蝶人物見遊山記第395回&鎌倉ちょっと不思議な物語第479回
4月13日まで開催されていたのが「清方美人の着こなし」という副題がついたキモノコレクションでした。
会場はいツモハガラガラなのですが、テーマがテーマなので美々しく着飾ったざあます奥様もつめかけて時ならぬ盛況を呈しておりましたが、なんというても大正7年に描かれた二曲一隻の絹本着色の屏風の「早春」でせう。
左は土筆を積む黄色な着物に薄紫のショールを掛けた若い女性、対するに右隻の木藤の黄色が鮮やかなカラーシンメトリーをしていて美しい。こういう微妙な色彩感覚は古今東西の日本画家には絶えてなかったというても過言ではありませぬ。
わたしは日常生活で感性が雑巾のようにすり切れた時、この美術館で懐かしいパステルカラーに出会うと、思わず生き返ったように新鮮な気持ちになれるのです。
まことにありがたい絵描きさんだと思います。
14年経てば元の黙阿弥か 蝶人