行くならどっち?『旨い店』と『美味い店』

広島食い道楽雑記
食も出会いじゃけぇ、出会った限りは知らんとね!
『食』って人を良くするって書くんよ

七十一皿目 読書『われはロボット』『ロボットの時代』(後編)

2010-01-22 | 読書
七十一皿目 読書『われはロボット』『ロボットの時代』(後編)


アイザック・アシモフ(Isaac Asimov)
『われはロボット』
『ロボットの時代』


完璧におすすめ!
いいから読め!

これがなぜ学校図書にならないのか不思議なレベル
わたしは「ロボットの時代」の方が好きかな

この本はわたしが大学生の頃に一度読んで以来、今回読みました。
当時のわたしは暇があれば本を読み漁っていましたから、本の虫でした。
そして将来には趣味でいいのでなにかを書いてみたいという気持ちを持ってた頃に
この本を読んだのですが、この本を読んだとき
感動と絶望を感じたのを覚えています。
面白すぎる内容に対する感動とこの内容には逆立ちしても追いつけそうにないという絶望
一見相反する感情ですが、当時のわたしはそう思ったのです。
こんなに面白い本は絶対に書けない!
と悟ったもんです。

この本と再び出合えたきっかけは、数年前に公開されたある映画のおかげ。

ウイル・スミス主演『アイロボット』
そこそこ売れた映画みたいなので皆さんの中にもご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この映画の原作本として今回『決定版』として再販売されたようです。
全然、古さを感じません。
もうこれらの作品はSFの中でも古典とよばれるべき作品なのに今でも新しい

わたしはこの映画が公開されると知って当時たいへん驚いたのを覚えています。
それは、この一連の作品を書いたアイザック・アシモフ自らが作品の中でこう言っていたからです。
ほとんどの人々は、年齢に関係なく、アクション以外のものを受けつけない。
テレビの人気冒険番組を観て、そこからアクションを引いたら何が残るかを考えてみればいい。
そういう番組を観ているのはほとんどが大人なのだ。
他方、わたしの小説には「アクション」がほとんどない。
(だから映画化されない)
思索的な会話の応酬でアイデアの相互作用を描く場面が大部分だ。

ところがなんとこの名作をもとにした
アクションSF映画『アイロボット』
が公開されるのですから
世の中なにがおきるのかわかりませんねぇ。
なので映画の内容には触れませんが、わたしは小説とは別物と考えています。

この今回のこの2冊は短編集なのでサクサク読めます。
しかし、この短編で青年時代のわたくしを打ちのめすだけの力を秘めています。
特にわたしが好きなのは『AL76号失踪す』『思わざる勝利』です。
2作品ともジョークとユーモアが効いてて最後にクスッと笑えます。

他にもいろいろおすすめポイントはありますが、
わたしが思うアイザック・アシモフのもっとも偉大なところは
ロボット工学三原則を「発明」したことです。
自律的に判断して行動ができるような高度なロボットには、
人類の脅威とならぬよう大原則が刻み込まれているべきだ、
ということでアシモフはロボット工学三原則なるものを考えました。

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。

第三条 ロボットは、前掲第一条におよび第二条に反するおそれのないかぎり、
自己をまもらなければならない。

これらの事を考え出さないと、作品の中の人類はロボットを危険と考え受け入れようとしません。
世界中で一番ロボットに対して抵抗がないのが日本人と言われていますが、
それはドラえもんをはじめ各種アニメにロボットが登場し、さも人間と同じレベルで
行動していますので抵抗がないものと考えられますが、西洋ではロボットというのは
『動く人形』として扱われいつ暴走するか分からない危険な代物として描かれていることが多いです。
いつ言うことを聞かなくなるか、いつ暴走するか・・
だからこそのロボット工学三原則なのです

このことをアイザック・アシモフ自身は『人類のフランケンシュタイン・コンプレックス』とよんでいます。
アシモフのロボットシリーズは、ロボットが人間と共存するには、
人間がロボットを警戒しないためにロボットに制限を設けなければならないとの前提から出発しており
一連の作品は、そのロボットが一見してこのロボット工学三原則に反するような行動を取り、
その謎を解決するというミステリ仕立てかつユーモア溢れる作品です。
彼こそがカレル・チャペックの戯曲「RUR」で登場したロボットを再定義した
ロボットの生みの親であると言えると思います。

SFファンだけでなく、一般の方が読んでも、読みやすく素晴らしく面白い作品ですので、
是非、手に取ってみて下さい。

そして驚いてください。
この作品が1950年、今から60年前(!)に発表された作品ということに
あなたも感動を覚えるでしょう。



広島ブログ
HONDAの人型ロボットアシモのスペルはASIMOですが
最後に"V"を入れるとASIMOVになるんですよねぇ。
公式発表では関係はないことになっていますがねぇ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿