灯台下暗し -カッターナイフで恐竜を腑分けした記録-

仕事で携帯向けアプリを書いて、趣味で携帯電話を買い、趣味で同人小説を書いて、何もしていません。

あとから大容量モデルに変身させられます、Android 6.0 ならね

2015-09-19 12:04:22 | 携帯電話

Android 6.0 (Marshmallow) の紹介記事はたくさんあります。そんな中、Google がアプリ開発者に新 OS への対応を指導するサイトでは、紹介記事であまり触れられていない、ある機能があっさりと書かれています。僕はそれが業界を変える「破壊的革新」と信じるのですが。

次のリンクは Google 公式サイトの英文記事ですが、読めるでしょうか。

Behavior Changes | Android Developers

Android 6.0 には "Adoptable Storage Devices" という機能がつきます。これは microSD(などの外部メモリ)を、他端末から読めないよう暗号化した上で、ダウンロードアプリは全て外部メモリに移動できるようにします。

「Android って microSD が刺さるけど、アプリがほとんど移動できないから、結局意味ないんだよね」とおっしゃる、そこのあなた。Android 6.0 ではついに何でもかんでも microSD に移動できるようになります。

動かなくなるアプリがゼロではありません。パス名が変わることに対応できないアプリは動きません。コンピュータに詳しくない方に説明すると、URL はインターネット上のデータの住所ですが、パス名は1台のコンピュータ(スマホやパソコン)の中のデータの住所です。microSD にアプリを移動させるとアプリのパス名が変わるので、本体メモリにインストールされると決めつけているアプリは動きません。上の Google の記事では、Android にはユーザがアプリをインストールした場所(有り体に言えば、本体か microSD か)をアプリに教える機能があるので、データを読み書きするときには一回一回確認しないと Android 6.0 では動きませんよとアプリ開発者に指導しているんです。

しばらく混乱はあるでしょうが、ほどなく落ち着くでしょう。落ち着いたら、Android 6.0 端末は事実上本体メモリを増やせるようになります。

本体メモリの量はスマホメーカの経営に大きく関わっていることが知られています。iPhone の大容量モデルは小容量モデルに比べて 2、3 万円高くなりますが、Amazon や秋葉原で microSD カードを買われた方はご存じのように、フラッシュメモリの半導体はそんなに高くありません。その差額は Apple の利益になっているというのは公然の秘密です。それが許されているのは、顧客が納得する利便性を提供しているから。そこには、本体メモリが小さく microSD も役に立たない Android 端末でトラブル続きだったユーザが、やっぱり本体メモリが大きい iPhone でなければ駄目だと、お粗末な Android 端末が Apple のおいしい商売の引き立て役になっているという一面があります。

その状況は、中国・台湾製スマホに Android 6.0 が搭載されれば大きく変わります。発売直前で話題の iPhone 6s の最大容量は 128 GB ですが、2、3 万円の中国・台湾製スマホに 128 GB microSDXC カードを挿入すれば本体メモリ 128 GB のスマホが簡単に作れるんです。

この先どうなるのか。僕は3パターン思いつきますが、そのどれになるのか分かりません。

1. Android 陣営だけが苦しんで Apple は安泰
Android 陣営はユーザが安い本体に大きな microSD カードを挿入するようになって高級機が売れなくなりますが、iPhone のユーザが便利な iPhone は高くてもいいと言えば、Apple だけが高級機を売れて高利益を享受します。

2. 割高になる Apple が苦しむ
Android なら大容量スマホが安く手に入るという状況に、iPhone ユーザが嫌気がさして Android に流れれば、Apple は今までの商法を続けられなくなります。

3. Android 陣営も Apple も苦しむ
Apple はユーザが逃げるけれども Android も高級機が売れないとなれば、すでにメモリカードは過当競争ですからこちらも儲からず、業界は誰も得をせず、ユーザが安価を享受します。

現実はどうなるでしょうか。

僕は ”Adoptable Storage Devices" が Android 6.0 で一番楽しみな機能です。といっても、使っているスマホが Nexus 5 なので microSD で増強できないのですが(苦笑)

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Android ユーザ様、どのブラウザをお使いですか?

2015-01-27 23:00:23 | 携帯電話

タイトルを疑問形で始めたのは、断言すると角が立つ内容だからです。

昨日 Google が重大な発表をしました。

この発表は、大変な裏の意味を含んでいます。それは Google の担当者の説明原文を読むと分かります。

When browsing on any platform, you should make sure to use a browser that provides its own content renderer and is regularly updated.

これを訳すと

どのプラットフォームでもブラウジングするときは、それ自身のコンテンツレンダラを持ち日常的に更新されているブラウザを使うことを確実にするべきです。

これを裏返すと、OS のコンテンツレンダラに頼って自身のコンテンツレンダラを持たず UI の利便性だけで利用者を集めるブラウザは使わない方がいいですよ、と Google がほのめかしているのです。

自身のコンテンツレンダラを持つブラウザはどのくらいあるでしょう。Google の Chrome と、Firefox と Opera Mobile を除いたら、あとは全滅です。対応できるのは PC でもブラウザを提供しているベンダだけです。Play ストアには多くのブラウザがあり、ブラウザを選ぶことがスマホ玄人の条件のように見られていますが、それらブラウザを切り捨てスマホ玄人に考えを変えるよう迫る発言を Google の担当者がしているのです。

これは善意の助言かネガティブキャンペーンか。内容自体はセキュリティに敏感な人はすでに実践していることです。WebView の問題は以前から指摘されていました。Play ストアにブラウザを公開するベンダは利用者に利便性を提供していますが、セキュリティに関心が低い人をカモにする商売という側面もありました。どちらかだけではなく光と影の両方がありました。Google の担当者の発言は陰をクローズアップさせるものです。

ただし、今回の件で苦境に追い込んでいるのはサポートを止めた Google 自身です。それでいて利用者にやめた方がいいとほのめかすのは、かなり黒いです。

さらにはハードウェアメーカの立場も苦しくしています。Google は直接販売する Nexus シリーズには Chrome をインストールしていますからいいですが、ソニーやサムスンが「標準ブラウザは危険だから Chrome をインストールしてください」と言えばお金を払った購入者が怒るのは必至です。「Google がそう言った」と言い訳できるわけでもないですし。

さらに言えば、Android 2.3 (ならびに 3.x)利用者は Google 自身の Chrome はインストールできず Firefox に頼るしかありません。他社製品が頼りというのもひどい話です。

問題は山積みです。

え? お前はどうかって? すでに Nexus 5 を Android 5.0 にしているので立場が微妙ですが、メインが Chrome、一部崩れるサイトの救済に Firefox です。理由の9割は UI に無関心だから。でも残りはセキュリティです。Windows の Internet Explorer や Chrome の更新頻度を考えれば OS 埋め込みの WebView のセキュリティが Internet Explorer 以下なのは想像できましたから。ただ、偉そうな顔をしてはいけないことは感じています。

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貴方のスマートフォンの Wi-Fi が勝手に止められるかも

2012-10-25 00:22:08 | 携帯電話

大きな事件が起きたので久々に書きます。

JVNVU#160027
複数の Broadcom 製無線チップセットにサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性
https://jvn.jp/cert/JVNVU160027/index.html

ここで取り上げられているのは、Wi-Fi チップ大手の Broadcom 社の Wi-Fi チップの中でもモバイル向けの製品のバグ。チップとセットで用いるデバイスドライバ(ソフトウェア)にバグがあり、外部から Wi-Fi で特定の信号を送ることでモバイル端末の Wi-Fi を停止できるというものです。

詳細は、下記の英語情報を。

Broadcom DoS on BCM4325 and BCM4329 devices
http://www.coresecurity.com/content/broadcom-input-validation-BCM4325-BCM4329

バグがあるのは、少し古いチップ。少し前に販売されたスマートフォンの一部が問題のチップを採用しており、外部から Wi-Fi を停止できるのではないかと懸念されています。

懸念される製品の中で一番有名なのは iPhone 3GS と iPhone 4。iPhone 4S からは新しいチップを採用しているので懸念はありません。そして Apple からの発表は今のところありません。

実証コード(嘘じゃないことの証明であると同時に、これを使えば貴方もクラッカー!)も公開されています。騒ぎはどこまで広がるのでしょう。というか、スマートフォンニュースサイトの反応が鈍いのが気がかりです。

[追記]

利用者にできる対策はソフトウェア更新です。これから古いスマートフォンのソフトウェア更新が公開された場合、Wi-Fi チップのデバイスドライバの更新が含まれていることがあります。ただし対策するかどうかはスマートフォンのメーカに任されています。逆に、ソフトウェア更新に含まれているのに更新内容に記されていないこともあり得ます。しばしば見られる「その他にも快適に利用するための変更を含む」の一言で隠されるケースです。

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断念しましたか

2012-04-02 20:18:24 | 携帯電話

今日、携帯電話業界にとって、ささやかですが大きなニュースがありました。

ドコモ、メーカー5社とのチップセット開発計画を断念

以前に開発計画が発表されたときにこのブログに書きましたが、計画は断念されました。ニュースでは各社の主張は分からないので、どこが悪かったと断定するのは止めます。

富士通・NEC・パナソニックの開発した LTE ベースバンドチップの外販はなくなったのかと考えると、台湾 MediaTek にライセンス提供されているので外販されるはずです。知的財産のライセンスにとどめて製造はしない方がリスクが少なくてよかったのでしょうか。

個人的には心情的に応援していたので、海外勢には勝てないよと言う「かしこい人」にはなれません。

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HTC製ソフトバンク端末の多くが、実は900MHz帯に対応していました

2012-03-03 13:16:37 | 携帯電話

世間を騒がせた900MHz帯(プラチナバンド)の割り当てが決まり、問題は、いつ、どの端末が、900MHz帯を使えるかに移りました。ここで、意外な端末が対応していることが発表されました。

新規周波数900MHz帯 使用基地局の認定について | ソフトバンクモバイル

対応機種の中に、001HT、X06HTII、X06HT、X05HT、X04HT が入っています。HTC 製スマートフォンの多くが900MHz帯に対応していたんです。

ソフトバンクで売られた HTC 製スマートフォンは海外向け端末ベースなので、グローバルバンドに対応していてもおかしくないです。言われてみれば。

販売時期と売り込みの熱意を思い出すと、当時から日陰扱いだったり今では年季が入ったりしている端末たちです。ですが、そんな端末を愛顧した人たちに対するちょっとしたご褒美となりました。

それと、最近は X05HT と X04HT が(在庫整理をかねて)プリモバイル端末として売られていますよね。2年ぐらい使うと決めている場合は、他の端末 -例えば 740SC - を買うより、電波の入りがよくなりそうなのでお得です。そこは気にかけてもいいと思います。

HTC 端末を愛顧しなかったのが僕なんです... 2年弱前に X05HT を購入したのですが、ガラケーでケータイ向けサイトを使う生活に切り替えたくて、去年の11月に、月月割が終わっていないのに、001N に機種変更しました。ベースバンドチップがアドコアテック製です。わーい。そんな状況で今回の発表を見てびっくり。現物はまだ家にある -割賦を払い終わっていないので中古端末として売れません- のですが、スマートフォン向け料金プランに変えると 001N の月月割が消滅してしまうので、金銭的問題で元に戻せません。覆水盆に返らず。替えなきゃ良かったかなと思い、自分の無知を恨んでしまいます。ケータイ向けサイトは便利で、利益を享受しているのでしょうがないのですが。

ところで、今回の900MHz帯割り当ての報道で、大事なことに触れられていない気がするので、ついでに書きます。今回の割り当てで、iPhone など現行端末が使える HSPA+ の帯域がどれだけ増えたかというと、5MHz 幅です。国からは 15MHz 幅が割り当てられたのですが、そのうち 10MHz 幅は他の機器で使用している人たちに立ち退いてもらう2年後まで使えず、使えるようになったら LTE に割り当てる計画です。

5MHz 幅がどれくらいの容量かというと、現在ソフトバンクモバイルが 2.1 GHz 帯で認可されて使用しているのが 20MHz 幅です。iPhone利用者にとっては、そこに 5MHz 幅が追加されるので、現在に比べて 25% 増しになります。

(注記: ULTRA SPEED 対応端末は 1.5GHz 帯に認可されている 10MHz 幅が別に使えるのですが、逆に900MHz帯を使えません)

多くの人がもっとどかんと増えたと感じているような気がするのですが、期待に比べて小さいんですよね。

圏外が圏内になるのは素晴らしいことなので意味はあります。でも、トラフィック問題としては期待ほどではないと思います。

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実は血統が Nokia 直系

2012-01-29 12:39:46 | 携帯電話
  • 先の金曜日にソフトバンクモバイルから HONEY BEE 101K が発売されました。

実はこのスマートフォン、SoC(CPU + GPU) もモデム(ベースバンドチップ)も珍しいものを使っています。僕は 2011冬 - 2012年春のスマートフォンではこの機種に一番注目しています。

搭載されている CPU はルネサス R-Mobile APE5R と説明されていますが、一時期はルネサス MP5225 と紹介されていました

MP5225 が使われていると紹介されたと言うことは、モデムもルネサスが提供していると言うことです。

ルネサスエレクトロニクスは 3G/4G 携帯電話のモデムも設計・生産しています。それは昔のアドコアテック(NEC とパナソニックのジョイントベンチャー)ではありません。

かつて Nokia の携帯電話のモデムを作っていた部署を譲渡してもらったのです。ルネサスは携帯電話向け半導体を売るのにモデムを自社技術として持ちたいと思っていました。Nokia はモデムの自社開発を止めて経費を節減したいと思っていました。両者の思惑が一致して、Nokia の技術者が作ったモデムがルネサスの名前で売られることになったのです。

ルネサスモバイルの公式サイトもあります。そこには Nokia 時代の歴史が誇らしげに語られています。日本語ページが無いし、求人募集の勤務地はすべて海外ですし、サイトはどう見ても海外企業のそれです。Nokia の技術者がやりやすいようにそのまま独立させたと推測します。でも、一応、資本とブランドはルネサスなんです。

かつてのボーダフォン利用者の間で、Nokia 端末は電波のつかみがいいと評判だったように記憶しています。個人的には 702NK は電波のつかみでは安定していたように思います。

と思ったら、ネットを検索すると、基地局の調整が悪いと端末が再起動したという記事が...

今はどうなんでしょう。ここにきて、軽々しく人に勧められなくなりました...

実は先の説明には語弊があります。HONEY BEE 101K は MP5225 は搭載していないはずです。MP5225 を搭載していれば LTE 対応なんです。

MP5225 は CPU R-Mobile APE5R(ニュースリリース当時は古い名前の SH-Mobile APE5R でした)と LTE モデム SP2531 を組み合わせたときの名前です。そして、端末の用途に応じてモデムだけ入れ替えできるんです(というか、ワンチップになっていないんです)。おそらく HONEY BEE 101K には LTE モデム SP2531 は搭載されていないでしょう。カタログに載せる CPU の名前が変更になったのは、LTE 非対応の HONEY BEE 101K が MP5225 搭載とは名乗れないという判断だと思われます。

まさか別会社のモデムが載っていることはないと思うのですが...

ここまででも長いのですが、SoC(CPU) がまた面白いんです。

R-Mobile APE5R を、AQUOS PHONE 102SH や NTT ドコモ AQUOS PHONE SH-01D に搭載されている TI OMAP4430 と比較すると、R-Mobile APE5R の方が 3D グラフィックスが高速な可能性が高いんです。

R-Mobile APE5R と OMAP4430 は GPU に PowerVR を採用しています。OMAP4430 が POWERVR SGX540 なのに対し、R-Mobile APE5R は POWERVR SGX543 MP、つまりマルチコア GPU を搭載しているのです。

R-Mobile APE5R は、CPU 性能よりもグラフィックス性能に重きを置いた SoC に見えます。現時点のスマートフォンでマルチコア GPU を搭載したものは少ないですから。

Samsung Galaxy シリーズと、噂だと iPhone 4S がマルチコア GPU だとのことで、HONEY BEE 101K はこれらグラフィックス性能に定評があるスマートフォンと対抗できるかも知れません。

ただ、ここまでは机上の話。実際の性能はどうなんでしょう。誰か HONEY BEE 101K で 3D グラフィックスのベンチマークを測定しませんか?

と書いてきたところで気になるのは、HONEY BEE 101K がどうしてあんなに安いのか。もしもルネサス MP5225 を使っていたとしたら CPU とモデムだけで 99 ドルになるところなんです。LTE モデムを HSPA+ モデムに変更しても、そんなに安くなるものでしょうか。

それともう一つ妄想します。ソフトバンクモバイルにはデータ通信のオフロードの問題があるのですが、HONEY BEE 101K は TDD-LTE モデムと組み合わせる準備ができているんです、本物の MP5225 にすればいいのですから。もしかして来年になったら AXGP 対応 HONEY BEE が発売されるのでしょうか。それが現在と同じような価格で売られたら、とんでもない話になるのですが。

コメント (2)
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最後にねぎらいの言葉を

2012-01-11 00:31:48 | 携帯電話

1月10日、ソフトバンクモバイルから、Vodafone 702MO と 702sMO の無償交換について案内が出されました。

ソフトバンクモバイル: Vodafone 702MO/702sMOをご利用中のお客さまへ

僕はこのニュースを聞いて安心しました。

僕はユーザだったので知っているのですが、これらの機種は以前に、報道発表されることなく、購入者のみに郵送で不具合改修が連絡されたことがあるのです、旧 Vodafone 時代に。ユーザが少なく、ネットに書く人もほとんどいなかったので、あまり知られていない事実です。僕も Blog に書いていませんでした。ううん、疑われるかなあ。

そのとき以来、いつ不具合が直されたのか外部から見えない端末になっていたのです。もし同じことが繰り返されたとしたら、無償交換が行われたかどうかも疑わしいくらいに。

同時期に発売された Vodafone 端末の多くが無償交換になった際に、これらの機種は挙げられていませんでした。もしかしたら既に回収されているのではないかと疑ったものです。そのときに僕が書いた記事

このたび、無償交換に際して、報道発表がなされたので公知の事実となりました。最期を誰もに見える形で迎えることができました。

これらの機種は本体の使い勝手はお世辞にもほめられませんし、付属ユーティリティソフトはインストーラが HDD の既存データを削除するというトラブルを起こしてお客様に多大な迷惑をかけたので、ほとんどの人が一刻も早く忘れたいと思うか既に忘れているでしょう。でも、僕にとっては感慨深い機種だったので、ねぎらいの言葉をかけたいと思います。

ソフトバンクモバイルさん、無償回収を報道発表してくださってありがとうございます。Vodafone 702MO と 702sMO、最期のお努めが公知になって良かったね、今までお疲れ様。

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DoCoMo SH-01D、SoftBank 102SH/104SH のモデム

2011-12-14 23:37:29 | 携帯電話

今日、シャープの AQUOS Phone が海外企業のプレスリリースの題名を飾りました。

ST-Ericsson Thor thin modems power three new Aquos smartphones

Sharp joins list of handset manufacturers using ST-Ericsson advanced Thor modem platform

シャープがドコモ SH-01D ならびにソフトバンク 102SH/104SH のモデムに Thor M5730 を採用したと ST-Ericsson が発表しました。

ここで言う「モデム」とは、パケットや音声の情報が載った電波を生成し解読する半導体のことです。

実は、モデムは携帯電話メーカがそれぞれ作っているわけではありません。というか、モデムの大手企業は世界で数社です。ほとんどの携帯電話メーカは、モデムは専門企業の半導体を買ってきて、自身は UI とデザインの開発で他社と競争しているんです。

国内携帯電話機メーカが ST-Ericsson のモデムを採用したと発表されるのはパナソニックの方が早かったのですが、今回は機種名も明記されています。

同じモデムを使いながらドコモでは最高 14Mbps でソフトバンクでは最高 21Mbps とは、DoCoMo の使い方はややもったいないように見えますが、基地局の整備を考えると逆に SoftBank の事情が苦しいことの表れです。日経 ITPro の記事を読むと分かります(ごめんなさい、メルアドを登録しないと読めません)。

違うキャリアの端末が同じモデムを搭載すると判明したことは、電波のつながりやすさを機種の性能差を抜きにして確認できる機会ですが、微妙な事情があります。ドコモの基地局は富士通や NEC など国内メーカ製が多いのに対し、ソフトバンクの基地局の大半は ST-Ericsson の親会社の Ericsson 製です。相性問題は一番最初に解決されていると見てしまっても偏見ではないでしょう。これで負けるとソフトバンクは言い訳できません。

[初めて聞く名前が多い方への解説]

ところで、プロ野球2011年日本シリーズで Yahoo! ドームの試合がテレビ中継されたとき、バッターボックスの後ろに "Ericsson" という、一般の方にはあまりなじみのない、看板が見えませんでしたか?

Ericsson はスウェーデンの通信機器メーカで、W-CDMA 基地局では世界シェア1位を誇り、SoftBank が 2010 年に電波改善計画を実行したときには大変にお世話になった(逆に言うと、SoftBank が儲けさせた)会社です。野球ファンが Ericsson の名前を知っても何か買える物があるわけではないのですが、SoftBank にとって大切な会社(客じゃなくて裏方)なので、特等席で広告を出しているのでしょう。

ST-Ericsson は、その Ericsson と、半導体製造会社 STMicroelectronics が株を50%ずつ持っている、携帯電話向け専門の半導体製造会社です。

あの SonyEricsson は、同様にソニーと Ericsson が株を50%ずつ持っている会社でしたが、Ericsson は株をすべてソニーに譲渡して、グループとして裏方に徹する(玄人向け商売に徹する)ことになりました。

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SoftBank 101P のモデム?

2011-10-20 23:27:08 | 携帯電話

ST-Ericsson の決算発表を読んでいたら気になる記述が。

Panasonic launched a smartphone based on ST-Ericsson’s Thor thin modem. Panasonic also announced that additional smartphones based on ST-Ericsson’s Thor HSPA+ 21Mbps thin modems will be available by the end of the year.

http://www.stericsson.com/press_releases/Q32011.jsp

パナソニックが年末に発売する HSPA+ 21Mbps 対応スマートフォンに採用されたと言うことは、SoftBank 101P のモデムは ST-Ericsson 製ですか?

パナソニックと NEC がアドコアテック株式会社を解散させて、自社の携帯電話のモデムはどうするんだろうと思っていましたが、他社製品を使うのですね。ちょっと寂しいです。

ST-Ericsson 製モデムの性能についてはよく知りませんが、会社の決算発表を見ると赤字続きのジョイントベンチャーなのですが(アドコアテックと比べて、どっちがまし?)、Qualcomm ばかり儲かるのは癪に障る(自分の財布じゃないのに)ので、負けないでと応援したい気持ちです。

ところで、ST-Ericsson 製モデムを搭載した最初のスマートフォンは立ち上げ済み(”launched")だそうですが、どの機種なんでしょう? 僕には当てられません。

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無償交換対象機種に、あれがない

2011-09-06 23:12:47 | 携帯電話

ソフトバンクモバイル : Vodafone 902SH/802N/802SE/802SH/703Nをご利用中のお客さまへ

ソフトバンクの 3G ネットワークでは設定を変更する予定とのことで、変更により音声通話に支障が出る端末を列挙して無償で別端末に交換すると発表しました。iPhone 3G/3GS ユーザには先に連絡していた話(ソフトバンクモバイル : iPhone 3G、iPhone 3GSをご利用中のお客さまへ)と同じものです。

比較的新しい iPhone 3G/3GS でも問題が起こるのですから、他機種でも問題が起こることは予想できました。今回交換される機種は修理受付も終了していますから、修理せず交換というのは致し方ないでしょう。これから別機種でソフトウェア更新や無償修理がなされるかも知れません。

ところが、このラインナップを見て、ここに載っていない機種を考えると、あることに気づくんですよ。

モトローラの双子機種、702MO702sMO が載っていません。

同時期に発売されたノキア 702NK は、どちらかというとしっかり者の印象があるので、納得します。トラブル続きだった 702MO と 702sMO が今回の設定変更でトラブルを起こさないとしたら、意外なんです。

サービスに支障が生じるときの利用者への連絡は、まだなされていると思うんですよ。両機種がフェムトセル基地局ではパケット通信できないことについてはサイトに注意書きがあります(ソフトバンクモバイル : フェムトセル小型基地局(ホームアンテナFT)について)。

音声通話への対応は良かったのでしょうか。それとも、プレスには出ていなくても利用者に直接連絡してすでに回収済みなのでしょうか。僕は 702sMO の利用者でした(自分で使った記憶で書いています!)から、プレスに出ていない不具合連絡があったことを覚えています。

気になるのですが、もはや利用者ではないので、問い合わせるのは気が引けます。

ところで、こういう話があると、海外ローミングとか SIM ロックフリー端末とかに一抹の不安を覚えます。今回無償交換対象になった機種には海外ローミング対応機種もありますが、ローミング先が同様の設定変更をしていたら音声通話に障害が生じていたでしょう。立場を逆にすると、SIM ロックフリー端末が途中で使えなくなるとか、そもそも使えないとか、あり得るということにようやく気づかされます。W-CDMA(UMTS)だからといって必ずつながるわけではないと認識すると、僕は SIM ロックフリーに少し幻想を抱いていました。

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