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「日は東に月は西」


「菜の花や月は東に日は西に」
画家であり俳人でもある与謝蕪村が詠んだ句だ。1774年(安永3)3月23日に詠まれた句 とされている。しかし当時は旧暦。様々な考察の末に、実際には旧暦の3月23日に詠んだのではなく、その10日くらい前に見た光景を思い出しながら3月23日に詠んだのではないかと言われているようだ。

それはそれとして、今日の月はまるで逆。「日は東に月は西」だ。
朝、夜があけると九州山地を眺めるのが一日の始まりだ。九州山地の方を見れば、空気の澄み具合から一日の天気までおおよそ分かる。今朝はガラス越しではなく、外の空気も感じたく玄関を出た。出た途端「オオッー!」。青い山地の上にまんまるの白い月が出ているではないか。何とも絵画的。それも東山魁夷氏の絵のごとし。これはカメラにおさめておかねば・・・。ということで撮った一枚。なんだか神秘的でもあり、月から地球を眺めると「ああいう風に在るのだろうか」とも思った。
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幸子と千盡展

佐藤幸子「野の花のために」


宮崎神宮に至る県道に一の鳥居がある。銅板葺きの大きな鳥居だ。そのすぐ近くに小さなギャラリーがあり、何度か足を運んだことがある。今はもうないが、名前はギャラリーバード。そこを主宰されていた幸子さんと千盡さんの二人展を、わがギャラリーでやることになった。二人は、かつてジャズハウスも経営されていた。宮崎市周辺の方なら、その名前に聞き覚えがあるかもしれない。ジャズハウスアミーゴだ。結構広いジャズハウスで、バンバン音がなっていたように思う。しかし、私の記憶に焼き付いているのは、その音より床にごろんところがっていた木彫の方だ。どこか波長が合うところがあったのかもしれない。


佐藤千盡「老人と海と空」


それから数十年・・・。幸子さんは喜寿、千盡さんは傘寿という歳になっていた。その二人が日頃積み重ねられてきた作品を観る機会があった。どこだったか定かでないが、幸子さんの陶器に接したのが最初だったように思う。「力」を感じた。はち切れんばかりの命のパワーだ。それは、油彩画を観た時にも感じた。花なら花の命を爆発させていた。
そのパワーに対して、千盡さん木彫は、静かに緊張感を持ってそこにあり、何かを語っていた。油彩画も然りだ。淡々と静かなリズムを奏でていた。ひとつの別世界がそこにあるようだった。

この二人の作品、やはりみる人は視ていた。池田満寿夫氏。画家であり版画家であり彫刻家であり・・・・。様々な分野で活躍した人だ。その池田満寿夫氏が幸子さんの陶器や油彩画を認めていた。そして宇佐美圭司氏。人型を組み合わせた作品や最初にレーザー光線を用いた作品などで知られる現代美術作家だ。その宇佐美圭司氏が千盡さんの油彩画を評価していた。そのようなことも思いおこしながら、年明けからの「幸子と千盡展」を楽しみに待ちたい。

◎新春「幸子と千盡展」
・2019年1月6日(日)〜14日(月)
ギャラリー野の苑(宮崎市佐土原町)
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