水瓶

ファンタジーや日々のこと

スーホの家・横浜ユーラシア文化館

2015-08-16 13:53:24 | 横浜の観光・博物館など
この天井部はいつも開いてるのかな?

昨日横浜ユーラシア文化館のイベントで、モンゴルの移動式住居ゲルが公開されていたので行って来ました。
水上の記事の途中ですが、なかなか面白かったのでひとくさり。
「スーホも住んでいた!モンゴルの家『ゲル』公開」とうたっていて、スーホってなんじゃらほいと思って調べたら、
教科書にものったりしていた「スーホの白い馬」というモンゴルの民話がもとになっている絵本のようです。
で、wikiにあらすじがのっていたんですが

なんでこんな悲しい話なの……。。

動物関係の名作といわれる絵本って、なんでこんなにひどくかわいそうで悲しい話が多いんでしょうね???
やめてほしいざんす。プンプン。


ゲル全体像。組み立てと解体にも参加できるんだそうです。もう終わっちゃったけど、毎年やってるみたいです。


なるほど、こんな風に組んでるのか。しかし移動式とはいえ建てるのけっこう大変でしょうね。


「ハナ(壁の骨組み)の材料は何?」というクイズがありました。
答えは「動物の腱」だそうです。さわってみたけれど、かなり固くてしっかりしています。


ゲルの中から見た扉の外。モンゴルの草原って風が強そうだけど、吹き飛ばされたりしないんでしょうか。
なんかテントみたいで風に弱そうだけど、弱かったらこの形式長く続かないだろうし、それなりに風に耐えるのかな。
でもオズの魔法使いみたいに、このまま空飛びそうな家です。


天窓から見える空。この屋根の中心にある開口部は、換気やあかりとりのためでしょうか。
もひとつクイズがあって、「現在、石炭がストーブの燃料の主流になっています。では、昔は何が燃料として使われていたでしょうか?」
答えは「フン」。外国に関するこういう知識って、昔「なるほど・ザ・ワールド」で知ったのが結構多かったりします。


モンゴルの伝統的な民族衣装(女性用)。これに皮のブーツをはくわけなんです。かっこいい!
これは絹だそうなので、ふだん着ではなく、儀礼の時などの正装じゃないかと思います。


民族衣装を着られるコーナーもありました。「せっかくだからご一緒に」と森のなかまもすすめられ、一着しかない男性用を着用!
森のなかまはそのまま馬に乗って羊を追えそうなぐらい違和感ありませんでした(なんか土ぼこりに強そうな顔してる)。
モンゴルは寒い所ですから、そのまま防寒具のような服は暑かったですけども、楽しいですね。こういうの。


これがスーホの白い馬がなってしまった馬頭琴。柄の先が馬の頭の形になってます。いいなあ、これ。
ゲルにも見られた唐草模様の装飾は、モンゴルから西にあたるイスラム圏からの影響でしょうか。
常設展の方で見たんですけれど、昔のイスラム圏の、本にほどこされた細密画の装飾、すごいんですよね。。。

宮本常一さんに「日本の武士は馬に乗るのがヘタ」説というのがありまして、いやいやそれはちょっと???
と思っていたんですが、考えてみると、日本での一般的な馬の主な仕事は農耕と荷役だったんですよね。
武士と農民の比率が正確にどれぐらいだったのかはわからないけど、圧倒的に農民のが多かったと思うし、
それに、馬にひんぱんに乗って鍛錬できるような侍って、そんなに多くなかったんじゃないかという気もするし。
一方でユーラシアの遊牧生活では、羊や牛を追って牧草地を移動させたり、夜は野生動物に襲われないよう安全な所に集めたりと、
馬の役目は人を乗せ、遠く速く移動することで、人々は日常的に馬に乗って駆けていた。

また日本では、馬や牛はそうそう買えるものではなく、必要な時に借りることも珍しくなかったそうです。
農耕荷役は重労働で、春の始めに借り出された馬や牛は、刈入れが終わるとげっそりやせて山に帰って来るものだったそうです。
(馬や牛の持ち主は、農閑期は山に放牧してることが多かった。)
そんなわけで、仕事以外の負担はなるべくかけないようにしてたんじゃないかなと思います。
それに、定住の農耕生活では、身一つで馬に乗って遠くまで移動するような必要はあんまりなかったでしょうしね。

だから、侍が馬に乗るのがヘタだったかどうかはともかく、お百姓さんとかは、たとえ同じ家の中で飼うほど馬が身近な存在だったとしても、
やっぱり馬に乗るのは一般的ではなく、慣れてなかったのかも知れないなあと思いました。少なくとも遊牧民ほどは。
こんな風に、同じ馬でも遊牧民での馬のあり方と農耕民での馬のあり方では、色々と違ってくるものなんでしょうね。

そういえばついでに思い出したけど、母の実家の本家筋の家には、玄関の土間の、居間とは反対側にあたる方に厩がありました。
私が子どもの頃にはもう馬はおらず、かわりにトラクターかなんか置いてたんだっけかな。。。
のちに親戚のお兄ちゃんの勉強部屋に改築されてたっけ。


と、昨日はこんな感じで、遊牧民生活の一端をのぞけた気がして面白かったです。
一見のどかなようにも見える、ユーラシアの広い空白の草原地帯が、
かつて世界史に長きに渡って大きな波をたて続けた源だったんだなあと思うと、いっそう感慨深いですね。ふうむ。


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