里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

お盆の習わしも変わる

2023年08月14日 | 暮らし

当地方のお盆はいわゆる月遅れ盆で、8月13日から16日までが一般的です。
記憶も定かでなくなっていますが、昔のお盆は手間隙が掛かっていたことは確かです。
我が家でも、昔は盆棚を作り盆提灯を沢山ぶら下げたものでした。
盆棚は精霊馬等の飾りものはしないものの結構大きな棚を作っていました。仏壇自体が古かったこともあります。
早いもので今年は母の二十三回忌。父はその6年前に亡くなっています。
両親健在のうちにすでに盆棚を作ることはなくなっていたはずです。ただ盆提灯は数個下げていました。
今でも盆提灯は飾り、昨夜は灯りを灯しました。


当地方では、昔から、親戚間で初盆に盆提灯を贈る風習があります。
我が家でも両親が亡くなった際にいくつか頂きました。
時代の変遷とともに住宅事情等も変わり、逆の立場では御提灯代として現金を贈っています。
我が家の菩提寺は浄土真宗本願寺派のお寺さんです。
父の後をそのまま引き継ぐ形で世話人を仰せつかって大分経ちます。
しかし、勤め人稼業と野良仕事の二足のわらじを履き続けた身には深く考える余裕はありませんでした。
仏事のことを多少考えるようになったのは勤め人稼業から解放された後です。
親鸞聖人の名言「善人なおもて往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」。
浄土真宗は往生即成仏の教えで、故人が霊になるという概念がないのです。
したがって、お盆に先祖の霊が帰ってくるということもないので迎え火は焚きません。
故人が成仏できるようにと行う追善供養と言う形はなく、卒塔婆を立てることもありません。
当集落には共同墓地があり、三つの宗派が混在しています。
浄土真宗の墓地には卒塔婆立てがないので見るとすぐ分かります。
しかるにお盆に盆棚はもちろん提灯を飾ることもないはずなのですが。
地域や親戚でも宗派は様々、宗派を越えて一般的な習わしが自然に出来るのは当然なのかもしれません。
菩提寺のこれまでのご住職は習わしを尊重し、浄土真宗ではどうのと言うようなことは仰らなかったのでしょう。
我が家では昔から迎え火は焚きませんが、盆提灯を灯すのが迎え火の代わりかと思っていました。
しかし、それも勘違いでした。
今は昔のような下げるタイプの盆提灯ではなく立て型の盆提灯を二つ用意します。


また、盆棚は作りませんが、ご飯、お萩、菓子などをお供えします。
墓参りは14日にするのが習わしでしたが、年々拘らないお宅が多くなりました。
我が家も今年は13日にお参りしました。


昔は別に古い墓地があり、そちらにもお参りしました。それを父の一周忌に合わせここに寄せたのです。


古いものでは天明や嘉永年間の墓石が確認できます。
昔は、墓参りの際、沢山の花竹を準備しお参りするのが習わしでした。
これは大変な負担で、そのような環境でもなくなったことから、大分前になくなりました。
また、餅やお菓子などを相互に上げ合うことも習わしの一つでした。
しかし、鳥獣の餌になるので、今は自宅の墓も含め全て片付けることを申し合わせています。
ただ、外部者には分らないと見え、菓子のみならず酒、ビールなどが依然上げられています。
気持ちは分りますが、時代が変われば習わしも変わるものです。