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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

タベルナで食べた

2008-05-22 20:49:07 | Weblog
♪バガテルop57&鎌倉ちょっと不思議な物語124回


今日も「イタリアン」の続きです。

海からの薫風に吹かれて極楽寺から稲村ガ崎まで歩いたあとで、タベルナ ロンディーノ(TAVERNA RONDINO)というイタリア料理屋さんで妻とランチをしました。TAVERNAというのは食べるなではなく、イタリア語で「大衆食堂」「田舎風の小洒落たレストラン」という意味です。RONDINOはたしかツバメではなかったでしょうか。ご存知の方は教えてくださいな。

ここはなんでも裏駅の江ノ電改札口の隣、御成商店街のたもとにあるCafe RONDINO のオーナーが1980年に国道134号線沿いに開いたお店だそうで、亡くなった詩人の田村隆一氏がかつてこの近所に住んでいて、よく食事に来たと聞いたので、散歩がてら足を伸ばしたのです。Cafe RONDINOは私がサラリーマン時代の最後の最後にニッポン放送の営業担当氏(彼も鎌倉在住でした)と打ち合わせをした思い出の場所なんです。

さてタベルナのお味ですが、私は人一倍味覚が鈍くて、なにを食べてもおいしく頂く人間なのですが、肉も魚もシラスパスタもリゾットもとても美味でした。今度は青池さんや健君も誘って訪れたいと思います。


十三秒間隔の光り       田村隆一

新しい家はきらいである
古い家で生まれて育ったせいかもしれない
死者とともにする食卓もなければ
有情群類の発生する空間もない
「梨の木が裂けた」
と詩に書いたのは
たしか二十年前のことである
新しい家のちいさな土に
また梨の木を植えた
朝 水をやるのがぼくの仕事である
せめて梨の木の内部に
死を育てたいのだ
夜はヴィクトリア朝期のポルノグラフィーを読む
「未来にいかなる幻想ももたぬ」
というのがぼくの唯一の幻想だが
そのとき光るのである
ぼくの部屋の窓から四〇キロ離れた水平線上
大島の灯台の光りが
十三秒間隔に                 『新年の手紙』より


♪「へーつと」とよく言いし祖父の言葉をいま孫が言う「へーつと」と 茫洋



ドナ、ドナ、どーなの

2008-05-22 00:39:21 | Weblog


♪バガテルop56

昼前に中野坂上の学校に行く。駅前のドナという名前のパスタ屋に入って790円のパスタセットを食べていたら、隣の客が煙草を呑みだした。あわてて店長に禁煙席はどこだと聞いたら、「んなものありません」とかなんとか小さい声でむにゃむにゃ言いつつ蟹のように横歩きしながら消えていく。

そのうちに反対隣の客まで煙草を吸い始めたので、息を止めながらサラダとパスタとコーヒーを一気飲み喰いしてレジに直行、「もう君の店には二度と来ない」と告げて近所の公園に逃走した。

久しぶりの快晴である。やれやれと深呼吸したら、またしても煙草の煙を吸い込んでしまった。あたりを見回すとまたしても喫煙者が……。
私は学校めがけて一目散に走り出した。

ロンドンのパブも、サンフランシスコのレストランも、パリのカフェですら禁煙になったのは、喫煙が立派な病気であり、ニコチン中毒を経て多くの人の健康を損ない、死に追いやる災厄であるばかりか、その被害が周囲の非喫煙者をもまきこんでしまうからだ。

喫煙者は緩慢な自殺を実行しているわけだが、それは本人の自由だとしても、他人を巻き添えにすることだけはやめてほしい。それは緩慢な他殺行為であるからだ。そうした事情を知りつつ禁煙席すら設けないでいるとしたら、ドナは殺人に加担しているといえなくもない。


♪「どっちのイアリングがいい」と妻が息子に聞いている 茫洋