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女侠と四人の死刑囚、江湖を征く! 『四武士』を観た

2013年12月14日 | 武侠映画
 かつては、鑑賞自体が難しかったショウ・ブラザース作品も、いまではかなりの数の映画がソフト化され、比較的容易に観る事ができるようになったが、東南アジアにおける勢力を二分していたもうひとつの“電影城”であったキャセイ・スタジオ(國泰)の傑作群、それも武侠片においては依然として神秘のベールに包まれたままだった。以前香港で國泰作品のDVDシリーズがリリースされた際でも、ドラマ作品の名作は数多く出されたが武侠片といえば『第一劍 』(1967)と『神經刀』(1969)だけだった。だが今年の8月より再開されたキャセイDVDシリーズには長く“幻の作品”であった『路客與刀客』(1970)など数本の武侠片がラインナップされているではないか。今回はそんな國泰武侠片のなかで個人的に興味の高かった『四武士』(1969)を取り上げようと思う。



 宝玉《日明神珠》を護送中であった役人・王良佐一行は、その途中この地域を縄張りとする山賊一味の襲撃に遭い、兵士たちは全滅、王良佐も捕らえられてしまう。娘である小蝶は父を救うために、武芸の腕が立つ死刑囚4名を選抜、彼らに《自由の身》を成功報酬として父の救出隊を結成する。悪魔のような山賊一味の待つ山中で彼らの待つ運命や如何に……?

            
            

 重厚な作品世界、現実味ある集団アクション……江湖を舞台としながらも画面から感じられるのは、どこか《洋画》の雰囲気。モダニズムにあふれ洗練された映画をそれまでも製作していた國泰だからこそ作りえた武侠片である。

 《自由》を求めて、だが任務には忠実である無頼漢たちの進む"破滅への道”は正に(音楽も含め)ウェスタン的ではないか!そんな男臭い世界に、彼らを束ねる女侠・小蝶の存在が、なんとか中華武侠的要素を保っているというこの絶妙なバランス感が見事。だがチームのリーダーでありながらも、父の幽閉されている敵のアジトへ潜入後父の姿を見た後に《女性化》してしまい、それまでとは微妙に異なった"立ち位置”となってしまう小蝶、そして逆に、これまでの戦いにより瀕死の体でありながらも、多数の敵へと立ち向かっていく男たちを観ていると、これは張徹&王羽コンビを始祖とする"男優中心"の剛陽系武侠片と、女優を主役とする伝統的な広東語武侠片の、いわば中間点的な作品であるとも言える。方向性の模索だろうかこの時代、このような作品は非常に多い。


 救出隊のメンバーに生じた疑心暗鬼の中、山賊たちと繰り広げるラストバトルは、これまで観た武侠片のなかでもベストの部類に入る面白さであった。
  
            
            

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