あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

春原政久監督の「三等重役」「三代目社長」を見て

2013-01-14 09:47:50 | Weblog


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.379&380

源氏鶏太の原作を春原というきいたことも無い名前の監督がメガフォンをとって、若き日の森繁久弥や小林桂樹がでてきて後年の社長シリーズのさきがけを演じている。ただし社長役は森繁ではなく川村黍吉というこれも知らない役者であるが、サラリーマン社長の哀愁を漂わせてなかなかいい味を出している。

まだ森繁や小林はそれぞれの足場が定まらず不安定な演技であるが、これが徐々にスチャラカチャンチャンハチャメチャアホダラコンビに発展していったかと思うと感慨深いものがある。

彼ら三等重役の仕事ぶりを紹介するこの映画をみると、小津作品がなぜそれをまったく描かなかったのかがよくわかる。それにしても出張に芸者を同伴するとは、うらやましい限りだ。

好評の社長シリーズ第1作の1952年の「三等重役」の社長役だった川村黍吉が急死したので、急遽森繁が社長になって、例によってドタバタ劇が繰り広げられる。

この作品ではアメリカの会社との提携に成功したり結構いい仕事をしているのだが、先代社長夫人の指示で更迭され、その後任に浮上したのが加東大介。しかし彼のキャラクターは社長には向いていなかったのでこのあとはまた部長に格下げになる。

今はどうか知らないが社長になると家に迎えの車が来る。一度これに慣れるともう満員電車なんかに乗る気はしないだろうなあ。



           世の人みな右を歩くので真ん中のひとが左側となる 蝶人


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