HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

CMLL 第58回アニベリサリオを観る

2009年05月28日 | ルチャリブレ
 何度もこのブログで書いているように、YOUTUBEの存在を知ってからというものルチャリブレの動画は意識的に収集している。最初の頃は最新の試合映像ばかりだったのだが、ここ1~2年は古い試合の映像も投稿されてきて当時専門誌で写真と記事でしか知ることの出来なかった“本場のルチャ”を手軽に鑑賞出来るようになった。いい時代である。


  この間、1991年に開催された第58回アニベリサリオ(創立記念大会)のTV映像がまるまるアップされていてちょっと興奮した。CMLLでは毎年、創立記念日である9月21日の前後週に創立記念大会として総本山アレナ・メヒコでビックマッチが開催される事はルチャファンならば周知の事実であろう。

 WWEの『レッスルマニア』のごとく(当然アニベリサリオのほうが歴史は古いが)すべての抗争・遺恨の決着戦がこの大会に行われるのでメイン級のカードのほとんどははタイトル戦やマスカラ戦、カベジェラ戦が占めていてただでさえ熱いメヒコの観客の興奮も高まりっぱなしだ。


 収録されている試合はNWAライトヘビー級タイトルマッチのマスカラ・サグラーダVSピラタ・モルガン戦アニバル、リスマルク、ラヨ・デ・ハリスコJr組VSウニベルソ・ドスミル、マスカラ・アニョ・ドスミル、ニトロン組6人タッグマッチ、メインがコナンVSペーロ・アグアヨVSシエン・カラスの3wayカベジェラ(髪切り)戦(厳密には3人で行うバトルロイヤルみたいな感じで負け残ったものが髪を切られるというルール)といったラインアップだ。

      

 どの試合も遺恨・因縁絡みのマッチメイクで、たしかこの後にアニバルはM・A・ドスミルにマスクを取られているし、メイン戦なんか三人共々仇敵同士という凄さ。しかし試合内容はどうかと聞かれれば「これは!」というほどのものではない。豪華なカードではあるけども。
 ではこの映像の何に価値があるのか!?それはルチャ史における重要な分岐点だからである。


 ルチャ史をちょっとでもかじった事のある方ならピンと来ると思うがこの大会の翌年(92年)、EMLLの企画室長だったアントニオ・ペーニャがごっそりとスター選手を引き連れ独立、AAAを旗揚げしたのだ。この映像に登場する選手の大半がもう翌年にはEMLLマットには上がっていないのである。

      

 89年にメキシコシティでのTV放映が解禁となるとEMLLは、フランシスコ・フローレス氏亡き後徐々に力が落ちてきた敵対団体・UWAに大差を付けるために、UWAで活躍する若くて才能ある選手を引き抜き、TV時代に合わせたカラフルで個性的なキャラクターを与え続々と登場させる(現在活躍中のウルティモ・ドラゴンもそのひとり)と同時に、各地のプロモーターたちと協力しタイトル管理組織CMLL(これが現在の呼称となっている)を設立したりとルチャ業界では独走状態であった。その集大成ともいえるのがこの91年度のアニベリサリオだったといえよう。

      

  YOUTUBEのおかげで次々と“お宝映像”が公開されることを切に希望する。そんなわけで海外のマニアの方、ひとつ宜しくお願いします(笑)。

大梵林(ボリウッド)映画祭 ~第七回~ 『KHILADIYON KA KHILADI』

2009年05月22日 | インド映画

 はい。『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』公開に先駆けて、我が大梵林映画祭も便乗しちゃうよ!

 『チャンドニー~』の主演俳優であるアクシャイ・クマールのあまり知られていない出演作(アクション映画限定)である『KHILADIYON KA KHILADI』(闘士の中の闘士・96)を今回は紹介しちゃいましょう。

 犯罪組織の女ボス・マヤは非合法の闇プロレスを開催する裏社会の大物で、その力は警察にまでも及んでいる。犯罪の実態を探ろうと潜入捜査をしていたアジャイはその正体を見破られ姿を消してしまう。彼の弟であるアクシャイは兄の消息を探るためマヤに闇プロレスのファイターとして雇われるフリをして接近する。
 しかし敵対する犯罪組織のほうも怪力無双の大型選手を用心棒にしてマヤの組織を潰そうと企んでいた。果たしてアクシャイは兄を救い出し、目の前の敵を倒すことができるのであろうか…?

       

       

 まだ若いアクシャイの魅力満載の作品…とはいい難く、この作品はインド映画界の大女優・レカーの主演作品なのでした。HIMAGINE電影房的には『Krrish』のリディック・ローシャンの母役の女優さんと言えば判るでしょうか?

 とにかくすごい美人!この映画当時40代だというのに果敢にセミヌードまで見せたり、登場するたびに違う衣装・エクステで現れたりと魅力全開フルパワーです。さすがこの当時(かどうかは不明)アクシャイと噂になってただけはあります。熟女パワー?

       

       

 アクシャイがちょっと喰われ気味になってきたな。

 でもアクションに関しては大満足でした。まだまだ香港経由ハリウッド直輸入のワイヤー技術がなかったころの作品なので格闘シーンに無理がなくすんなりと入り込むことができる。ヴァンダム的開脚からの推手や中国人用心棒から掠め取ったヌンチャクを振り回したりとやりたい放題。だからこの作品、香港映画の影響下というよりかは(ジャッキー映画の影響は少なからずあるけども)欧米マーシャルアーツ・アクション映画の影響のほうが濃いように感じる。

       

 この作品には以外な人物が登場していた。何とあのWWEのスーパースター、ジ・“デッドマン”アンダーテイカーが悪役で出演、アクシャイとバトルを演じていたのだった…と大々的に言いたかったのだが、この記事を書く前にネットで再調査したら“アンダーテイカー”には変わりないが本名・マーク・キャラウェイの方ではなく、94年ごろに偽アンダーテイカーとして本家と抗争していたブライアン・リー(ハリス)であるということが判明した。

 
しかし映画開巻早々に行われる闇プロレス場面で闘っているのは本物のアンダーテイカー(マーク・キャラウェイ)ではないかという気はする。ま、どっちみち“アンダーテイカー”はWWEの登録商標なので誰がやっても同じなんですがね。

 ちなみに対戦相手はクラッシュこと故ブライアン・アダムス(元新日本留学生)でした。インド映画で知っている顔を見ると不意をつかれたような、ちょっと新鮮な気はします。


大梵林(ボリウッド)映画祭 ~第6回~ 『CHAINDNI CHOWK TO CHINA』

2009年05月19日 | インド映画
 ブログ自体が久々の更新なので、この大梵林映画祭もかなりのご無沙汰でございます。今回の紹介作品は今月末には日本でも公開される、インド・アメリカ合作映画『CHAINDNI CHOWK TO CHINA』(09)であります。
 もし、劇場へ足を運ばれるのであれば参考にでもしていただければ幸いです(なるのか?)。

 「あなたこそ古代中国の英雄の生まれ変わりです!」
 デリーの下町・チャンドニー・チョークでしがない野菜切りをやっている青年・シドゥはギャング達によって苦しめられている中国の貧しい村からやって来た男たちにそう告げられる。今の下層での生活を抜け出したい彼にとってはまさに渡りに船な話であった。早速浮かれ気分で中国にやってきたものの、現実は残酷でギャングのボスでクンフー使いのホジョにズタボロにされた挙句、人質として連れてこられた養父までも目の前で殺されてしまう。
 身も心も傷だらけの彼を救ってくれたのは、ホームレスをしている元刑事のチャンであった。シドゥは国に帰れと忠告するチャンに対し、村人の信用の回復と養父の仇を討つまでは帰れないと突っぱね、自分にクンフーを教えてほしいと懇願する。最初は断っていたチャンだが、彼の本気を感じクンフーを教えることにする。そして幾月が流れ、再び古代英雄の像が祭られている村に舞い戻ったシドゥはギャング団とホジョとの最終決戦に挑む…!

      

 様々な元ネタの作品名がチラつくが、そんなことは言いっこなし!とにかく約2時間半、映画の流れに身を任せ楽しむのがベストの鑑賞法だ。クンフー・アクションに興奮し、女優さんに酔いしれ、ミュージカル場面で心躍らせる。インド映画に難しい理屈は不要。もしこの映画のノリに喰いつく事ができれば極上の時間を味わうことができるはずだ。

      

 主演のアクシャイ・クマールは以前当ブログでも紹介したAWARA PAGAL DEEWANA』でも披露した、マーシャルアーツ・アクションを今回もたっぷりと見せてくれている。実際に武術を習っていたそうだが、まぁまぁサマにはなっている。インド映画のスター俳優はマッチョ系の体つきの方が多いので、武術アクションはどうかなぁ~?と個人的には思っているのだが。
 インド映画にはクンフー・アクション(というか香港スタイルのアクション)は結構前から取り入れられているのだが、本格的なインド式クンフー映画は(アクションのみならず構成も含めて)初めてではなかろうか?主人公が挫折を味わい、優れた技能を持つ師父と出会い厳しい修行を重ね、ついに復讐に成功する…といったフォーマットはまさに70年代後半から80年代にかけて多数製作されたコメディ・クンフー映画の王道パターンではないか!
 そのクンフー映画王道フォーマットに、より箔を付けているのが我らが(クンフー映画ファンの間だけね)劉家輝である。本作一番の悪党・ホジョを憎々しくかつパワフルに演じている姿は必見だ。カミソリ入りのシルクハットのイメージって、やっぱり『007 ゴールドフィンガー』のオッド・ジョブ(ハロルド坂田)からの引用でしょうね。名前もナニジンかわからないような感じだし(公式HPには北条と日本人名で表記されている)。

      

      

 本作で一番のインパクトを与えたのはやはり主演女優のディーピカー・パードゥコーンでしょう。主人公を翻弄するミキとホジョの手下で女殺し屋のミャウミャウの二役を演じているがどちらも甲乙付けがたい美しさ!個人的には見事なメイクで中国人風美女に変身している姿のほうが大好き。彼女のほかの出演作としては当ブログでは『Om Shanti Om』を紹介済みでございます。元スーパーモデルという職業柄、絶世の美女をやらせると近年のインド映画ではピカイチの女優さんだと思います。

      

 個人的にはおいしいポイントだと思ったのが、ミトゥン・チャクラヴァルティー(シドゥの養父役)の起用。インド映画初体験の方は何で?とお思いでしょうが、実はこの御仁、80年代にはアクション映画で人気を博し、その内数本はマーシャルアーツを扱った作品が存在する(その名も『Karate』(83)という怪作がある)のだ。私はこの作品を観てて「いつミトゥンが戦いだすんだろう?」と筋違いな期待してしまった。果たしてミトゥンの格闘シーン、あるのかどうかはどうぞ劇場でお確かめください(笑)。