灯台下暗し -カッターナイフで恐竜を腑分けした記録-

仕事で携帯向けアプリを書いて、趣味で携帯電話を買い、趣味で同人小説を書いて、何もしていません。

実は血統が Nokia 直系

2012-01-29 12:39:46 | 携帯電話
  • 先の金曜日にソフトバンクモバイルから HONEY BEE 101K が発売されました。

実はこのスマートフォン、SoC(CPU + GPU) もモデム(ベースバンドチップ)も珍しいものを使っています。僕は 2011冬 - 2012年春のスマートフォンではこの機種に一番注目しています。

搭載されている CPU はルネサス R-Mobile APE5R と説明されていますが、一時期はルネサス MP5225 と紹介されていました

MP5225 が使われていると紹介されたと言うことは、モデムもルネサスが提供していると言うことです。

ルネサスエレクトロニクスは 3G/4G 携帯電話のモデムも設計・生産しています。それは昔のアドコアテック(NEC とパナソニックのジョイントベンチャー)ではありません。

かつて Nokia の携帯電話のモデムを作っていた部署を譲渡してもらったのです。ルネサスは携帯電話向け半導体を売るのにモデムを自社技術として持ちたいと思っていました。Nokia はモデムの自社開発を止めて経費を節減したいと思っていました。両者の思惑が一致して、Nokia の技術者が作ったモデムがルネサスの名前で売られることになったのです。

ルネサスモバイルの公式サイトもあります。そこには Nokia 時代の歴史が誇らしげに語られています。日本語ページが無いし、求人募集の勤務地はすべて海外ですし、サイトはどう見ても海外企業のそれです。Nokia の技術者がやりやすいようにそのまま独立させたと推測します。でも、一応、資本とブランドはルネサスなんです。

かつてのボーダフォン利用者の間で、Nokia 端末は電波のつかみがいいと評判だったように記憶しています。個人的には 702NK は電波のつかみでは安定していたように思います。

と思ったら、ネットを検索すると、基地局の調整が悪いと端末が再起動したという記事が...

今はどうなんでしょう。ここにきて、軽々しく人に勧められなくなりました...

実は先の説明には語弊があります。HONEY BEE 101K は MP5225 は搭載していないはずです。MP5225 を搭載していれば LTE 対応なんです。

MP5225 は CPU R-Mobile APE5R(ニュースリリース当時は古い名前の SH-Mobile APE5R でした)と LTE モデム SP2531 を組み合わせたときの名前です。そして、端末の用途に応じてモデムだけ入れ替えできるんです(というか、ワンチップになっていないんです)。おそらく HONEY BEE 101K には LTE モデム SP2531 は搭載されていないでしょう。カタログに載せる CPU の名前が変更になったのは、LTE 非対応の HONEY BEE 101K が MP5225 搭載とは名乗れないという判断だと思われます。

まさか別会社のモデムが載っていることはないと思うのですが...

ここまででも長いのですが、SoC(CPU) がまた面白いんです。

R-Mobile APE5R を、AQUOS PHONE 102SH や NTT ドコモ AQUOS PHONE SH-01D に搭載されている TI OMAP4430 と比較すると、R-Mobile APE5R の方が 3D グラフィックスが高速な可能性が高いんです。

R-Mobile APE5R と OMAP4430 は GPU に PowerVR を採用しています。OMAP4430 が POWERVR SGX540 なのに対し、R-Mobile APE5R は POWERVR SGX543 MP、つまりマルチコア GPU を搭載しているのです。

R-Mobile APE5R は、CPU 性能よりもグラフィックス性能に重きを置いた SoC に見えます。現時点のスマートフォンでマルチコア GPU を搭載したものは少ないですから。

Samsung Galaxy シリーズと、噂だと iPhone 4S がマルチコア GPU だとのことで、HONEY BEE 101K はこれらグラフィックス性能に定評があるスマートフォンと対抗できるかも知れません。

ただ、ここまでは机上の話。実際の性能はどうなんでしょう。誰か HONEY BEE 101K で 3D グラフィックスのベンチマークを測定しませんか?

と書いてきたところで気になるのは、HONEY BEE 101K がどうしてあんなに安いのか。もしもルネサス MP5225 を使っていたとしたら CPU とモデムだけで 99 ドルになるところなんです。LTE モデムを HSPA+ モデムに変更しても、そんなに安くなるものでしょうか。

それともう一つ妄想します。ソフトバンクモバイルにはデータ通信のオフロードの問題があるのですが、HONEY BEE 101K は TDD-LTE モデムと組み合わせる準備ができているんです、本物の MP5225 にすればいいのですから。もしかして来年になったら AXGP 対応 HONEY BEE が発売されるのでしょうか。それが現在と同じような価格で売られたら、とんでもない話になるのですが。

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最後にねぎらいの言葉を

2012-01-11 00:31:48 | 携帯電話

1月10日、ソフトバンクモバイルから、Vodafone 702MO と 702sMO の無償交換について案内が出されました。

ソフトバンクモバイル: Vodafone 702MO/702sMOをご利用中のお客さまへ

僕はこのニュースを聞いて安心しました。

僕はユーザだったので知っているのですが、これらの機種は以前に、報道発表されることなく、購入者のみに郵送で不具合改修が連絡されたことがあるのです、旧 Vodafone 時代に。ユーザが少なく、ネットに書く人もほとんどいなかったので、あまり知られていない事実です。僕も Blog に書いていませんでした。ううん、疑われるかなあ。

そのとき以来、いつ不具合が直されたのか外部から見えない端末になっていたのです。もし同じことが繰り返されたとしたら、無償交換が行われたかどうかも疑わしいくらいに。

同時期に発売された Vodafone 端末の多くが無償交換になった際に、これらの機種は挙げられていませんでした。もしかしたら既に回収されているのではないかと疑ったものです。そのときに僕が書いた記事

このたび、無償交換に際して、報道発表がなされたので公知の事実となりました。最期を誰もに見える形で迎えることができました。

これらの機種は本体の使い勝手はお世辞にもほめられませんし、付属ユーティリティソフトはインストーラが HDD の既存データを削除するというトラブルを起こしてお客様に多大な迷惑をかけたので、ほとんどの人が一刻も早く忘れたいと思うか既に忘れているでしょう。でも、僕にとっては感慨深い機種だったので、ねぎらいの言葉をかけたいと思います。

ソフトバンクモバイルさん、無償回収を報道発表してくださってありがとうございます。Vodafone 702MO と 702sMO、最期のお努めが公知になって良かったね、今までお疲れ様。

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