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佐土原人形DVD


「賞・表彰」などと言うことには全く無縁・無頓着のため、染めの作品など、ほとんど展示会に出品したことがないが、ちょっと後悔していることがある。
2009年、関係者でDVDを制作した。関係者とは、佐土原人形制作者と佐土原人形に関心を寄せる約10人。佐土原人形は、江戸時代から続く土人形だ。約50年ほど前、岩波書店の雑誌『世界』のグラビアで全国の土人形が紹介された。その中に佐土原人形が入っていた。それを見た土人形の収集・研究の第一人者が、「自分が知らなかった人形がある」として、佐土原人形を高く評価した。代表的なのは、数あるジャンルの中で歌舞伎人形だが、職人たちが腕を競い合った明治期前後のものは、全国指折りと言って間違いない。独特のデフォルメと鮮やかな色使いには目を見張る。だがそのため、地元で評価する前に、都会の骨董商に買い荒らされたこともあるのだが・・・。
ところで、DVD制作当時「ますや」と「陶月」という2つの工房があったが、共に夫婦での制作、かつ高齢。いつまで続くか分からない状況だった。そのため、宮崎市文化振興基金事業を活用し、制作工程や技術、また背景などを記録し、万一に備えることにした。カメラは、某放送局の元編集者の友人との思いもあったが、素人の方がいいとの思いで、地元出身の元校長先生に依頼した。ナレーションは、演劇や読み聞かせをやっていた友人に頼んだ。だが肝心の脚本作りに苦戦。何度か書き直した末に、どうにかDVDとして完成させた。タイトルは、『伝えていきたい佐土原人形』。学校でも使いやすいようにと35分に編集。気になるところはあったが、まずまずの出来で、「優」ならずとも「良の中」程度にはなった。関係者間の試写でも好評。出来上がったDVDは、地域の学校をはじめ、県立図書館・美術館・博物館にも収めていただいた。欲しい人には一部1000円で買っていただいた。その後、地域の方々へのお披露目会やTV出演など済ませた頃だったか、元編集者の「コンテストに出してみたら」との声。その気になり「地方の時代映像祭」に出品したところ、エントリーの通知。それは、毎年関西大学構内で行われる全国的なもので、「地域」に焦点を当てたドキュメンタリー作品が数多く集まるコンテストだった。そこでエントリーされたのだった。
だが、ここでちょっと困った。エントリーされたとはいえ、出かけて行くにはそれ相応のお金が必要だし、時間も必要だ。それに作品に気に入らない部分もあったため、皆には知らせずにパス。なので、当然「賞」は無し。「賞」が取れたかどうかわからないが、関係した皆には申し訳ないことをした。もちろん、「賞」が欲しいなどとは、ちっとも思わなかったのだが、今思えば、少し後悔、皆で遊びのつもりで出かければよかったと思っている。
尚、現在佐土原町内では、江戸末期から続く「ますや」は、若い女性が跡継ぎに手をあげたが、「陶月」は廃業となった。他に、独自の土人形で全国展開に道を開く若い女性が、新しい工房を開いた。今後を見守りたい。
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