2日目。地質探訪を目的とした旅は、この日がメインだ。天気はまずまず。最初に寄ったのが上甑島北部にある「長目の浜(眺めの浜)」。展望所から眺めれば、ずっと先まで約4kmの浜が続いている。たえまなく打ち寄せる波や沿岸流は、小さなリアス式海岸の入江を堰き止め、いくつかの池を作り出した。絶景。しばし堪能。だが、海岸には我われの仲間・人類が作り出したゴミの帯が長々と続いていたのは残念。尚、遠くに天草や長島が望めた。
次に寄ったのが「鳥の巣山展望所」。中甑島を通り越し、昨年できたばかりの甑大橋を渡ったところにある。下甑島の北端に位置する。車を降りて展望所まで登ると、今通ってきたばかりの甑大橋が眼下に見えた。雄大な景観である。しばし堪能。そこから灯台の方へ降りる階段で、先に降りた参加者が、大きな声で「ストップ!」という。階段が集合写真のスポットと捉えたようだ。何枚か写真を撮られた。灯台付近でも、しばし景色堪能。そこから少し下れば、カノコユリの群生地。しかし今は11月で何もなし。見ごろは7〜8月なので、雰囲気だけ想像しながら甑海峡方角を見れば、雲間から海面へ伸びた一筋の光の帯。「天使の梯子」という声が聞こえた。幸せを呼ぶという。これまたいい景色に出会えた。
ところで、旅行会社から「観光船かのこ」での断崖クルーズ・西海岸コースは中止との連絡が入った。東シナ海が荒れていて、危ないのだ。なので、東海岸コースへ変更したいとのこと。ちょっと残念だが、断崖を見ないで帰るわけにはいかない。そこで、陸上から鹿島断崖が見える「夜萩山公園」へ案内していただいた。遊歩道を登って尾根筋へ向かうと、途端に強風。帽子も飛ばされそうだ。深くかぶり直し、さらに歩を進めると、「おおっ!」と声をあげたくなった。左手に海岸からそそり立つ「鹿島断崖」だ。高さ約200m。幾筋もの地層は、太古からの歴史を感じさせてくれる。案内書などによれば、白亜紀から古第三紀の地層だ。最も古いもので、恐竜やアンモナイトが生息していた約8000万年前のものという。この鹿島断崖は、2009年に学術的価値を認められ、「日本の地質百選」に認定されている。その断崖が目の前なのだ。パンフレットなどで見るより、地層ははっきりとして、全体的に黒く荒々しく見えた。エメラルドの海の色と砕け散る白い波が、より一層際立たせていたのだろう。静まった海上から見上げる断崖とは一味違った断崖を見たのかもしれない。甑島に住む案内者も、ここにきたのは初めてということだった。今後は、観光船が出ない時には、ここに連れてくると決めたようだ。