HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

大梵林(ボリウッド)映画祭 ~おまけ~ 『CASH』 OP

2008年09月25日 | インド映画
 今回は作品紹介でなく、ここ最近のボリウッド映画のお気に入り動画を観ていただこう。

 

 これは2007年に製作された『CASH』という作品で、南アフリカを舞台にダイヤモンドを巡って繰り広げられる泥棒アクションだ。近年のボリウッド映画は海外にロケ地を求める事が多く、日本でも公開されたSRカーンの『DONドン/過去を消された男』や当ブログでも紹介した『Krrish』でも行われていた。インド以外のインド移民がいるマーケット(『ドン』はマレーシア、『Krrish』はシンガポールで撮影)で売りやすくしてるんでしょうかね?ということは南アフリカにもインド系住民がいるってことだよね。

 まぁ、観てくださいよ。かなりハリウッド映画調で(雰囲気は60年代スパイ活劇っぽいかな?)洗練されているでしょ。映画のOPでありながらPVを観ているような感じ。これを欧米文化に毒されたと見るかインド映画はここまで進んでいたのかと見るかは人それぞれだが、少なくとも欧米っぽい映像を目指して撮っている日本映画よりかはレベル高いでしょ?

大梵林(ボリウッド)映画祭~第三回~ 『PURAB AUR PACHHIM』

2008年09月24日 | インド映画

 何とか懲りずに続いている大梵林映画祭。第三回はポップでしかもちょっと真面目な内容の作品『PURAB AUR PACHHIM(東と西)』(71)です。


 主人公・バラート(Bharat)は熱心なヒンドゥー教徒。その彼がイギリスの大学へ留学することになった。イギリスで財を成した叔父の所に下宿させてもらうことになり、彼は叔父の一人娘・プリティ(Prithi)と知り合う。しかし、彼女を含めこの地に住むインド系市民たちは西洋主義にかぶれインド人としての誇りやアイデンテティーを失っていた。バラートは環境の違いに戸惑いながらもプリティに心惹かれ、彼女もインド人としてのアイデンテティーを失わず輝いているブハートを愛し始める…

 スチール写真の金髪美女(インド人・劇中のプリティの事)を見た瞬間、「これは珍品に違いない!」と思い、早速鑑賞した。
 インドの独立運動が導入部分で描かれていてそのシーンだけモノクロ画面なので最初はすごい重厚で、クソ真面目な映画なのかと思っていたのだが、インド独立後数十年たった現代(71年当時)に場面が変わるととたんにカラーになり、いきなり雰囲気が明るくなる。
 この作品の売りのひとつは英国ロケで、70年代初頭のイギリスの風俗が垣間見ることができる。サイケデリックな衣装やボディ・ペインティングなど当時を知っている物なら懐かしさでいっぱいだろう。ま、あくまでも主人公の持つインドらしさの“対”としての俗物的なものですが。たぶん年配の方は
「なんじゃ、汚らわしい」
と思い、若者たちは
「カッコいいぜ、ロックだぜ」
と思って観てたんじゃないでしょうか?

              
              

 もうひとつの売りは主人公の恋人・プリティ役を演じた女優サイラ・バヌ(Saira Banu)で、ブロンドヘアーにミニスカートを中心とした70年代ファッションといういでたちは現在の目で見ても刺激が強すぎます!最初彼女を見たときは○尻○リ○かと思った。わがままだし… (あくまでもイメージですよ、イ・メ・ー・ジ!!)
 そんな西洋かぶれの彼女(役柄ですよ?)も主人公の誘いでインドへ来たときから性格が徐々に変わり始め、次第に身も心も“正しい”インド人女性へと変貌していく姿は微笑ましく可愛らしい。インドに来た当初に壁に貼ってあるヒンドゥー教の神様のポスターを見てビビッちゃっている場面がカワイイんだな、これが。

 もっともっとこのような珍品インド映画を観たいぞと真にそう思う。

            

こういう映画があっていい 『パコと魔法の絵本』

2008年09月16日 | その他の映画、テレビ
「涙ってのはどうやって止めるんだ?!」

 スクリーンの中の大貫(役所広司)の台詞はそのまま我々観客の胸の内の言葉でもあった。一日しか記憶が持たない少女・パコ(アヤカ・ウィルソン)との楽しく美しく、そしてちょっぴり切ない物語に私は時に笑い、そして泣いた。観賞して数日が経過したが、あの言葉はただのダイアローグだと思っていたのだがそのままズバリ我々(この映画を鑑賞した者)が感じたことを代弁してくれてたんだなぁと思うようになった。

  『下妻物語』『嫌われ松子の一生』中島哲也監督の最新作『パコと魔法の絵本』は想像以上の傑作であり、観た人の心に何年も残るであろう日本映画の名作候補である。
 原作が舞台劇ゆえ病院という閉鎖的な舞台設定を用いながらもそれを逆手にとって遊園地のような夢空間に仕上げられたのは中島監督の色彩感覚・ビジュアリストとしての才能の高さだろう。こういう人工着色的美意識をもった映画は日本映画ではあまりなく現時点では中島作品だけの専売特許といえよう。  

 今までは予告編だけで内容を予想して「その通り!」な作品ばかりを観てきたが、この作品ではいい意味で見事に騙された。ただ私の読みが甘かっただけかもしれないが。「まさかこうなるとは…!」というラストだったので気になった方は一度劇場に足を運んでください、そして泣いてください。
「いっぱい泣けば涙は止まります」
医者・浅野(上川隆也)といっているので思いっきり泣きましょう。なぁに劇場ではみんな泣いてますよ、心配しないで。

 そして観賞し終わった後しばらくの間パコちゃんの声があなたの心の中で聞こえてくることでしょう…

  「げろげ~ろ、げろげ~ろ。がまのおうじはわがままおうじ…」 

パンナー印ムエタイ・アクションの完成形?『SOMTUM』

2008年09月14日 | タイ映画

 あの『チョコレート』以来になる(人によっては『アルティメット・エージェント』以来の)パンナー・リットクライ師匠のアクション(指導)映画『SOMTUM』(08)が一月前にタイでDVD/VCD化されたので購入して鑑賞したのだが、これが中々の個人的傑作でした。

 主役は『トム・ヤム・クン!』(05)トニー・ジャーと闘い、強いインパクトを残した元プロレスラーのネイサン・ジョーンズ。その彼が図体だけはデカイが、気は小さいアメリカからタイに来た旅行者で、偶然食べたソムタム(パパイヤの皮の入ったパタヤ名物の激辛サラダ)の力により馬鹿力を発揮し周りの敵をぶっ飛ばすというマンガちっくな役を結構繊細に演じている。へぇ~思ったより演技力あるんですね、彼。

             

 彼は劇中、女の子コンビと友人になるのだが、ひとりは友人思いのコソ泥で英語が話す事が出来るため常にネイサンとコミュニケーションを取っていたナワラット・テーチャラタナプラスートという少女。もうひとりは自らが会得したムエタイを武器に家族に楽な暮らしをさせたいと考えているサリッサー・チンターマニーという少女で、特に今作ではネイサンのド迫力アクションと共にこのサリッサーのムエタイ・アクションが売りになっている。
 彼女を見るのは今回が初めてではなく『七人のマッハ!』で老人からムエタイを習っていた村の少女役ですでにお目にかかっている。その彼女が身長も伸びて大人顔負けの切れ味鋭いムエタイ・アクションを披露してくれているのでまるで親戚の叔父さんが「大きくなったなぁ」と思うがごとくだ。

              
 
               

 この作品のムエタイ・アクションを観て思ったことは(もちろん前作の『チョコレート』も観て)、パンナー印のムエタイ・アクションは完成されてしまったのではないか?と言う事。
 『マッハ!』で初めて披露された時には格闘アクションと言えばクンフー型マーシャルアーツ型しか知らなかったので凄く斬新で危険に思えたものだった。特に膝や肘など人体で一番硬い部分を殺陣とはいえ叩きつけるのでその衝撃は計り知れない。次に続く『トム・ヤム・クン!』では蹴りや肘・膝に立ち関節技を加えてますます古武道的な動きになり、より実践的な感じとなった。
 そして今回の『SOMTUM』では今まではトニー・ジャーやダン・チューボンといったスタントマン畑しか出来ないと思われていた(『チョコレート』ジージャも四年間の訓練を受けていたし)ムエタイ・アクションを中学生くらいの女の子が披露しているのだ。
 
これは演出方法(見せ方)を含めパンナー印のムエタイ・アクション、つまりパンナー式アクションのノウハウが完成した証拠ではないか?

 見た目にはトニーやジージャが披露したアクションと大差はないが、受け手のスタントマンの技術向上や撮影テクニックやワイヤー、CGといった補助技術も使いこなし「このレベルであれば高度のアクション・スキルをもつ者でなくても見せる事が出来る」というパンナー師匠のアクション監督としての自信の表れのように感じる。
 また劇中には他に小道具を使用したジャッキー式のアクションも披露されていてパンナー師匠は今作では冴えまくっている。ネイサンもトム・ハワードプレデターといった《ZERO-ONE》OBとプロレスチックなアクションを見せてくれ、ギロチンドロップやフランケンシュタイナー等のハードコアなプロレス技の応酬はその筋の人でも納得できる仕上がりになっている。
             

 この『SOMTUM』、『チョコレート』同様日本公開を強く希望する!とはいってもDVDリリースされるんだろうな、きっと。

              


大梵林(ボリウッド)映画祭 ~第二回~ 『ROTI KAPDA AUR MAKAAN』

2008年09月12日 | インド映画
 夏休み特別企画として勝手に打ち上げた大梵林映画祭だが、家庭の事情でなかなか更新できず九月に入ってしまいましたが、ちょっとの間はこのまま紹介していこうかな?と思っている次第であります。是非紹介したいインド以外の映画があれば差し変わりますが。ともあれ暫しのお付き合いを…

 第二回は『ROTI KAPDA AUR MAKAAN(衣食住)』(74)です。 
          
               

 主人公は大学を卒業したインテリであるが、高い地位の職業に就けず定年後リタイヤした父と兄弟たちを養うため収入の低い歌手として働いているが、プライドの高い主人公はそんな現状に満足せず悶々とした日々を送っていた。そしてそんな彼に嫌気が差したのか一時は結婚まで誓い合った恋人も青年実業家に求婚され彼の元へと走っていく始末。
 不幸の連鎖はこれだけに留まらず、せっかく手に入れた建設工事の現場監督の仕事も理不尽な理由で解雇され、心臓に問題のあった父も心労で死んでしまう。そんなある日、とある人物から持ちかけられた危険な仕事の話に報酬金額の多さに乗ってしまう。しかし仕事は成功するものの組織からは報酬金額を払ってもらえず、警察からは追われてしまう。そして追跡劇の途中、彼の身をかばってかつての恋人が命を落としてしまう。怒りに燃えた主人公は仲間たちと組織との対決に向かうのだった…

              

 暗い、重い。何度観るのやめようかと思ったほどに。それをギリギリ持ちこたえさせたのは主人公のインテリ兄ちゃんではなく、弟役のアミターブ・バッチャンの若々しさだった。家族のために犯罪を犯し、償うために自ら軍隊に入り、(たぶん)パキスタンとの戦闘中に銃弾が元で右腕を失い、それでいて犯罪に巻き込まれた兄貴を助けるというこれ以上ない“ええ役”である。
 その”片腕”バッチャン、ラストの大立ち回りに失った腕もモロともせずバイクを疾走させ悪漢たちを蹴散らすシーンがあり、これを観ただけでも十分モトは取れたかな?と一人納得した次第。それまでが重く悲しい展開だったばかりに。