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技術と技能の意味(5回シリーズその1)

2013年02月10日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 技術と技能という言葉は、時代とともに変化する。技術の中身が変化し、技能の対象も変化するからである。技術と技能との意味や用法が混同されていても、違和感を持たないこともある。今回は、分かっているようで意外と知らない技術と技能について考えてみたい。

 技術は科学と関係が深い。科学技術という言葉もあり、科学技能とはいわない。職人と呼ばれる個人や技能集団は、手に職を持つとか、腕に技(わざ)があるなどと表現されている。技能は、技術能力の略語という人もいるが、古から、個人の身体や感覚に依存する「勘」や「こつ」と表現されてきた。個人の実体験に基づき、繰り返し習熟することにより、体得する能力で、蓄積すれば、意識しなくても、身体が自然と反応する技能者として大成する。技能は、個人の能力に依存し、五感を使った技(わざ)のことをいう。
 たとえば、自動車運転技能は、危険が迫れば自然とブレーキに足が向き、ペダルを踏む動作は、将に技能であり、運動を司る小脳に記憶される能力である。一方、技術は、科学によって証明できる理論、原理、原則に基づき、関係づけられた知(ち)・知恵をいう。または、情勢の変化に応じて、的確に判断、処理できる頭の働きのことである。自動車構造でいえば、加速する現象を、アクセルを踏むと、ペダルに直結したシリンダーに燃料が供給され、ピストンの上下運動によって、車輪を回転させ、ペダルを強く踏むことによって加速すると説明できる。加速を構成する要素を関連づける知識すなわちメカニズムを考えた技術理論のことであり、大脳側頭葉に記憶される能力である。

 では、技能はどのような場面で用いられてきたかというと、例えば、大工、左官、板金(ブリキや)、鋳造(鋳物や)、溶接、鍛造(鍛冶や)畳工(たたみや)塗装(塗師や)、機械工、木工、電気工、造園(植木や)等職種からするとほとんどの産業に関係するが、既に現在では伝統工芸など後継者がいない職種もあり、道具や材料を使って、人間が物を作る行為を巧み(たくみ)、技巧という言葉で表現されてきた。
 技能工を英語ではジャーニーマン、クラフトマン、スキルドワーカー、ブルーカラー等という。(次回へ続きます)