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経営承継円滑化法の活用について

2012-01-24 19:58:55 | 11期生のブログリレー
ブログをご覧の皆様はじめまして。
1月から「稼げる!プロコン育成塾」に参加させていただくこととなりました中小企業診断士の金子敦彦です。
今後11期生のブログリレーに参加させていただきます。
どうぞよろしくお願いします!

さて、初めての投稿ですが、中小企業向けの施策の一つである「経営承継円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)」の中の、事業承継時の非上場株式にかかる相続税の納税猶予制度について簡単にご紹介させていただきます。

「経営承継円滑化法」は文字通り中小企業者の経営承継を円滑に進めるための施策ですが、その中の非上場株式に係る相続税の納税猶予制度は、非上場会社の発行済み株式の3分の2に達するまでの部分の相続税の80%が納税猶予されるという制度です。
例えば、株式総額が3億円の非上場の中小企業者の相続を行う場合、この施策を活用することによって、株式総額の3分の2の2億円にかかる相続税の80%、すなわち最大で1億6千万円分にかかる相続税の納税が猶予されることになります。
この施策の適用を受けても、猶予ということなので事業承継を行った際に相続税の納付が免除されるわけではありませんが、要件を満たせば猶予されていた税額が免除になります。

この施策は、中小企業者が事業の承継を行うにあたって非常に有効な施策ですが、適用を受けるためには基本的には事業の承継が行われる前の事前の確認が必要です。この確認の手続きを行うためにはいくつかの書類を各地域の経済産業局へ提出必要があり、書類の作成や提出にはそれなりの手間がかかりますので、中小企業者様の代わりにこの業務を代行して行っています。もちろん、この手続きに合わせまして、中小企業診断士として事業承継後の経営戦略の策定など円滑な事業承継のためのサポートも行っています。

先日、この施策の活用をご提案させていただいた中小企業者様は、すぐに確認の手続きを行いたいのことで書類の作成と提出をご依頼くださいました。
しかし、後継者様が現経営者様のご子息でしたので、株式の贈与を含めた事業の承継に関するお話ははっきりとできていないようです。このような状況では後継者様も会社の代表となる心構えもできていないのではないかと思います。現経営者様もそのことにはなんとなく気が付かれてはいるようですが、親子の関係があるので言い出せていないようでした。

上記のような状況でしたが、「経営承継円滑化法」の非上場株式の相続税の納税猶予の適用を受けるためには経済産業大臣の確認が必要です。確認を受けるためにはそのための書類が必要ですが、その中には事業承継の具体的な計画を記載するものもあります。事業承継の計画には後継者にどれだけの株式を承継するか、後継者に株式以外の資産をどれだけ承継するかなどということも記載する必要があります。この事業承継の計画を記載する書類の作成により、後継者様への株式の承継、資産の承継が明確になりました。
書類作成の結果、後継者様に次期後継者様としての明確な意識を持っていただけたということと、株式や資産の相続による分散が免れ、円滑な事業の承継を行うための助けになったのではないかと思います。

「経営承継円滑化法」の活用には大きなメリットがありますので、日常の業務の中で後回しになってしまっていた事業承継のための計画や準備ができたのではないでしょうか。中小企業者様には事業承継について改めて考える機会として、相続税の納税猶予を受けるための経済産業大臣の確認を積極的に行っていただけたらと思います。
コメント (1)
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