片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

日立の再現なるか!パナソニックの今後3年間

2012-02-07 19:09:21 | 社会・経済

日本の家電業界は、テレビ事業の崩壊“絶滅寸前”です。
現象面を見る限り、その通りです。
しかし、そこに
“救い”はないのでしょうか。

国内大手家電メーカー8社の、第3四半期の決算が出そろいました。
通期最終損益見通しでは、
パナソニック、ソニー、
NEC、シャープと、4社が赤字
の見込みです。
なかでも
パナソニックは、7800億円の赤字と、
過去最悪の当期純損益を計上する見通しを発表しました。

電機メーカー各社の
不振の理由としてあげられるのが、
デジタル機器、とくにテレビの、グローバル市場での売り負けです。
デジタルテレビコモディティ化が進んだうえ、
各社が一斉に
設備投資に走った結果、
生産能力過剰に陥り、価格下落に歯止めがかかりません。
グローバル市場では、日本メーカーのテレビは、
体力のある
韓国のサムスンやLG電子のテレビにかなわないのです。

パナソニック社長の
大坪文雄氏は、決算発表の席上、
「テレビ生産を、
自前主義ですべてやろうとした」ために、
4期連続のテレビ事業の赤字見通しにつながったと、反省を語りました。
日本の主なテレビメーカーは、
テレビに変わる主力商品を、
いまだ見いだせず
にいます。

日立は違います。赤字の各社を後目に、
前年同期比16%減ながら、
今期2000億円の黒字と、
大手8社のなかで
最高の当期純利益をあげる見通しです。
11年度の第3四半期は、
自動車関連、ITサービスが堅調で、
営業利益は、計画を若干上回りました。
第4四半期も、
自動車部品や電装品の需要から営業増益を見込みます。
しかし、振り返ってみれば、
日立は、089月に起きたリーマン・ショック後、
大手8社中最悪の、7873億円
という大赤字に陥りました。
いまの
パナソニックの巨額な赤字ほぼ同じです。

大赤字を契機に、日立は
液晶、プラズマパネル生産からの撤退をはじめ、
家電部門のリストラを断行し、合理化を図りました。
その結果、どうなったか。
インフラ輸出のほか、
ITや自動車関連事業に集中しました。「選択と集中」です。
ダイナミックに事業戦略を転換したのです。
だから、
現在の日立の黒字があるのです。

日立の例からわかるのは、
パナソニックの現状から、
「V字回復は不可能だ」とはいえないということです。
パナソニックはいま、
テレビ部門の縮小など、
単品売り切り型のビジネスから、太陽電池、エコの白物家電、
“家まるごと”のスマートハウス構想
に代表される
ソリューションビジネスなど、
大胆に経営の舵を切ろうとしています。
果たしてこれが、
日立の再現となるか。
問うべきは3年後、2015年のパナソニックの姿だと思います。
いや、
「もっと早く、V字回復を目指す」と、
大坪社長は思っているのではないでしょうか。