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生命を感じる早朝の畑

霜をいっぱいつけたホトケノザ


朝露のクモの巣

ホトケノザはそれだけでも優しそうな感じだが、霜が降りた朝はなおさらだ。葉っぱの緑とピンクの花びらが一段ときれいだ。全身に霜をあびて朝日に照らされた姿は、生命そのものの感じさえする。
すぐそばの野菜はその逆で、太陽のもとでは元気いっぱいだったのに、霜の中でしゅんとしている。葉っぱを茎の付け根からとろうとすると、ポキンと折れてしまうことさえある。全身凍っているのだ。霜が降った朝の畑は真っ白できれいにみえるが、野菜は必至に耐えているのだ。しかし、太陽が霜をとかし始めると、野菜はすぐに本来の姿を取り戻してくる。
畑にはブルーベリーもあるが、どれも10cmばかりのクモの巣をいっぱい付けてキラキラしている。普段は目につかないのに、朝露のクモの糸が朝日をあびて光っているのだ。新芽も朝露がいっぱいでとてもきれいに見える。早朝の畑は、生命を感じる朝でもある。
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「原田マハ」を読む


新型コロナで外に出る機会が減った分、本を読む機会は多かった。一人の作家の小説を読み続けたのは、もう随分昔、司馬遼太郎の歴史小説を読み続けて以来だ。町にある本屋さんでカバーの絵に見覚えがあり、最初に手に取ったのが『楽園のカンヴァス』だった。著者は原田マハ。プロフィールには、「森ビル森美術館設立準備室在席時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館に勤務。」とあった。小説の内容は、アンリ・ルソーの名作『夢』をめぐるミステリーだ。読んでみて新しく知ることも多く、スピーディな展開に飽きることはなかった。キュレーターという職業の内容や、あのピカソがルソーを高く評価していたこともこの本で初めて知った。
ということで、本屋に足を運ぶたびに、原田マハの作品探すことになった。次に手に取ったのが『暗幕のゲルニカ』。暗黒ではない、暗幕だ。『ゲルニカ』自体は、パブロ・ピカソが故国スペイン内戦でゲルニカが無差別空爆を受けたことに衝撃を受けて描かれた絵画だが、小説『暗幕のゲルニカ』を書く動機がこの作家の鋭いところだ。2001年9月に起きた同時多発テロを受けて、アメリカは「テロとの戦い」を標榜し大量破壊兵器開発の疑いがあるとの理由でイラクを攻撃目標に定めた。そしてパウエル国務長官が国連安保理ロビーで記者会見となったのだが、その時長官の後ろに位置する場所には、『ゲルニカ』のタペストリーがあったのだという。しかし『ゲルニカ』には暗幕がかけられた状態だったというのだ。そのことにマハは衝撃を受けたのだという。直感的に、戦争になればイラクの地でゲルニカ同様のことが起こることを思った人物が暗幕をかけたと思ったのだ。小説は、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーターが、『ゲルニカ』をめぐる陰謀に巻き込まれていくというアートサスペンスだが、この本を読み終えて『ゲルニカ』への思いはより強くなった。いつの日か『ゲルニカ』を自分の目で見たい・・・。

読んだ本をひとつひとつ紹介するのは大変なので、写真を参考にして欲しい。読んだのは左から順だ。『ジベニールの食卓』は、クロード・モネやマティス、セザンヌなど印象派の葛藤や作品を、『リーチ先生』はイギリスの陶芸家バーナード・リーチと柳宗悦や濱田庄司らとの交友等を描いたアート小説だ。リーチは小鹿田焼(大分県日田市)も訪れ、作陶しているから親近感がわく。『たゆたえども沈まず』はゴッホの物語り・・・等々。

年末に読んだ『サロメ』は印象が強かった。表紙カバーは黄色地に墨1色で、ヨナカーンの首を手にするサロメ。ビアスリーが描いた絵だ。表紙をめくれば、「あゝ! あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナー ン、お前の口に口づけしたよ」----オスカー・ワイルド〈サロメ〉という台詞。19世紀末の耽美的・退廃的文学の代表的作家で男色家ワイルドと、見いだされていくビアズリーとの禁断の関係などを描いた長編アートミステリーだ。少しゾクゾクするが読み応え十分だった。
今年に入って読んだ『総理の夫』は、42歳の若さで総理に選出された女性の夫が主人公の小説だ。男社会に挑む総理の奮闘と支える夫の日々を日記風に綴っている。ジャーナリストの国谷裕子さんが「あとがき」を書いている。本の帯には映画化決定、2021年秋全国ロードショーとある。こうあって欲しいという作家の思いが詰められた本であり、五月のさわやかな風に似た爽快感を感じた。
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トビ


このところちっとも筆が進まない。新型コロナ感染防止のせいであちこちに出かけられないせいか、それとも日頃あまり読まなかった小説を読みあさったたせいか・・・・?。
立春が過ぎても朝晩の寒さは残るが、田んぼのまわりでは野焼きした後にツクシも出始めた。本格的な春はすぐそこのようだ。ということで久しぶりに筆をとることにした。

トビについて書いておきたい。と言ってもたいしたことではない。ネットで検索すればたくさんのことが分かるはずだ。
トビの俗称はトンビだ。こちらの方がなじみやすいかもしれない。日本全国どこでも見ることができる大型の鳥だ。それ故、だれでも一度ならず目にしているはずだ。わが家周辺でもいつでも姿を見ることができる。田んぼ周辺では最も大きく、代表的な猛禽類だ。食べ物はカエルやヘビやネズミのほか、死んだ動物を食べたりするようだ。一度は20〜30cmの死んだ魚を数羽のトビがつついているのを見かけたことがある。
羽を広げれば1.6mほどにもなる。尾は三味線のバチのようにきれいな三角をしている。鳴き声はピーヒョロロと澄みきった声だ。色は鳶色と言われる濃い茶色だが、下から見上げると羽の先端近くに白い部分があり印象的だ。電柱の上から目をひからせていることもあるし、畔や畑でじっとしていることもある。カラスからちょっかいを受けながら逃げ回っていることもあるし、たくさんのトビが気流をつかまえて鷹柱をつくりぐるぐると回っていることもある。それでも最もトビらしく感じるのは、青い空を背景にゆっくり大きな輪を描いている時だ。上空から獲物を探しているのだろうが、羽を大きく広げ、羽ばたくことなく、時折尾を左右に揺らせながらゆっくりと飛ぶ様は優雅にも見える。気流をつかまえる名人だ。

冬場には枯れ木などにたくさんのトビが集まっていることもある。この冬に見たのは枯れ木に10羽ほどだが、20年ほど前には30羽ほどが骨だけになったビニールハウスに集まっているのを見かけた。何のために集まっていたのか分からないが、情報交換の場かだったのかあるいは気に入った相手を捜すためだったのか・・・。近くから見ると何か威厳みたいなものを感じ圧巻だった。
今日も晴れ渡った空にゆったりと大きな輪が描かれている。春だ!
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