片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

いつまでも健康でいられる町づくり

2013-02-14 20:36:18 | 社会・経済

健康でいきいきと生活すること。
誰もが願うことです。
社会にとっても、それは、とても大切なことです。

麻生太郎副総理兼財務相は、1月21日に開かれた
政府の社会保障制度改革国民会議で、
終末期の高額医療費に関連し、
「死にたいと思っても生きられる。政府の金で
(高額医療を)やっていると思うと、寝覚めが悪い。
さっさと死ねるようにしてもらうなど、
いろいろ考えないと解決しない」と発言しました。
麻生副総理は、「私個人の人生観を述べたもの。
国民会議という公の場で発言したことは適当でない面もあった」
と釈明しましたが、その背景には、高額医療費が財政の重荷に
なっているという現実があります。

国家財政だけではありません。
医療費や介護費用は、家計への影響も懸念されます。
今日、健康は、国家にとっても、家計にとっても、
大きな問題といえます。

2000年、WHO(世界保健機関)は、健康寿命を提唱しました。
以来、寿命を延ばすだけでなく、いかに健康に生活できる期間を
伸ばすかに関心が高まっています。
厚生労働省は、「健康に長生きすること」を重視し、
国民の健康づくり計画を進めています。
健康寿命を延ばすことができれば、医療、介護関連の
予算の抑制につながり、国家財政も家計も助かるというわけです。

では、どうすれば、健康寿命を延ばすことができるか。
がんや脳卒中といった生活習慣病予防などの基本的対策のほか、
生き生きと充実した生活をおくることが大切だとされます。
そう考えてみると、高齢者が積極的に社会に参加できるような
地域づくりが、健康寿命を延ばすことにつながるように思います。
実現には、退職者への就業機会の創出、地域住民が集う場づくり、
高齢社会に対応した交通システムのあり方など、
さまざまな取り組みが必要とされます。

過日、三井不動産に取材にいきました。
その時、聞いた話に、新鮮な驚きがありました。
三井不動産は、従来のような開発型の町づくりではなく、
これからの日本の社会的課題の解決モデルを提示するような
町づくりを進めています。
千葉県の柏市の「柏の葉スマートシティ」で進めている、
「健康寿命都市」に向けた取り組みは、その一例です。
目指すのは、地域連携による疾病・介護予防、高齢者の積極的な社会参画、
ICTを活かした多世代間交流による、誰もがいきいきと暮らす町です。
たとえば、健康増進と予防をキーワードにした取り組みに、
「はっぱっぱ体操」や「十坪ジム」があります。
住民が健康的な生活を楽しく体験できるように、
多彩なコンテンツを提供しているんですね。
三井不動産はまた、地域の健康増進環境を支える仕組みとして、
「社会協働支援プラットフォーム」と「トータルヘルスケアステーション」
の構築を進めており、医療機関などとのコーディネート役を務めています。

健康でいきいきと長生きするには、どうすればいいか。
日本は、世界に冠たる長寿国ですが、
それは、日本だけでなく、今後、高齢社会を迎える
世界の国々の共通の課題といえます。
三井不動産の例に見られるように、日本はそうした課題の解決モデルを
つくろうとしています。
「スマートシティ」への挑戦です。
健康で長生きを実現できる町づくりを世界に発信できれば、
それこそ、日本発のビジネスモデルとして、
新たな成長戦略になります。
高齢化が進む日本は、課題も多くありますが、
その一方で、できることはたくさんあります。
チャンスもあります。
そう考えると、日本はなかなか面白い国なのではないか
と思いますね。