灯台下暗し -カッターナイフで恐竜を腑分けした記録-

仕事で携帯向けアプリを書いて、趣味で携帯電話を買い、趣味で同人小説を書いて、何もしていません。

ハイファイオーディオに非可聴域が必要という、単純な説明

2014-09-06 13:32:45 | 日記

最近はハイファイオーディオが盛んに宣伝されています。僕は、いい時代が来なたと思っています。思っていたことを素直に言えるようになりましたから。

昔から非可聴域の必要性は指摘されていましたが、その説明がまずかったです。「聞こえない音が人間に心地よさを与える」といった漠然とした説明がまかり通っていたので、大多数からはオカルト扱いされてました。

デジタルオーディオの基盤である標本化定理を押さえていれば、非可聴域の必要性は簡単に説明できたんです。「x Hz の音」と「x Hz の周波数成分」の違いを分かっていればよかったんです。

「x Hz の音」とは、1秒に x 回振動している音です。人間は 10,000 Hz の正弦波を聞き取れますが、30,000 Hz の正弦波は聞き取れません(特別な人はそういない、と信じています)。

それに対して「x Hz の周波数成分」とは音声信号をフーリエ展開したときに見つかる、音声信号の構成要素です。必ずしも x Hz で振動しているわけではありません。

10,000 Hz の正弦波に、振幅の小さな 30,000 Hz の正弦波を重畳してみます。何回振動しているかと質問されたら 10,000 Hz と答えざるを得ませんが、その波形は正弦波からはかなり崩れています。その信号と 10,000 Hz の正弦波を人間が聞き分けられたら、原音再生には 30,000 Hz の周波数成分が必要だったということなんです。そして、30,000 Hz の周波数成分を記録するには、標本化定理から、60,000 Hz を超えるサンプリング周波数が必要なんです。

「正弦波から乖離している自然の音声信号をフーリエ展開すると高い周波数成分が現れる。その周波数成分を省くと波形が変化し、人間に違いが分かってしまう。デジタルオーディオが高い周波数成分を記録するには、標本化定理の制約から、非可聴域の音を記録できる能力が必要になる。だからハイファイオーディオには非可聴域が必要なのだ」 そう説明していれば破綻はなく、オカルト扱いされずにすんだのです。

ただし、この説明には弱点があります。人間は高い周波数成分に鈍感であることが実証されていることです。それは議論の余地なく確認済みで、MP3 など圧縮音源はその見識を元に設計されています。ただ、現在のハイレゾオーディオは圧縮音源に飽き足らない人のためにあるので、違いが分かるとおっしゃる方は結構いらっしゃるのかもしれません。

それにしても、正弦波をゆがませて聞き分けられるか試す官能試験は実施すると面白い結果が出ると思うんですけどね。「違いが分からないことがばれるからオーディオメーカーはしないんだ」というニヒルな考えに僕は賛同しません。きっと違いは分かると信じています。

P.S.
こんなに力説しましたが、僕はハイレゾオーディオ機器を購入していません。心の奥底では、音の違いに金額分の価値を認めていないのかもしれません。

[追記 2014-09-07]
これを書いたあとで、同様の実験を行った論文があることを知りました。もう実験されてたんですね。結果は、非可聴域の純音を聞く被験者はいなかったものの、非可聴域の周波数成分の有無は音源と聴取時間と被験者の条件の組み合わせによっては聴感に影響を与えたとのこと。僕の思い込みを肯定する結果ですが、聞き分けられた人はどうも特別っぽい。僕には無理そうです。

コメント
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