるとのことだが、私に言わせれば1:1の割当
増資を発表して払込日の1週間前位に当日の株価の70%とかに設定すれば株価はいきなり半値とか
にはならないと思う。
海外のREITの場合持ち株100株当たり何割かの株数を割当てた上で株価の70%を行使価格とする
といったケースはよくある。日本のREITの場合は、1株単位なので持ち株の比率に応じてといった昔
日本でよくやっていた中間発行増資の形態がとりずらい面は確かにあるだろう。MAに関しては執行
役員は具体的なことは当然言わなかったが、選択肢としては考えているとのことだが、今までの
MAは全てREIT自身の破綻、スポンサー破綻によって実現していることからその可能性に関しては
高い、低いは判断できない。
説明したのは辻芝執行役員
話を聞いていて面白かったのは、金融機関とのかなりタフな交渉で執行役員自身がレバレッジを
下げたがっていたことだ。 彼の話によれば、金融機関は結構酷いと感じているようだ。「投資主
なんかに分配金払わなくていいでしょ」みたいな事をいう銀行の営業がいるとかいないとか。確か
に手のひらは返すのが当然といった銀行が多いのは事実だが、そこはプロなんだから頑張ってほしい
と思う。格付け機関に対しても批判的であった。彼いわく、格付け会社はスポンサーのクレジット
だけしか見ていない。資産の中身なんか全然見ていないという批判だが、それに関しては同意でき
る。執行役員のぼやきは聞いていて面白くはあったが、あまり時間的な余裕はないのが実情だ。
リファイナンスが不可能というわけではないが、官民ファンドの利用による懲罰的な金利を支払う
ことになれば分配金の大幅な下方修正も考えられる。MAなどが可能となったとしても5月までに合併
した上で資産売却というのもスケジュール的にかなり厳しい。また資産内容も外部成長ができなくな
っていることで時間が経つ分だけ築年数は古くなっている。(図)
これらのことを考え合わせるとあまり明るい未来という感じがしないが、一発逆転のMAが起これば、
株価の上昇なども期待はできるが、細かく見れば見るほど選択肢は極めて狭いのが現状だろう。