東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

ブラタモリ~江戸の動物 中野編を見る

2011-11-11 17:13:57 | ブラタモリ
NHKの「ブラタモリ」は楽しませてもらっている番組だ。東京の町歩きという、極めてローカルなテーマで全国ネットで放送しているというのも面白いのだが、NHKらしく丁寧な作りで現代の町の中に眠る過去を掘り起こしてくれるというところで、期待させられてしまう。惜しむらくは、タモリ氏は九州人であり、久保田アナも静岡出身と、古くからの東京という町の文化について少々手薄であるところ。古地図や地形のことだけでも面白いのだが、江戸から続いた東京という町が持っていた文化についても、もう少し愛着を持ってもらえればという気がする。
とはいえ、第三シリーズがいよいよ始まったことにちなんで、ブラタモリをより楽しもうというテーマで毎回放送後に茶々を入れたり、感想を書いたりしてみようと思う。

さて、第三シリーズのスタートは中野。そして、テーマとしては江戸の動物ということだった。「生類憐れみの令」というのは、かつて教科書で習った覚えがもちろんある。そして、現代ではその見直しも進んでいて、単純に犬公方の気まぐれでみんなが大変でしたという単純な図式ではなかったとも聞く。

江戸時代の面白さにはペットブームというのもあって、犬は勿論のこと、金魚やウサギやらも大流行して、禁令が出されるほどだったともいう。金魚の品種改良というのも、江戸時代に飛躍的に進んで今もある様々な種類が生み出された。文京区本郷には、江戸以来の金魚屋さんが今も続いている。金魚坂という店だが、今はカフェなどもやっていて、気軽に立ち寄れる場所になっている。菊坂上に近い辺りで、菊坂の旧道沿いにある。大正っ子シリーズの「大正・本郷の子」を読んでから散策してみるには良いところだ。
 また、ウサギも非常に流行ったようだ。今でも下町らしさというと、軒先に並んだ植木を思い起こすのだが、動物以外でも朝顔などは一大ブームを巻き起こしている。江戸時代というと昔のことのように思いがちだけど、この時代に行われた品種改良など行われた成果というのは凄まじいモノがある。

さて、今回取り上げられていたお囲いだが、1695年に設けられ、1709年には綱吉の死によって廃止されている。存在したのは僅か15年の間だった。その後は、一部は番組で取り上げられていたように桃園になっていったのだが、その他の土地はどうなったのだろうか?なにしろおよそ30万坪にもなろうかという広大な土地である。

江戸市中から甲州へと向かう道筋というのは、特別な意味合いのあるルートである。このルートは江戸城の最終撤退ラインになっていて、江戸城を出てから沿道には親藩と旗本の屋敷しかないということになっている。江戸城に万一のことがあったときには、甲州へと落ち延びることになっていた。ブラタモリで以前取り上げられていた大久保の鉄砲百人組というのも、この一環な訳だ。幕末の東進してくる官軍を迎え撃つ幕府軍が甲府で敗北したというのも、こういった背景がある。この中野一帯というのも甲州ルートに近いところで、その意味合いもあって幕府の直轄施設が置かれていたという側面もあるのでは無かろうか。

その意味合いから見ていくと、犬屋敷の後も幕府の直轄地として残っていったのだろうか。ここまで来てしまうと、私の手持ちの資料では古地図も何も出てこない。現在でも中野駅周辺は広大な敷地の施設が多く、区役所の裏手では大規模な再開発が今も進行している。この辺りには戦前、陸軍の諜報員養成所であった中野学校が存在していた。その跡地に、野方警察に加えて飯田橋から移転してきた警察病院、早稲田に明治、平成帝京大学、そして公園に高層住宅といった施設が置かれている。

こういった広大な敷地が残されているところは、江戸時代以来の由来があることが多い。犬のお囲いの後も幕府の直轄地であったのではないかと思うのは、そういう理由からなのだ。今日に繋がる土地の変遷を探るという点では興味深い点なのだが、今後調べてみて報告しようと思う。

今回の番組クレジットにも出ていた中野区民俗資料館は、西武新宿線沼袋駅近く。一度訪問してみようと思う。

さて、番組中に黒焼きの話が出て来たが、紹介されていた元祖黒焼きの店はこのブログでも以前写真を掲載したことがある。中央通りの上野に近い千代田区外神田六丁目の伊藤黒焼店である。今では東京唯一の黒焼専門店とのこと。

タモリ氏が番組中に話していた幕末の武士の名所巡りの話だが、これについては江戸博に詳細な展示があったと思う。豆に日記を付けていた人物で、江戸の名所を巡り歩いていたことを子細に書き記していた。昔の人が非常に健脚であったことなど、その様子が分かって面白い。また、国元詰めの武士が江戸に来てもすることが無く、暇を持て余して名所巡りをしていた訳である。江戸での仕事は江戸詰の者が大勢いるわけで、用事が済んでしまえば国元からやってきても暇なものだったらしい。

次回は上野動物園とのこと。上野は山の上も下も、江戸時代から明治時代も含めて面白い場所なので、期待したい。材料が豊富すぎるので、どこを取っていくのかという点でも興味深い。


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