HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

“半”変身ヒーロー参上! 『HANUMAN : THE WHITE MONKEY WARRIOR』

2008年10月29日 | タイ映画

 今回はちょいとインド映画から離れて、久々にタイ映画などを紹介してみようかなと思う。とはいうものの当ブログの更新自体が不定期なもので何を書くにしても“久々”になっちゃうんだよなぁ…(哀)

 てなわけで、今回は今年8月に(タイで)公開されたばかりのホヤホヤの新作アクション映画『HANUMAN : THE WHITE MONKEY WARRIOR』(08)を紹介。



 主人公は古より超人的な力を発動させる護符を人体に彫る事を許された魔術師の息子で、自身も神猿ハヌマーンの護符を父の手により身体に彫られている。しかし、敵対する悪の魔術師の配下によって父は胸に彫られた護符を剥ぎ取られ殺されてしまう。彼は父の仇を討つために配下たちと闘い、悪の魔術師と対決し勝利する事ができたが、同時に配下たちの怒りに火をつけてしまい、主人公の隠れている村を襲いたった一人の肉親である妹を奪われてしまった。果たして主人公はこの危機をどう切り抜けていくのであろうか…?

           

 魔力を持つ護符を身体に着けていると霊的なパワーを使う事ができるというギミックはタイ映画では結構使われていて、日本でもDVDで発売された『マハウット!』(03)でも見受けられる。香港クンフー映画でいうところの“神打”に近いか。でもあれは別の術者がいてこそ力が発揮されるので、最初から身体に彫ってあるこちらの登場人物のほうが使い勝手がいいかも。

 肝心のアクション面はといえば「普通」の部類に入るだろう。タイ・アクション映画お得意のムエタイ的動きも無ければ、目を見張る危険度の高いスタントも無い、本作の特異な題材がなければスルーしてしまうような内容だ。

 だが、逆にこのスピリチュアルなイメージを得た事によって、ガチなアクション映画では不要と思われるワイヤーワークやVFXは効果的に映り、ハヌマーンの力を持つ主人公は仮面ライダーに、それぞれ虎・鰐・豹の力を持つ悪役たちはショッカーの改造人間に見えてくるのだ。まぁ、護符を彫っている時点で改造人間と言えなくも無いか。

           

 ただ、残念な点が一つ。それぞれの力を発揮している時、劇中にイメージで1カットだけその動物の姿で登場しているのだが、出来れば霊的パワーを発動してる時はずーっとその姿でいてほしかった。せっかく主人公がハヌマーンの力を発動させてもチラリチラリとしか見せてくれないんだもん、もったいないっ!そうすれば完璧なヒーロー映画になったのに…

           

大梵林(ボリウッド)映画祭~第四回~ 『DO AUR DO PAANCH』

2008年10月24日 | インド映画

 何だかんだ言ったって今年も残すところあと二ヶ月…あっ、あと一ヶ月ちょいか。何してるんでしょうね、私。

 終着点の見えぬままダラダラと開催している大梵林(ボリウッド)映画祭も四回目。今回はアミターブ・バッチャン全盛時の肩のこらないオールスター・アクション・コメディ作『DO AUR DO PAANCH(2+2=5)』(80)を紹介。


 大泥棒ビジャイとスニールは犬猿の仲。双方とも腕は超一流なのだが、同じ犯行現場を選んだ為に警察に御用となり仲良く(?)同じ刑務所で厄介となる。

 出所後ビジャイは仕事を依頼される。それは大富豪の一人息子を富豪の血縁である暗黒街のボスに引き渡すことだった。早速ビジャイはその息子の通う全寮制学校へ体育教師として赴任することになるが、物事は簡単にはいかないもので同時期にスニールも誘拐目的で音楽教師としてこの学校へ潜り込んでいたのだ。

 相手を出し抜くためにビジャイとスニールは、あの手この手を使いまるで児戯のような化かし合いを繰り返すが、新しく赴任してきた女教師たちに恋するようになると次第に自分たちのしてきた事に嫌気が差してきた。ビジャイとスニールは一致団結し暗黒街のボスから息子を守ることにするが、痺れを切らしたボスの魔の手がすぐそこまで来ていた。果たして二人(と女教師二人)は息子を守ることが出来るだろうか…?

            

 主役であるアミターブ・バッチャンシャシ・カプールの華麗なアクションや笑いあり、パルヴィーン・バビヘーマ・マリーニとのラブロマンスあり、そして暗黒街のボスたちが絡むバイオレンスシーンなどが見事に調和したマサラ・ムービーだ。全寮制学校が舞台ということでファミリー映画な面も見受けられて正に全方向対応映画といってもいい。とはいってもボスの手下が生徒たちの給食に毒を盛って子供たちがバタバタと倒れていくシーンがあるのでどーかなぁ?

            

 この時期のバッチャンはホント「脂が乗っている」という表現が相応しいぐらい肩に力が入ってない余裕な演技を見せている。出演する映画がすべてヒットしていることを考えれば当然といえば当然なのだが。つまり眼中に敵は無し、という事だ。事実当時の人気者はだいたいバッチャンと共演しており(オールスター映画だからね)、ピンで自身の存在を脅かす存在というものは皆無だったのではなかろうか?

            

 大衆の欲する夢をスクリーン上で見せられる存在。これぞ本当のスーパースターだと思う。果たして今日の日本に存在するだろうか?