あれほど用心深い鳥なのに、3、4m先に見つけた。わずかに水が湧き出る湿地を歩き回っていた。ヒクイナだ。普段ならカメラを取り出す間もなく、隠れてしまうのに、今日はバッチリ。とはいえ、こちらは身動き不可を強いられた2、3分。
このヒクイナ、三夏(さんか)の季語だ。三夏とは、爽やかな暑さの初夏、梅雨どきの蒸し暑さの仲夏、炎暑の晩夏のことだ。まだ、初夏でもないが、この鳥に出会ってちょっぴり嬉しくなった。自然がどんどん遠ざかる中で、足下にまだ少し生態系が確保された自然が残っていたのだろう。
ヒクイナは環境省レッドリストでは、準絶滅危惧(NT)に分類されている。準絶滅危惧(NT)とは、現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種ということだ。意識して自然環境を守っていかなければ、すぐに絶滅危惧種になってしまうだろう。