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HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

マム兄ィ今回も最高です!『ボディガード2』

2007年05月16日 | タイ映画

 タイで4月末頃に発売されたばかりのマム・ジョクモック主演&監督作『ボディガード2』のVCDを早速購入しました。「はぁ?」とお思いの方、実はこの映画、日本でも劇場公開された『ダブルマックス』の続編(原題は『ボディガード・ナーリアム』)なんです。

 ネットでこれの予告編を観て、派手なアクションシーンの連続に「おぉ、すげェ!」と興奮し、早くソフト化されないものかと首を長くして待っていたんですが、少~しだけ不安もありました。

             

 というのは、ここ最近のSahamongkol社製作のパンナー師匠関連作品はどれも期待はずれで、現在のアクション映画の水準からすれば文句無く高水準の出来だと思うのですが、『マッハ!』や『トム・ヤム・クン!』を観た後ではどれもこれもイマイチ物足りなく感じるのです(同じSahamongkol社作品でも『チャイライ』なんかは面白いのですが)。

 それでもって今回の『ボディガード2』は純正パンナー印のアクション演出ではありませんが(彼のチームが絡んでいるのは確かだと思う)、実際観て思った事は「やっぱり上手いな、凄いな」でした。やたら無関係のものが死んじゃう銃撃戦や、爆発が多いカースタント、そして十八番とも言うべき格闘アクションなどメニューはてんこ盛りで、それも長年の経験の賜物というべきか見せ方が上手いのだ。私は最初から最後まで何の心配もすることなく(心配するってのもヘンだが…)映画を楽しむ事が出来た。

             

 久々である。タイ映画で肩透かしを喰らわなかった作品は。まぁ、勝手に期待はずれだと思っていたフシもあるんですが。何故、この作品は(キモである)アクションシーンに何の不満もなく満足できたのだろうか?いろいろ考えたのですが、きっと主演(マム・ジョクモック)がコメディアンなので、純正アクションスターなら「これ以上!」と要求するところを全くしなかったって事でしょうか?笑いとアクションのコンビネーションも良かったし。

 あっ、ちなみにこの映画には前作でも出ていたトニー・ジャーが今回もゲストでチラッと出演しています。

                

美女軍団 VS 宝石強盗 VS 凄腕刑事 『5 PAYUK SAO』

2006年07月10日 | タイ映画

 言葉が分からないにも拘らず画面だけでタイ古典アクション映画を観賞し、頼まれてもいないのにそれを紹介しようとする、お節介なこの不定期連載。今回は60年代の痛快泥棒映画『5 PAYUK SAO』を紹介しよう。

 病気がちな母親と二人暮らしの女主人公は、4人の友人たちと今日もタイの田舎でブイブイ言わせていた。 ある日、この土地で大富豪のパーティが開かれることを知った彼女たちは、色目を使って潜り込むことに成功。
 その屋敷で彼女たちが見たのは、来賓、貴賓たちが持ってきた宝石類を納めた巨大な金庫。
「こんなにあれば、病気の母を医者に診てやれる…」
そう考えた女主人公、さっそく友人たちと相談し、大強奪作戦を開始する。
 しかし、この屋敷にはもう一組の宝石強盗団が潜入していて、それを追っているタイ警察の敏腕刑事までがこの屋敷にいたのだった。
 果たして、この三つ巴の勝負の結果や如何に…?!

 60年代チックなポップ感覚にあふれたこの作品、いやぁタイ映画だからって馬鹿にできません。ちゃんと時代の空気を掴んでいる。女主人公と母親のやりとりにタイ的風景を感じ取れる以外、まったくモダンな作風なのである。

              

 ヒーローはダンディで恰好よく、女性たちはキュートでセクシー。

              

 60年代娯楽映画のフォーマットが欧米諸国のみならず、万国共通であった事を示す《非ハリウッド娯楽映画》研究における好サンプルである。

ナンプラー・ウエスタン? 『Kom Kiew』

2006年07月07日 | タイ映画

 タイの若い映画ファンが見向きをしないため、日々VCD購入のチャンスが無くなっている絶滅危惧種・タイ古典アクション映画を紹介するこの不定期連載(今の所は辛うじて続いているが)、今回は、かつてどこの地域でも製作されていたご当地《西部劇》の1本、 『Kom Kiew』(74)を紹介だ!

 ストーリーは、何処からともなく現れた腕の立つ主人公が、村に勝手にやってきて悪さをして人々を困らせている盗賊団を、血の気の多い村の若い衆と共に全滅させるという、こういうご当地《西部劇》には定番とも言えるものである。

            

 難しい事は考えない。「何故、タイの山村に西部劇的設定が?」とか思わない。我々観客は、目の前に繰り広げられている擬似ウエスタン世界を楽しめばいいだけである。
 主演のソムバット・メータニーのカッコよさにシビれ、悪漢の数々の悪事に映画の中の人物と共に怒り、最後のガンファイトで溜飲を下げて自宅に帰る…。これが娯楽映画の正しい姿だと思わないか?

「西部劇って、アメリカ開拓時代の…」
 
 えぇい、うるさい。たしかに「西部劇」はアメリカ開拓時代を舞台にした「時代劇」ではあるが、その西部劇のなかで生まれた《西部劇的場面》を使ったアクション映画を我々《非ハリウッド娯楽映画》ファンは《西部劇》と呼んでいるのだ。

 劇中の登場人物が馬に乗って広い場所を走り回っていれば《西部劇》

 数人の男が横一列になって歩いてくる場面は《西部劇》

 股の中から人物を撮るショットがあれば《西部劇》

 いまいちそこの所の《西部劇》的感覚がわからないという人は伊丹十三監督作『タンポポ』を観ていただけると「あぁ、なるほど!」と納得すると思う。

 タイ製西部劇から日本の『タンポポ』まで話が飛んでしまったけど、大丈夫だよねぇ?

            

痛快、ド派手!古典アクション大作 『Jong-arng Payong』

2006年07月06日 | タイ映画
 辛うじて観る事のできたタイ古典アクション映画を紹介するこの不定期連載、第2回は原色豊かな衣装と、過多気味のチャンバラ場面が我々の眼を楽しませてくれる1971年製作の『Jong-arng Payong』だ。


 祭りが行なわれている平和な村に、凶悪な山賊団が見計らったように現れ、金品・女はもちろん、多くの命を奪っていき嵐のように去っていった。
 この襲撃により両親を失った4人の少年少女は、復讐を誓い合い、それぞれ違う場所に修行の旅に出る。
 
 そして時は過ぎ、たくましく成長した彼ら(香港女星の李琳琳の姿も!)は山賊団の本拠地へ乗り込むが、行方不明だった同士(ソムバット・メータニー)が、山賊団にいたのでフイを突かれ、哀れ女性2人は捕らわれの身となってしまう。

「裏切ったか!」

 運よくアジトから逃げた青年は、ソムバットと1対1の剣戟を繰りひろげるが、その最中、ソムバットは昔の記憶を回復し山賊団に騙されていた事に気付き、共に山賊団殲滅を誓い合う。

 正義の使徒となったソムバットは仲間の女性2人をアジトから脱出させる事に成功、だがその事が山賊団にバレてしまい両手を潰されてしまう。もはや絶体絶命か?しかし仲間の手助けにより命からがら逃げ出す事ができた。

 その時にソムバットは山賊団の恐ろしい計画を耳にしていた。それは数日後、この地にやってくる王族の行列めがけて高丘の上に設置された大砲で攻撃するというものだ。

 4人は計画を阻止するために、武芸に秀でた部族と接触をもち、彼らを仲間に加えて再びこの悪魔のような山賊団に戦いを挑むのだった…!


 最初にジャケット画を観た時に「面白そうだなぁ」という予感はあったのだが、実際観てみてこんなに楽しいとは予想だにしなかった。ハズれることは多々あっても大当たりというのはあまりない!(予想通りは結構ある)
 アクションも香港武侠映画的動きやらタイ式剣術などが入り混じって、むしろ時代劇というよりもファンタジーに近い。キャストを見ると中国人俳優らしき名前が見えるが、香港映画界とは深い繋がりがあるのだろうか?
 当時の香港映画でもタイ・ロケはあったし、日活作品でも『太陽への脱出』(63)はタイ映画界が協力していたはずなので、思っていたより当時のタイ映画は熟していたのだなぁ、と感じずにはいられない。

             

 いろんな国の、おいしい所だけ抽出してそれをタイ風に味付けするという作風が確立されていた、60~70年代におけるタイ映画黄金時代の代表的な傑作と言えるのではないか?

             

本編はともかく…ね 『GOLD』

2006年07月05日 | タイ映画

 今回の紹介作品は、『M:I 3』公開記念ってわけでもないけど、オリジナル『スパイ大作戦』に出演していたグレック・モリスが、タイの大スターであるソムバット・メータニーと共に出演したタイ・香港合作の戦争アクション映画『GOLD』だ。

 ストーリーは、タイに住んでいるアメリカの諜報部員モリスが、ベトナムに置いてきてしまった軍資金の金の延棒の回収をアメリカ政府に依頼される。彼はソムバット以下タイの特殊技能を持つ犯罪者をメンバーに入れチームを結成、まだ厳戒態勢のベトナムに乗り込み、現地で待ち合わせている女兵士と共にこの命がけの任務に挑む事となる…というものだ。

 どうです、面白そうでしょ?香港スタッフが絡んでいるだけあってアクションはすばらしいし、アメリカ映画と比べれば酷だが、それでも水準値に達している出来だと思う。
 しかし、この映画の一番の見所は?と問われると、国際色豊かなキャストでも派手なアクションでもなく、女兵士の《いろぢかけ戦法》だと個人的にはお勧めする。
 激しく降り注ぐ雨の中、敵の兵士の注意を引く為に全裸で水浴び(雨シャワー)する場面があるのだが、このシーンがあまりにも印象が強いので、映画を観終わった後でもこの場面しか頭ん中に残らないのだ。オレだけかもしれないけど。

う~ん、タイ・クラシック・アクション映画、恐るべし…

          

あぁ、愛しきクラシック・タイ・アクション映画たちよ…

2006年06月28日 | タイ映画

 今年に入って『トムヤムクン』を始め、『トカゲ女(トッケー・ビー)』や『心霊写真(シャッター)』など次々と輸入されているタイ映画。もうすっかり映画ファンには、香港・韓国・インドに続くアジア映画生産国として認知されている感じがする。

 だが、その国の映画が盛況になればなるほど観てみたいのが、その国のクラシック映画である。…って、オレだけか?
 『マッハ!』とか観た後に、それ以前にムエタイをアクションに使った作品とか探してみたくなりませんか?『怪盗ブラックタイガー』とか観た後に、タイ製ウエスタン映画探してみたくなりませんか?オレだけなのかなぁ…他に1名そういう人いるのは知ってるけど、さ。
 
 最初にこのクラシック・タイ・アクション映画を購入したのは『Petch Tud Petch』という作品で、ベッタベタなジャケット画に惹かれて注文した。
 作品自体はまぁまぁな出来で何となく満足していたのだが、この作品にはオリジナルが存在するよ、というのを注文いた店の店長さんから教えていただき、その『Petch Tud Petch』のオリジナルをだいぶ後になってから購入したのだが、これがまた大傑作で、音楽といい、ファッションといい60年代テイストがプンプン匂い、当時の日本映画や香港映画と比べても遜色のないクオリティに(オレの目からすれば、ね)
「うゎ、昔のタイ映画って面白れぇじゃん!」
という事になり、以後集められる時に集めるようにしている。

 しかし、このクラシック・タイ映画というのもなかなか入手が難しく、注文をだして向こう(タイ)の問屋に確認してもらうと在庫切れだったりすることが多く、(ジャケットを見る限り)面白そうな作品が収集できないのが現状だ。タイの映画ファンよ、なんで自国の古典にもっと目を向けようとしないのか?
 マム・ジョクモックの旧作やパンナー師の過去の作品をVCDで出すのなら、もっとミット・チャイバンチャーやソムバット・メータニーの主演作を出してくれぇ!!
 と、日本人のオレが言っていいモンか、これ?
            
                         

海外向け味付けタイ・アクション大作! 『トムヤムクン』

2005年12月15日 | タイ映画
 やっと感想を書くことができるよ~。アクション映画好きの間では結構話題になっていてるし、作品レポートなんかもネット上で掲載されているのでどうしようか?と思ったりしていたのだが、やっぱ書かなきゃマズイでしょ。巻頭に《タイ映画》と謳ってあるから。と、いうことで今回はトニー・ジャー主演最新作『トムヤムクン』(05)です。

 ストーリーはいろんな所で紹介されているとおり、象使いの主人公・トニーが、ふとしたことで王室に献上するはずだった象をチャイニーズマフィアに盗まれ、彼等の本拠地がオーストラリアのシドニーにあることを知った彼が、象を助けに単身シドニーまで殴りこみをかける…というもので、基本的には前作『マッハ!』と大して変わりません。ただ、今回は舞台が海外にまで拡大したので、トニーの《田舎者》っぷりが物凄く誇張されていて観ていて可哀想になります。言葉は分からない、他者に協力を求めない、それでいて格闘技術は天下一品ときたら現実社会では絶対有無も言わさず逮捕でしょうね。これはこの作品を海外のバイヤーにセールスしやすいよう主人公のキャラクターはなるべく分かりやすいように(言葉が分からないタイ人以外の観客でも観れるように)した結果じゃないだろうか?その結果、タイ人の観客にはあまり評判はよくなかったとの話をこれ(VCD)を買った店の店長さんや他のサイトでも聞いている。やっぱり自国の評判あっての海外進出だよな、と思う。
 
 じゃあ、つまらないか?と問われると、これがまた前作以上にアクションがてんこ盛りで楽しいのだ。予算もアップしたせいもあって、大掛かりな河でのボートチェイスはあるし、ホテルの下から上に登りながら闘うシーンを1ショットで撮ってみたりとピンゲーオ監督、好き放題やっている。格闘アクション好きの私としては、今回3人の違ったスタイルの敵が登場するのが良かった。プロレスラーや中国武術といった想定内のタイプのほかに、映画史上初であろうカポエイラ使いが登場するのだ。トニーの変則的な軌道の蹴り技に決して劣らないカポエイラの蹴り技は必見だ!日本公開予定は2006年GW。さぁ、貴方は待つか?それとも買って観るかどっち?!

はやく観たいな 『トムヤムクン』!

2005年11月11日 | タイ映画
 いよいよ本国・タイにて、トニー・ジャー主演作第二弾『トムヤムクン』のVCDが発売となった。うぉ~!!早く観てぇ。相変わらずDVDのほうは海外バイヤーとの兼ね合いでしばらく先になりそうなのだが(『7人のマッハ!』の時も英字幕を付けろだの何だのでモメた)、本編を観る分には問題ないのでVCDでヨシとする。個人的にあまり画質とかにこだわらない性質だし、何と言っても値段も安いし、ね。
 
 東京ファンタでの上映は大盛況だったそうだが、字幕付きでいち早く鑑賞できた人はホントうらやましい。東京に行く時間と金銭がなかった私は、劇場公開前にこのVCDを鑑賞して遅らばせながら大興奮しようと思います。字幕が付いてない?全然、無問題です。アクション映画だもん、観てりゃ分かりますって!(ってまだ手元にないのに購入した気になってるし…)
     
 あっ、今回の画像はタイで公開された時に発売されていたVCD『メイキング・オブ・トムヤムクン』のジャケットと本編カットです。たぶん、メイキングはDVDには特典映像として入ってるんだろうね、これ。

フィーリングカップル3対3『Kinnaree』

2005年10月24日 | タイ映画
タイ映画ってのはホントに男のロマンを判っている。ひと昔前は香港映画がその立場だったが、今や男性向娯楽映画の本場はタイにあり!といってもよい。血みどろホラーあり、燃えるアクションありと私みたいな高尚な芸術・文芸作よりも通俗娯楽が大好きな人にとってはもう天国のようだ。今回の紹介作品は、そんな健全な男子なら誰だって燃える“ソフトコアポルノ”風タイファンタジー映画『Kinnaree』だ。

タイの、とある森林の奥にある川では、女性型の天使たちが水浴びにやってきていた。そこに天使の羽根を狙うハンターが現れたので天使たちは一目散に天上に戻っていってしまうが、羽根をつけ忘れた一人の天使が逃げ遅れてしまう。ハンターに追われ疲れて倒れた彼女は、ちょうどこの山でオフロードを楽しんでいた青年たちに助けられる。彼女は青年たちにに事のいきさつを語り、彼等に救いを求めた。その頃、心配になって川に戻ってきた二名の天使は、そこで待ち構えていたハンターに捕まってしまい、羽根を奪われてしまう。そこへちょうど青年たちが登場、ハンターとの戦いの末、天使たちと羽根を取り返すことに成功する。天上界に帰れるようになった天使たちは、青年たちに“身体で”お礼をすると、彼等の見守るなか空に向かって帰っていくのだった…

いやぁ~、男にとって都合のいいハナシだわ、こりゃ。冒頭から全裸のお姉さん(天使ね)が川で水浴びしている場面から始まり、主演女優は最初から最後まで露出度高いし(天使たちは頭に羽根飾りをつけていて、外すと全裸になっちゃうのだ)、最後はお礼とばかりに青年たちとHしちゃうし、男のロマン大爆発だ。しかし、全裸といっても出しているのはオシリとバックショットとバストショットだけで、いい所で障害物に隠れて乳首が見えない(見せない?)のがチト不満だが、ソフトコアということでご勘弁を。
 あまりにも頭悪そうな内容なのでこの映画、一回見れば十分です。ちなみに私は倍速モードで観ました(あまりにもトホホなので…)。


中坊感覚をくすぐるパンナー師

2005年10月17日 | タイ映画
 『7人のマッハ!』(原題『ボーン・トゥ・ファイト』)の日本版予告編ができたので早速観てみました。いやぁ~、頭悪そうでいいっスね。アクションシーン中心に編集された映像に、まるで卒業式のような男性ナレーションがかぶさって、ホントいい味だしてますっ!前作『マッハ!』でトニー・ジャーが大ブレイクしたように果たして今回は、彼の師匠であり、この映画の監督であるパンナー・リットグライに注目があたるだろうか?ちょっと期待しているんだけどねぇ…

 写真とか見ると、何か人の良さそうなオッサンみたいな感じがするが、この人こそ独創的かつ決死的アクションを演出し、我々を興奮のルツボに叩き込んでくれる、タイ映画界が世界に誇れる偉大な"アクションマスター"なのだ。
 彼は1962年生まれで17歳のときに映画界に入る。そして裏方やスタントを経験し、86年に(83年製作説もあり)仲間たちと自主制作で"タイ・オリジナルアクション"を目指した『グート・マー・ルイ』を世に出す。興業成績こそ芳しくはなかったが、この映画を観て少年時代のトニー・ジャーが弟子入りを決意したのは有名な話。現在までに彼が監督・出演した作品は確認しているだけで40本以上あり、そのほとんどがタイの田舎を舞台にしたアクション映画である。

 彼の凄いところはそのアクションにおける"知識"であろう。前回の『PLUK MAN KUN MAA KAA』でも書いたと思うが、どんな動きでも出来るのだ。クンフー的アクションから始まり、ムエタイや中国剣術、タイ式剣術のクラビー・クラボーンなどなど、「どんな動きでもOK!」と言わんばかりだ。
 それと特徴的といえるのは"見ていて痛そうな受け"だろう。『マッハ!』を観た方ならわかると思うけど悪役のみなさんはもちろん、主役のトニーさえ凄い"受け"をするのだ。地面に叩きつけられるだけでなく、柱に当たって回転しながら落ちたり、障害物を壊しながら倒れたりともう、すげぇ!としか言えないのだ。今回の作品も、激走するトレーラーの上から人を落としてみたり、火がついたバイクを走らせトラックと衝突させたりとやりたい放題!

 昔ブルース・リーやジャッキー・チェンが人気だった頃、よくクンフーの真似事をして怪我したとかは聞いたことはあったけど、ここまで凄いことをやれば誰も真似することは無いでしょう。そういえば『マッハ!』を観てムエタイアクションの真似をして怒られたって人、いますか?