
闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1257
中年男が長年連れ添った妻君に(お互いに)愛想が突き、旦那にかまってもらえない新婚草々の若妻が不満を覚えるのは今に始まったことではないが、そのいわば普遍的なテーマをスカーレット・ヨハンセンとビル・マーレーがやってみせる具体的な光景がなんともいえず哀切極まりない恋の雰囲気を醸し出す。
なんといってもヒロインの憂愁のスカーレット・ヨハンセンがいい。顔と体と雰囲気の全体がいい。
夫に不満のあるしおたれた彼女が、新宿のパークハイアットホテルの足元には私が毎週月曜日に授業をしていた文化服装学園のビルがあって、当時の私は、あの最高級ホテルはどんなセレブの人たちが利用しているのだろうと思いながら見上げていたが、ハリウッドのスターをものにせんと色女が突撃するとは知らなんだ。知らんかったなあ、もう。
ラストは2人の別れを映画的に盛り上げるが、大丈夫。彼らは東京での思い出を胸に刻みながら、それぞれの道を、それなりに歩んでいくのであるんである。
最前列よりもっとうしろに警棒乱打樺美智子さんもおそらく3列目 蝶人