HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
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衝撃ふたたび! 『チョコレート』

2008年05月26日 | タイ映画
 最近マンネリ気味だったタイ製格闘アクション映画だが、やっぱりというか流石世界中にムエタイ・アクションを流行させた張本人の作る作品は別格だな、というのが素直な感想である。
 あの『マッハ!』『トム・ヤム・クン!』において、その独特のアクションスタイルで世界中のファンを魅了したプラチャヤー・ピンケーオとアクション指導のパンナー・リットクライの黄金コンビが4年の歳月をかけて製作した待望の最新作『チョコレート』(08)をついに観る事が出来たのだ。

 タイ・アクション=ムエタイ風格闘+難易度の高いアクション、のイメージを決定付けたのがこの両氏であるが、彼らの関わった作品は非常に少なく、特に日本で紹介されているタイ・アクション映画はタイトルに『マッハ!』と付くものの、内容的には『マッハ!』の亜流、もしくは全然関係の無いものばかりで、アクション面でもワイヤーやVFXに頼りっきりで『マッハ!』『トム・ヤム・クン!』には遠く及ばない。つまりアクションに独創性が無いのだ。
 この『チョコレート』はさすが“本家の余裕”が感じられる内容となっており、悲劇的なストーリーにデンジャラス・アクションを掛け合わせるという離れ業を行っている。前作『トム・ヤム・クン!』が世界配給を意識しすぎたせいかハリウッド調な内容だったのを反省してか、今回はちゃんとアジアらしいドロドロとしたテイストも残っており、“あぁアジアの映画を観たんだなぁ”という感じだ。

 主演のヤーニン・“ジージャ”・ウィサミタナンはこの作品のために4年間もアクション指導のパンナー師匠の要求に応えられるように彼のアクションチームとトレーニングを積んだという。その甲斐あってか観てるこちらが「うへぇ~」と思うような難易度が高いアクションを見事にこなしている。とはいうもののラストのNG集では痛々しい彼女の姿が収められており、大変な撮影だったのだなというのが伝わってくる。
 ドラマやアクション面においては何も文句は無い。しかし、ちょっと目に付いた所が合ったのでここに書いておく。劇中ジージャが格闘術を覚えた方法は幼い頃に近くにあったムエタイ道場の練習風景とアクション映画のビデオなのだが、このアクション映画というのがピンケーオ監督の『マッハ!』と『トム・ヤム・クン!』なのだ。予告編ではブルース・リーの『死亡遊戯』が使われていて、その“学習”の成果として彼女が製氷工場でのファイトシーン(これまたブルース・リー・テイスト?)において怪鳥音を発しながら敵を倒していくのだが、本編ではリーの映像が全く使われてなくて(音声のみ)、その代わりに『マッハ!』『トム・ヤム・クン!』におけるトニー・ジャーの格闘シーンが長々と挿入されているのだ。
 まぁ、リーについては許してあげるとして(権利の問題とかありそうだしね)、トニーの映像はハッキリ言って長すぎ。期待度MAXだったのがこいつのせいで萎えてしまった。こちらは新ヒロインのジージャを観たいのであって、トニーなんかあっち行け、である。監督が興行的に弱いと判断したのかな?
  何はともあれジージャのアクションとアクションの間に見せる“溜め”の演技と憂いをおびた表情はこの映画の“萌え”ポイントだ。
日本公開まで待っててもいい、輸入DVDを入手してもいい、さぁ、この作品を鑑賞して驚け!そして萌えろっ!!