闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3828~35
キング・ヴィダーは才能豊かな監督だったが、その出来栄えに斑があるのは、彼の資質以上に製作条件の影響だろう。
1)キング・ヴィダー監督の「ビリー・ザ・キッド」
実際のビリーではないが、かくありたいキッド像を描いた1930年の快作。
2)キング・ヴィダー監督の「南風」
都会生まれの孫娘と頑固爺さんとの家族の絆を描いた1933年の傑作。隣の牧場主との別れがつらい。
3)キング・ヴィダー監督の「薔薇はなぜ紅い」
1935年の南北戦争秘話。南部の豪邸を舞台に従軍死を遂げる父親と息子、奴隷解放を夢みる黒人たち、遂に従軍する従兄弟を愛したヒロイン。そして次々に侵入する北軍と南軍の兵士たち。映画の体をなさぬ映像ショー「風と共に去りぬ」を嘲笑うヴィダーの秀作ずら。
4)キング・ヴィダー監督の「テキサス決死隊」
1936年テキサス州100年祭の記念映画で、元強盗が大活躍して決死隊の鞘に収まるのは結構だが、先住民への差別意識と集団戦闘シーンの緩すぎる演出は酷すぎる。
5)「キング・ヴィダー監督の「摩天楼」
妥協なき建築家ゲーリー・クーパーと新聞記者パトリシア・ニールの運命の恋を描く1949年の恋愛映画。法廷で自己弁護するクーパーの長い長い哲学的セリフを聴け!
6)キング・ヴィダー監督の「東は東」
山口淑子の看護婦と国際結婚したドン・テイラーが、故国アメリカで引き起こす一大騒動をじっくり描いた1951年の人種問題提起映画。
7)キング・ヴィダー監督の「南海の勃火」
漂流したヨットが漂着したヴァージン諸島の孤島を舞台に、船員と村長の娘が繰り広げる1951年の古典的な海洋浪漫。
8)キング・ヴィダー監督の「星のない男」
カーク・ダグラスが主演する1955年の西部劇。弟を殺されたカーク・ダグラスが鉄条網を嫌うのはよく分かる。
いつまでも生きてほしいと願えどもあっという間に消えていくなり 蝶人