はじめに
昔話(17)で、お婆さんが鬼を祀って地獄に行ったが、地獄の鬼がやけに親切で、閻魔さまが責め苦にならないと、怒って、極楽(天国)に追った話が有る、と書いたままでした。
今日、この(17)の記事にコメントが来て、見直して、気付いたので、遅れましたが、まんが昔話で、この話を探してみたら出てきたので、載せる事にします。
鬼を拝んだお婆さん
この話は神仏を拝まず、鬼を拝み続けた婆さんの話です。朝廷や仏教で仏様を拝まないと、地獄に落ちると言う話が広がる中で、逆に対応した話が創られたのでしょう。
神仏となっていますが、地獄や極楽の話は神道には無く、明らかに、仏教を意識した話です。そして、仏様を拝まなくとも、鬼を拝んでいれば極楽(天国)に行けると言う内容です。
朝廷が中心で取り入れた、仏教の話が広がる社会で、元々あった高天原の話が消されていった。これに逆らう内容は、本家(高天原)側の言い分の話と言える。
鬼を拝んだお婆さん
http://www.youtube.com/watch?v=D1swxzyrPZY&NR=1
まずは上の漫画を見て下さい。
この話の婆さんは独り身で、神仏を拝まず、鬼ばかり拝んでいたとあります。
お婆さんの普通の生活なら、親・夫・子等の位牌などがあって、鬼など拝んでいる事もないでしょう。仏教の教えに従って無いお婆さんです。
この婆さんの生活は普通の人生を送った人ではない、特異な人生を持つと、思われます。そこで、宇摩説で、謎を解いてみました。
宇摩説の見方
私はこの婆さんはこの地域に天降って来た、お白神=アタ姫=アタつ姫=アガタ姫であったのではないかと思います。仏教(朝廷)の奨励が進む中で、高天原の攻防でしょう。
これに類似する仏教に対応する高天原の話だと思われる同種の話が幾つかある内の一つである。まずは、下の「鬼を拝んだお婆さん」を見られたい。
この仏教側の広がりと、逆の話が有る事は、先に書いた、「二つの太陽」の話とも、共通する。このように、仏教の広がりで人々が迷った中で、信念を持って鬼(主)を拝んだのである。
主が鬼にされたという宇摩説の説明も、仏教では獄卒にされたが鬼も同じである。だから、鬼を主として理解すれば、死後に優遇された上に、極楽(天国)に行った話も理解できよう。
お婆さんの文化
この婆さんは、古い仕来たりに生きていた。言い換えると、墓などの無い文化を継承していた。つまりは、高天原の組織の一人だったと思われます。
宇摩説では、倭人伝の奴婢を学生(奉公・見習)と解いています。これは、日本に残る古事記や日本書紀のとは、違います。こちらは文字通り、女の召使です。
倭人伝の奴婢は、高天原の神々と「うけい(誓約)」をして、神事・織物・稲作などの勉強に来たのです。そして、卒業すると、各地に女神として天下りした。
この女神は地域によって、お白神、阿田姫、アガタ姫などと呼ばれていました。この一人であろうと、言う事です。多分、仏教の広がる中で、大変な苦労が有った事でしょう。
このように解くと、お婆さんの信念のようなものも感じる事が出来るでしょう。次回も、似た話を載せようと思います。