HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
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大物俳優vs無名片腕女剣士 『獨臂空手刀』

2008年11月14日 | 武侠映画

 当ブログでは久々の武侠映画となる今回の紹介作品は『獨臂空手刀』(70)です。もうこの毒々しい字面見ただけでワクワクしてきますね、私。


かつて素行の悪さで師匠から破門された青年が、妖刀を手に入れた事により完全に悪の剣士と化し、一門への復讐の為かつての兄弟弟子を斬り殺し、なおかつ同門であった彼の妻までも毒牙に掛ける。道場の変わり果てた姿を目の当たりにした門弟たちは仇討ちを誓い、悪の剣士に立ち向かっていくがことごとく返り討ちに遭う。そんな中、皆から死んだと思われていた道場主の妻は片腕・片目を失いながらも生きていて、山奥の洞穴で謎の女僧の元で武功の修業を行っていた。果たして残された弟子たちは悪の剣士に正義の一太刀を浴びせる事が出来るのだろうか?そして隻腕隻眼の女剣士となった道場主の妻は間に仇討ちに合うのか…?

              

 以前にも言ったと思うが、私は邵氏が手がけた豪華絢爛な大作武侠片よりも、こういった中小プロダクションが作ったアイデア勝負・パクリ上等の個性的な小品が大好きだ。当作もタイトルに「獨臂」「空手」という文字が入っており否応無く期待は高まるばかりだ。だがこの作品、実は「獨臂刀」が主人公ではないのだ。
 

             


 この映画の主人公は妖刀を手に持つ悪の剣士なのだ。黒ずくめの衣装と白い歯を見せ憎々しく笑う彼に「悪の魅力」を感じるのである。その悪のオーラには普通ならもっと表に出てもいいはずの正義側の登場人物を霞ませるほどだ。もっとも彼らは道徳心を持ち品行方正なので、欲望に燃えた悪の剣士の前では目立ちようも無いのだが。

 そんな中唯一対抗できたのが、彼に同門である夫を殺され自らの片腕・片目を奪われた女剣士である。登場時間は短いながらもその隻腕隻眼という容姿のインパクトは半端でなく、まわりの中途半端な二枚目や女剣士よりも画面上の印象は強い。最初『獨臂空手刀』と聞いて、正義の片腕剣士が活躍する映画と勝手に想像し、現物を見てそれに該当する人物が登場しない事にガッカリしても、観終わった後にはちゃんと頭の中には「悪漢と(女)獨臂刀が戦った映画」として残るのだから大したものである。そんな緻密な演出をした本作の監督であるモー・マンフン(巫敏雄)を我々は評価しなければならないだろう 。

              

 主役である悪の剣士を演じたのは『大酔侠』の悪役で強烈なインパクトを残したチャン・ホンリー(陳鴻烈)。なるほどこの映画、他に彼に準ずるスターがいないため彼中心のストーリーになってしまったってわけか。ネームバリューがある俳優が対抗勢力に入っていればまた違ったストーリー展開になってたかもしれない。

 彼に(インパクト面で)対抗した女獨臂刀を演じたのはリー・シュー(李璇)という主に台湾で活動していた女優さん。それこそ知名度は陳鴻烈に比べれば無いに等しいといっても過言ではない。しかしあの強烈なメイクと出番を極端に少なくしたことにより印象を濃くし、その結果スター俳優と十分に張り合うことができたのだ。

   
               


 このような「悪の魅力」が映画を引っ張っている武侠映画を私は《ピカレスク(悪漢)武侠片》と呼んでいる。この系列の作品は「強大な敵をどう倒すか」が焦点になっているので場を盛り上げやすく、故に傑作がかなり多い(個人的感想)。いずれまた当ブログでも紹介したいと思うので、期待せずに(オイオイ)待っていて欲しい。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お邪魔します! (ドラゴン)
2008-11-14 19:47:57
この作品は前から観たかった作品ですよ~!やっぱジミーさんの作品から始まったものなんですよねぇ…

自分も巫敏雄の監督作は何本かあって、探せば色々と出てくると思います。
ちなみに韓国の69年製作の『無臂刀王』なんかはオススメですよ、主人公の両腕がないです!(笑)
毎度おおきに! (kazu)
2008-11-14 21:10:02
ドラゴンさま

何度もご足労願いまして申し訳ないです。

『無臂刀王』ですか…ハンディキャップ武侠片が好きな私としては非常にそそられるタイトルですね。どうやって戦うんだろ?

…話は変わりますけど『Awara paagal deewana』のコピーDVD作ったんですけど観てみたくないですか?
こんばんは! (ドラゴン)
2008-11-14 23:46:06
またまたお邪魔します!(笑)

>ハンディキャップ武侠片が好きな私としては非常にそそられるタイトルですね。どうやって戦うんだろ?

これはフランス版のDVD-Rを持ってます。画質がかなり悪く、フランス語なんですよ…
闘い方は確か片方の脇の下に刀を挟んで、さらに口で刀をくわえて闘います(空飛びます!笑)

>…話は変わりますけど『Awara paagal deewana』のコピーDVD作ったんですけど観てみたくないですか?

『Awara paagal deewana』…といいますと、あの高飛の親分のアクション監督作品ですか?
ぜ、ぜひとも観てみたいですね!!(笑)

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