こんにちは、稼プロ!23期生の曽我剛です。先週末の合宿ではたくさんのことを学び、充実した体験をできました。事務局や講師、OBの方々のご尽力に感謝いたします。
今回は合宿の3分間プレゼンで話した、サーバントリーダーシップについて補足させて下さい。合宿で話したポイントは下記になります。
・支配型リーダーシップは従来主流で、リーダーを頂点としてメンバーがリーダーを支えるピラミッド構造。トップダウンでメンバーに指示、命令が下りてくるスタイル。ただ近年はリーダー1人に頼ることに限界が見られる。
・サーバントリーダーシップは、メンバーをリーダーが支える逆ピラミッドの構造。リーダーがメンバーの話に耳を傾け、信頼して自主性を尊重し、成長を促していくスタイル。近年その有効性が注目されてきている。野球日本代表の栗山英樹監督とサッカー日本代表の森保一監督がこのタイプ。
今回はサーバントリーダーの負の側面について書きたいと思います。主なデメリットは下記の点です。
1.意思決定に時間がかかる
リーダーは、各メンバーの話に耳を傾け、意見を尊重するため、チームの意思や方針を決定するのに時間がかかります。そのため、時間内にうまくまとまらず、業務やプロジェクトに影響が出る場合があります。
2.メンバーによっては合わないこともある
メンバーに主体的な提案や意思決定が求められるため、自ら考えて行動するのが不得意なメンバーや知識・経験が浅いメンバーにとっては合わない場合もあります。またメンバーの力量が制約になり、その力量を超えたパフォーマンスを出すのは難しいです。
例として挙げた、栗山監督や森保監督も、失敗を経験しています。栗山監督の場合は、北海道日本ハムファイターズの監督として10年間で2回優勝していますが、最後の5年間で5位(下から2番目)を4度も経験しています。この原因はメンバーの戦力が十分でなく、若手の伸び悩みもあり、サーバントリーダーシップでは限界があったようです。
森保監督も、サンフレッチェ広島の監督時代に5年間で3回優勝した一方、6年目のシーズンは下位に低迷し、シーズン途中で辞任しています。メンバーが十分揃わなかったことが主因です。また東京オリンピックの代表監督では、メダルを期待されながら4位に終わりました。原因の1つは、過密日程を考慮して選手の体力の消耗を抑える必要がありながら、対応できなかったことがあります。選手だけに任せては解決ができず、短期的な決戦では、時には支配型リーダーとして監督が主導していく必要があったでしょう。
以上のことを踏まえると、我々がサーバントリーダーになる上で留意すべき1点目は、成果を出すまでに十分な時間があるかどうかです。短期的なプロジェクトをでは、サーバントリーダーにこだわりすぎると時間が足りず、結果が出ないかもしれません。通常の組織で部下を持つ場合は、1年目で成果が出なくても2年目、3年目と十分な時間はあるでしょう。
留意すべき2点目は、メンバーの力量がどの程度あるかという点です。この点が最も悩ましいのではないでしょうか。日本代表監督のように優秀な選手を選べることができればよいですが、通常は、経験・知識不足や意識が低い人など、いろいろなメンバーがいると思います。メンバーによっては、辛抱強く自走を促しても限界があり、時には支配型リーダーとなって対応しないとうまくいかないときもあります。
「どのリーダーシップが最適か」という問いには、最適解が1つではなく、サーバントリーダーが今の時代には合ってきているものの、状況に応じて支配型リーダーも併用していく必要があります。今回の合宿で似たような場面として、コーチングとティーチングの関係がありました。ロールプレイの機会があり、コーチングが重要と思い、コーチングで相談者から答えを引き出そうとしましたが、コーチングにこだわりすぎて、答えにたどりつけず、時間ばかり浪費してしまったことがあります。後からアドバイスいただくと、答えが決まっているような場面では、ティーチングを交えるのも有効とのことでした。まさにリーダーシップと考え方は同じだと思いました。
サッカーの日本代表の森保監督は、次のワールドカップに向けての指揮も任され、サーバントリーダーとして力を発揮できる時間的な余裕もできて、どこまで日本代表の力を引き上げられるか楽しみです。引き続き見守っていきたいと思います。