新聞は東京で作られているー最近そうした感をますます強くしている。朝日新聞の耕論のコーナーはいつも楽しみだが、これがもろ東京中心。26日はとりわけ読んでいて「大阪、九州などの他地域の記者は地団駄踏んでいるだろう」と思った。
26日のテーマは「逆境」である。登場人物は元横綱の輪島さん、歌手の田原さん、牛丼吉野家の社長と3人である。いずれもインタビューで構成されているが、記事のできでいうと、輪島さんがいい。
それはそうと、この3人が本当に「逆境」の代表として選ばれたのか。東京中心の発想はもととディープな3人を選べないのかと思った。
ほかの地域ならどこを選ぶだろうか。「脱北」して日本に帰国した在日朝鮮人の「逆境」はこのコーナーに登場しエールを送る記事を書いてもいい。阪神・淡路地震で会社倒産に憂き目にあった経営者、シャッター通りで懸命に脱出をはかる商店主、なかなか芽が出ない芸能人、スポーツ選手、刑を終えて出所し仕事がなかなか見つからない人などいくらでも思い浮かぶ。
記事に目を引いてもらおうと名の知れた人だけ選ぶのはわからないではないが、しかしテーマがいまのテーマだけに、これ1回で終わるテーマではない。ただインタビューは大阪、名古屋などの記者がやっえいるではないか、という反論が返ってくるかおしれないが、企画の発信は東京であることには変わりがない。