宮下文書、この本を知ったのは、1980年頃だった。古代史の本格的な研究を始める直前のことだ。
変わった内容で、面白いと思った程度で、特別に研究しようと思ったわけではない。ただ、気になったのは、宇摩郡の記述があることだった。だが、宇摩説のように、「宇摩が都だ」という話しは無い。
何人かの神が、宇摩郡で行動することが書かれていたから、古代史でまったく無視されている。なんとなく、気になったのだ。
手にした本は、『日本古代文書の謎』(鈴木貞一著 大陸書房)である。もう1っ冊、著者、出版社が同じで、『宮下文書の謎(?)』があったが、今回は出てこなかった。
だから、記憶している内容が、どちらであったかが判らない。上手く、この本に有れば良いのだが、どうなることか?
この本では、『国常立神は、豊受大神とオクリナされた』とある。
天照大神が、海守、山守の職をおくや、月読尊は、「総山守頭」に就かれる(これだと、月読命が、大山祇神となる)。葦津比売を娶り、八神の御子がある。(月読の命の)長子が、白玉彦という。諱(いみな)を寒川彦という。
天照大神が、寒川比古に勅して、天下四方の国民は『今なお、多く穴居しにけり、吾れ甚だこれを憂う。次々に家屋を建て、以って、居住せしむべし」と詔す。
弟神七柱を連れて山々の木を切り、家作りの事を司る。これにて、四方の国民もようやく、家屋に居住するに到る。大神は大いに喜ばれて、諱を正哉山祇の命を給う。世に大山津見命、これなり。
親子で、大山祇神と、大山津見神になった。引き継いだのかも知れないが、通常は、同神とされている。
宇摩郡に八皇子宮がある。この宮には子供の頃の伝承と、後世の伝承がある。この宮は、先に話した軽皇子の位置より、南に200メーターほどのところにある。
この当たりの記録は面白いものが多い。例えば、「金子甘美金希代(かねこ、うまし、かね、きだい)」、宇摩郡には、宇摩と金子の地名もある。
また、「彌都波能売(みずはのめ)」の水波峰がある。金山彦は、川之江に、金山がる。
大山祇神は西に進み、尋ねて南島に至り、ニニギ命の神后(木花咲夜比売)に会い、大いに喜ばれた。その内、来る途中で亡くなられた婦神を追討する余り、病にかかり、程なく、神さりましぬ。まします地を、伊世(伊予)という。此の地に葬る。諱を寒川比古命という。後に、大山祇命とオクリナしたもう。
名詞以外の太字は、先の本より転載した部分だ。
このように、大山祇神は、伊予の寒川の地で亡くなり、葬られたと言う。著者の解説では、香川県の寒川郡だろうという。また、宇摩の地に来ていないから、大三島の、『大山祇神社』を当てている。
実は、宇摩郡には、『木花咲夜比売』の有名な子供を生む場面であろうと思われる、『室神社』がある。もちろん、他に幾つも、木花咲夜比売を祭神とする普通の神社もある。
写真機と腕が悪いので、読みにくいが、良く、見て頂くと、『室神社』と戸に書いていある。前に在った石積みの木の社が省かれて、残ったのは石灯籠だけかな?綺麗になって、神様もお喜びであろう。
50メーターほど来たに、『子守神社』がある。木花咲夜姫の子を育てた人の神社である。宮下文書では、青木姫が子育てを手伝ったと言う。
江之元の住人は、木花氏、と青木氏がほとんどを占める。偶然とは思えない状況である。この後、木花咲夜姫は、富士の浅間神社に祭祀されるが、この浅間は、延喜式か何かの古記で、元は、「浅宇摩」神社と書いているのを見たことがある。
浅い間、宇摩に居た、と言う。この姫の経歴から付いた社名であろう。静岡でこの社名が使われることは、静岡の住民が、この事を知っていたことになる。古い有名な古事だったのだろう。
この宮は、『子守神社』とある。宮下文書では、手力男命などが、養育に当たったと書いている。青木姫はニニギ命の養い親で、この地に木花咲夜姫と来ていたとある。これを記念した神社ではないかと思う。
江之元の中間地点にある、木花家の神社である。周囲はほとんど、青木サンの家であり、まさに、話の通りに木花家を囲い込んでいる。他に、気になる祠が多いのだが、今日はこれで終わる。
宇摩郡の寒川町江之元に来ないで、書いたにしては、あまりに一致する状況が多い。宮下文書には、何かの古記録が在って、それを元に掛かれたものと思われる。
石戸八幡神社の古記録では、元の神社は、「寒川神社で、寒川比古命と寒川比売命が祭神であった」と言う。ズバリ、一致する。したがって、何かの記録が在った物と思う。
同時に、此の寒川の地が大山祇神の終焉の地だろうと、推定できる。
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